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星河の覇皇

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第八十一部第二章 軍事の素養その三十四

「その場合は」
「だからだ」
「問題ですか」
「そして私もだ」
「軍隊とですか」
「政治の世界は知っているが」
 それでもというのだ。
「他のことはな」
「そう言われますか」
「全く以てだ」
 マールボロは苦笑いになって述べた。
「駄目だ」
「そう言われますか」
「そしてだ」
 メイドにさらに話した。
「君達はだ」
「メイドはですか」
「いや、当家に働いてくれている者はだ」
 その彼等はというのだ。
「世間のことをな」
「知って欲しいのですか」
「私も学んでいるが」
 今になってとだ、マールボロは心の中で言いつつ話した。
「それでもな」
「何かとですか」
「知らない、子供ですら知っていると思われる様なことをな」
「そうなのですか」
「思えば小学校の時から寄宿学校でだ」
「イートン校でしたね」
「そこにも通っていた」
 この時代にも存在しているイギリスの名門校である。
「そしてだ」
「士官学校ですか」
「どちらも狭い世界でだ」
 学生と言われる頃もというのだ。
「そしてだ」
「そのうえで、ですか」
「軍に入りな」
 そうなってというのだ。
「そしてだ」
「今に至られるので」
「まことに世間のことはな」
 寄宿学校、軍という閉鎖的な空間の中で生きていてというのだ。
「知らないままだった、そして」
「政治家になられましたが」
「やはりこの世界も独特でだ」
 それでというのだ。
「まだな」
「世の中のことに疎いと」
「自覚している」
 そうだというのだ。
「私自身な」
「そうなのですね」
「そうなると困るな、そしてその様な人間だからだ」
「旦那様はですか」
「偉くとも何ともない」
 今度は自嘲の笑みでの言葉だった。
「そう思っている」
「そうですか、ですが旦那様は」
 メイドは彼に言うのだった。
「あくまで、です」
「あくまでというと」
「私達の旦那様で」
 主でというのだ。
「ずっと見てきて立派な方だとです」
「思ってくれているか」
「いつもお優しいですし」
「君達は皆よく働いてくれている」
 これがマールボロの返事だった。
「だからな」
「怒られることはですか」
「理由がない」
 そもそもという返事だった。
「私にはな」
「そうなのですか」
「私の家族もだ」
 彼等もというのだ。 
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