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昭和PCゲーム

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第二章

「滅茶苦茶面白いな」
「昔のゲームって理不尽で難しいって言うけれどな」
「そうのも入れてだよ」
「面白いんだな」
「このゲームだってな」
 三つの首を持つドラゴンと戦いつつ話す。
「攻略本わざわざ買ってな」
「そうしてか」
「遊んだんだよ」
「そこまでしてか」
「お前は平成生まれだから知らないだろ」
 笑ってだ、息子にこうも話した。
「昭和のゲームってのは理不尽でな」
「ヒントとかもなくてか」
「攻略に時間もかかったんだよ」
「そうなのか」
「月刊の攻略雑誌わざわざ買ったりもしてな」
 懐かしむ目になっての言葉だった。
「やったな、ファミコンのゲームだってな」
「今じゃネットですぐ攻略法出るのにか」
「そうしたサイトとか5ちゃんのスレでか」
「そうだけれどな」
「昔はそうだったんだよ」
 こう言うのだった。
「本当にな」
「大変だったんだな、昔は」
「その大変さがいいんだよ」
 ドラゴンの吐く炎で大ダメージを受けつつも言う、それで死んでいないが用心しようと思いながら。
「これがな」
「そんなものか」
「そうさ、母さんはゲームしないがな」
 妻である彼女はというのだ。
「昭和のことを知ってるからな」
「お袋も昭和生まれだしな」
「こうしたことも知ってるさ」
「昭和のゲームのこともか」
「理不尽でゲーム中謎のヒントがなかったり滅茶苦茶難しかったり」
 ドラゴンをタイミングよく攻撃しつつ話す。
「それがいいんだよ」
「そんなものか」
「ああ、こういうゲームもいいんだよ」
 鉄平はプレイしつつ話す、ゲームをするその目は少年の目だった。昭和の頃にゲームをしている時と同じ目であった。
 そうしてだ、孫にも笑顔で話した。
「お祖父ちゃんハイドライド3クリアしたぞ」
「えっ、凄いね」
「何十年か振りにな、ザナドゥもクリアしたしな」
「今度はどのゲームクリアするの?」
「ロマンシアもしたしな、次はオールドヴィレッジストーリーにするか」
 孫に目をきらきらとさせて話した、還暦を過ぎても彼は幸せであった。昭和の若い頃に戻ったかの様に。


昭和PCゲーム   完


                   2022・6・23 
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