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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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共存共栄

 
前書き
遂に登場!!
例のアノ人… 

 
<ロマリア>

アルル達は今朝早くロマリア港へ停泊した。
ロマリア沖に漂う幽霊船を見つける為、此処で物資等の補給を行う予定なのだ。
しかもエジンベア以来のまともな港への寄港…
水夫等にも陸での休息が必要の為、3日後の正午まで自由行動となる。




ティミーもアルルを誘い、ロマリアの町を2人で見て回る。
多分デートのはずなのだが、見て回る店が武器屋や防具屋など、冒険に役立ちそうな物を見て回り、互いに購入の是非を見当しているのだ…
これってデートじゃないよね!?

「おいティミー!お前何やってんの?」
堪らず声をかけてしまったのはリュカ…
船を降りるなり、アルルと共に手を繋ぎ町へと繰り出した息子の後を付け、物陰から夫婦で観察していたのだ!
「父さんと母さんこそ、何をしてるのですか?」
「私達はアレよ…その…「出歯亀だ!」
ビアンカが取り繕うとするが、夫が無駄に正直な答えを告げてしまう。

「最悪な夫婦だ…」
「うるさい、最低なカップルめ!たった3日の自由行動だぞ!デートしろ、デートを!」
「デ、デートって…そんな…僕等は「コレが私達のデートです!」
恥ずかしがる彼氏の台詞を遮り、力強く断言するアルル。
まぁ、人それぞれだ…


リュカ夫婦と息子カップルが店先でくだらない問答をしていると、不意に兵士が近付き話しかけてきた。
「勇者様ご一行ですよね!?貴方はリュカ殿ですよね!?」
どうやらロマリアの近衛兵らしく、以前の謁見時に見憶えていて、話しかけてきた様だ。

「いえ、人違いです!それでは失礼します」
「またまたご冗談を!リュカ殿の事を見間違えるわけありません!」
以前の謁見が印象的だった様で、リュカの事だけはしっかり記憶している様だ。
「何の用だよ…忙しいんだけど…」
息子カップルの後を付ける暇はあるのに、嫌そうな顔で余裕がない事を告げる。

「はい。実はですね…陛下が集めた情報で、リュカ殿がロマリアに来る可能性が高いと、導き出しまして…陛下がお会いしたがっておりますので、どうか城までご足労を願えないでしょうか?」
「お前、僕の話聞いてた?忙しいんだよ!」

「勿論聞いておりました。今朝早くに港に着き、町に繰り出した息子さんの後を付け、物陰から見物する事でお忙しいとは存じております!ですがとても重要な用件が有りまして…どうかご足労をお願いします」
「………お前、ヤな奴ぅ!」
「ありがとうございます!では、皆さんもご一緒に…」
かなり押しが強いこの兵士は、アルル・ティミー・ビアンカまでも連れて行くつもりだ。

「そうだ!丁度昼時です…城で昼食を用意致します故、何が宜しいでしょうか?」
「じゃぁ、シーフードピザ!魚介類抜きで…アレルギーだから入れるなよ!」
「畏まりました!では参りましょう!…あ、申し遅れました!私、近衛騎士副隊長のラングストンと申します。以後お見知りおきを…」
分かっているのかいないのか…リュカの嫌がらせを物ともせず、4人を先導しロマリア城へと向かうラングストン。
ビアンカですら唖然としている…



城へ付くなりリュカ達は会議室へと通される。
「何だよ…僕のピザは何処だよ!」
「はっ!直ぐに用意させますので、此方でお待ち下さい」
文句を言いながら中に入り室内を見回すと、其処には3人の人物が待ち構えていた。

「ふぉふぉふぉ…相変わらず我が道を進んでいるようだのう!」
最初に話しかけてきたのは、この国の王…ロマリア国王だ。
「まこと…騒がしい男よ!のう、カリー…」
「はっ!」
次いで声をかけてきたのはエルフの女王…それに付き従うエルフの戦士カリーも。

「あれ?メダパニでもかけられたか?人間嫌いのエルフが、人間の国の王様と一緒に座っているぞ?」
リュカは両手で目を擦り、何度も目の前の3人を見直す。

「ふぉふぉふぉ…余とエルフの女王とは、仲良しこよしなんじゃよ!」
「え、マジ!?カルディア、本当!?」
「本当ですよリュカ。私達は互いに協力し合い、共存共栄を目指してます」
リュカはロマリア王・エルフの女王と向かい合う様に、2人の正面の席へ座り会話を始める。

「リュカさん…カルディアさんって、誰の事…?」
そしてリュカの隣には、分かり切っている質問をしながらアルルが座る。
「勇者よ…カルディアとは私の事です………リュカ、名前で呼ぶのはベッドの中だけと言ったではないですか…」
「いや~…キレイな名前だったからさ…つい…」

「アンタやっぱりエルフに手を出したんだな!!!」
分かっていた事…分かってはいたのだが、真実を知らされて思わず切れるアルル…
リュカの胸ぐらを掴み、怒鳴り付けている!
「止さぬか勇者よ…私はリュカのお陰で、人間との共存の道を模索し始めたのだ!アンに…娘に許して貰いたいから…」
エルフの女王は静かに…そして悲しそうにアルルを宥める。

「そう言う事だリュカ!お前の所為で、エルフと人間が協力し合おうとしている。お前が手伝わなくてどうする!?両種族の調停役として、間に立ってはどうかな?」
ロマリア王は楽しそうにリュカの事を眺め、リュカの役割を説明する。

「知るかよ!勝手に仲良くなれば良いじゃん!つーか、僕のピザはどうした…それが目当てで此処に来たんだ!」
「リュカ…私もロマリア王も、互いに友好を深めたいと思っている。しかし他の者には、偏見と差別がまだ残っております…それを無くすには、どうすれば良いのか知恵を貸してほしいのです」
「はぁ…そんな事も分からないのかよ!…互いの事を良く理解すれば、偏見や差別はなくなって行くさ!とても簡単だが、凄く難しい」

「互いを良く理解する…具体的には?」
リュカの言葉にロマリア王が身を乗り出して問う。
「人間から見たエルフは、長寿で強大な魔法力を有し、その気になれば人間を一瞬で滅ぼす事の出来る存在……エルフから見た人間は、狡猾で利己的、同族でも自身の利益の為に他者を害する愚かな存在………違うか?」
「「その通りだ…」」
リュカの質問に、ロマリア王とエルフの女王が同時に答える。
2人ともリュカの言葉に耳を傾け、真剣な眼差しで聞き入っている。

この後のリュカの言葉が、この世界を根底から変えるかもしれない…
それ程にこの2人は真剣なのだ!



 
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