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モンスターハンター 〜故郷なきクルセイダー〜

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霊峰編 決戦巨龍大渓谷リュドラキア 其の四

 
前書き
◇今話の登場ハンター

◇フィレット
 「伝説世代」の1人であるミナシノ・ヤクモに師事していた太刀使いであり、普段はおっとりしているが、いざ狩場に立てば鮮やかな剣技を披露する戦鬼と化す。武器は狐刀カカルクモナキIIを使用し、防具はミツネシリーズ一式を着用している。当時の年齢は19歳。
 ※原案は奇稲田姫先生。

◇カヅキ・バビロン
 アオアシラをライバル視している甘い物好きな女ハンターであり、太刀捌きには目を見張るものがある一方、やや天然な一面もある。武器はユクモノ太刀を使用し、防具はアシラシリーズ一式を着用している。当時の年齢は17歳。
 ※原案は魚介(改)先生。
 

 
 個体によっては飛竜種のイャンクックすら凌ぐ体格の持ち主もいるドスイーオスは、鳥竜種としては破格の戦闘力を有している。
 この個体も「金冠」ほどの体躯ではないものの、その身体で通路を完全に塞いでしまっていた。

「ただでさえラオシャンロンだけでも大変だってのに……!」
「イーオスの大群に加えて、金冠手前のドスイーオスだなんて……! 一体、このリュドラキアで何が起きてるんですかっ!?」

 従来の記録を超える速度で移動しているラオシャンロンだけでも相当な脅威だと言うのに、前例のないドスイーオスまで現れている。それほどの「異変」が起こるほどの「何か」が始まっていることは、火を見るよりも明らかであった。

「くそッ……しょうがねぇ! リリア、武器を取れ! こうなったら俺達で片付けるしかねぇぞッ!」
「はっ……はいっ!」

 だが今はその謎を解き明かす前に、眼前のモンスターを討伐せねばならない。通路の先にある砲台を目指していたアーギルとリリアは、ドスイーオスが率いる鳥竜種の群れに対抗するべく、やむなく砲弾を手放そうとしていた。

「……その必要はありませんよ〜、アーギルさん。リリアさん」
「……!?」

 すると、その寸前。イーオスの群れの背後から奇襲を仕掛けてきた他のハンター達が、怒涛の勢いで小型モンスターを叩き斬ってしまう。
 異常事態を察した彼らが、それぞれの持ち場から駆け付けて来たのだ。イーオスを斬り倒しながら、真っ先にアーギルとリリアの前に現れた2人の太刀使いは、その長い刃を鮮血に染めている。

「……私も微力ながら、お手伝いさせて頂きますね〜。ふふふ〜っ……」
「フィレットさん……来てくれたんですねっ!」

 「伝説世代」と呼ばれるハンターの一角である、ミナシノ・ヤクモ。そんな彼女を師に持つ太刀使い――ミツネシリーズ一式を纏うフィレットは、のんびりとした佇まいで微笑を浮かべている。

 常に閉じられた瞳や下がり気味の目尻からは、闘志というものがまるで感じられないが――その佇まいとは裏腹に、先ほどイーオスを屠って見せた剣技は、鋭く冴え渡っていた。青緑色のロングヘアを纏めたポニーテールが、狐刀カカルクモナキIIによる斬撃の弾みで艶やかに揺れている。

「こいつらを先に処理してしまわないことには、老山龍にも集中出来ませんからねっ! 私達でサクッとやっつけて、早く持ち場に戻るとしましょうっ! 私のみじん切りで!」
「それを言うなら気刃斬りだろうが……全く。お前は上位昇格前でも変わらねぇなぁ、カヅキ」
「えへへ、それほどでも!」
「褒めてるんじゃねぇんだよッ!」

 アオアシラのライバルを自称する、マイペースで甘い物好きな太刀使い――カヅキ・バビロン。黒髪のロングヘアをポニーテールに束ねている彼女は、アシラシリーズ一式の防具をその身に纏っていた。

 彼女もこの場には似つかわしくない天然発言で、アーギルを呆れさせているのだが。その言動に対して太刀の扱いは鋭利に研ぎ澄まされており、彼女が振るうユクモノ太刀に斬られたイーオス達は、痛みに気付く暇もなく息絶えていた。

 2人の太刀使いの参戦により、イーオスの群れは僅かにたじろぐ。柔らかな雰囲気の中に隠された、両者の鋭い殺気を本能的に感じ取ったためだろう。
 だが、背後に立つドスイーオスに進撃を命じられている彼らが、戦いを諦めることは断じて無いのだ。鳥竜種としての本能に忠実だからこそ、彼らはフィレットとカヅキにも牙を剥こうとしている。

「砲撃は一旦、ロエーチェさんやアーギルさん達にお任せして……ここは私達で、邪魔者さんを排除するしかないようですね〜? 砲弾を無事に届けられないままでは、ラオシャンロンを攻撃するのも困難ですし……」
「で、でも、いくらお2人でもこの数は……!」
「大丈夫ですよー、リリアさんっ! この事態に気付いてるのは、私達だけじゃないですからっ!」
「えっ……!?」

 ロエーチェ達だけでも砲撃を続けて貰わなければ、ラオシャンロンへの攻撃が完全に止まってしまう。ならば、自分達でその道を切り拓くしかない。
 柔らかな口調でそう告げるフィレットの言葉に、不安げな声を漏らすリリアだったが――そのか細い肩に手を置くカヅキの眼は、自信に溢れていた。

 ――そして、それから間も無く。カヅキの言葉通りに、何人ものハンター達が続々とこの通路に駆け付けて来たのだった。

 決して集団戦に適しているとは言えない、この砲弾運搬用通路を舞台に。ドスイーオス率いるイーオスの群れと、砲台に立つはずだったハンター達による総力戦が始まってしまったのである。

 この狭い空間での戦闘となれば、イーオスの武器である毒液を凌ぐのも難しい。彼らはそれを承知の上で、仲間達の道を切り拓くために駆け付けて来たのだ。
 そんな彼らの姿を目にしたアーギルは、不遜に鼻を鳴らして不満を口にする。

「……あのバカども、自分達の持ち場からホイホイ離れてんじゃねぇっての」

 だが、その口振りに対して。口元は僅かに、緩んでいた。
 
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