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急な下痢程怖いものはない

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第二章

「おトイレに行っていました」
「ああ、それ」
「おトイレだったんだ」
「それに行ってたんだ」
「はい」
 そうだというのだ。
「急にきまして」
「ああ、あるよね」
「急にトイレに行きたくなるって」
「誰にでもね」
「それはあるわね」
「そうなりまして」
 そしてというのだ。
「取り乱してしまいました、すいません」
「いや、悪くないよ」
「そうしたこと誰でもあるしね」
「トイレに行くななんて言わないよ」
「そんなこと言う方がおかしいわよ」
「だからいいよ」
「そうですか、ではお仕事を続けます」
 神楽はそれではと頷いてだった。
 そうして仕事をしていった、だが周りは思った。
「若月さんも人間だしな」
「トイレに行くか」
「それで急に来る時があるか」
「いつものクールな若月さんもな」
「急にトイレに行きたくなると焦るか」
「幾ら普段クールでも」
「ああした時は慌てるんだな」 
 周りはそんなところに人間性を見た、そうしてだった。
 神楽を以前よりも好きになった、だが。
 神楽はこう言うのだった。
「急におトイレに行きたくなったりすることは嫌ですね」
「うん、そうだよね」
「歩いていて急にとかあるよね」
「お家でもね」
「そうした時トイレが近くにないと」
「あんな怖いことはないわね」
「私はそれが一番怖いです」
 いつものクールな顔で言うのだった。
「地震や台風も怖いですが」
「災害も怖いけれどね」
「確かにそうよね」
「けれど急にトイレに行きたくなると」
「それも怖いね」
「そうだよね」
 こう話した、そしてだった。
 他の面々も思った、急にトイレに行きたくなることは確かに怖いと。神楽が言うのももっともだと思ったのだった。


急な下痢程怖いものはない   完


                   2022・6・18 
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