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銀河を漂うタンザナイト

作者:Astalos
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アスターテ星域会戦③

 
前書き
相変わらずのアスターテ。今回は第4艦隊と第2艦隊の合流したころの第6艦隊の状況についてです。 

 
帝国軍遠征艦隊旗艦 戦艦ブリュンヒルト 艦橋 

「敵艦隊は包囲網を突破、脱出しました」
「そのようだな」
「はい、追撃なされますか?」

キルヒアイスの報告を受けてラインハルトは憮然としながら答えた。

「無駄だ、あれでは追撃したところで追いつくまい。提督たちにも追撃は不要と伝えておけ。それよりも今は他の敵艦隊をどうするかだ。このまま放置しておいては危険だからな」
「はい、今なら容易に撃破できましょう」
「そうだな、だが……」
「何か気になることでもおありでしょうか」
「いや、なんでもない。ところでキルヒアイス、お前は第2、第6の敵艦隊の内どちらを攻撃すべきだと思う?」
「そうですね。やはり兵力の少ない第6艦隊から攻撃すべきかと考えます、接敵まではおよそ約4時間弱かと」
「コイツめ、もう考えていたなっ」
「はい、すみません」

ラインハルトはからかうように言葉を発した。彼の表情にはキルヒアイスの反応を楽しむ雰囲気があった。それに対しキルヒアイスは微笑みながら素直に謝るとさらに言葉を続けた。

「それに第2艦隊と第6艦隊が合流するまで、まだ少し時間がかかります。その間に少しでも敵の戦力を削いでおくべきでしょう」
「確かにな。よし、分かった。次は敵第6艦隊を攻撃する。各艦に伝達してくれ」
「かしこまりました、ところでラインハルト様、一つよろしいでしょうか?」
「何だ、ほかに何かあるのか?」
「接敵までまだ4時間はあります。兵士たちに1時間の休憩を与えてタンクベッドの使用を許可すべきかと具申いたします…」
「そうだなキルヒアイス、兵士たちには1時間休憩を取らせよう。お前から伝えてくれ」
「分かりました」

キルヒアイスは敬礼しラインハルトの命令を伝えるべく、通信士官のもとへ急いだのだった。


宇宙歴796年/帝国歴487年2月 アスターテ星域  同盟軍第4艦隊臨時旗艦 標準型戦艦リューリク 艦橋

「前方に艦影確認、数はおよそ15000隻ほどと思われます。識別信号確認、帝国軍ではありません!第2艦隊です!」
オペレーターから報告が入ると、クロパチェクはほっと溜息をついた。

(これでひとまず安心だな)

彼は、心の中に浮かんだそんな言葉を噛み締めた。先刻の戦闘でパノフ准将が重傷を負い、その結果指揮系統の空白が生じて艦隊が混乱するのをよしとしなかったパノフ准将により指名された彼は、パノフ准将の代わりに一時的に艦隊の指揮をとる羽目になったのだがこれは彼に取ってなかなかの難問だった。元々、彼は士官学校を次席で卒業するほどの秀才だったがパノフ准将ほどの名声と経験はなかった。そのため、艦隊運用に関しては医務室で治療を受けているパノフ准将の指示を仰ぎつつ、臨機応変に対応していた。しかし、この状態がいつまでも続くのはまずい。何しろ彼のような若輩者の佐官が、数が半減したとはいえ同盟軍主力艦隊の一角である第4艦隊指揮官になってしまったのである。
クロパチェクは今後のことを考えると頭が痛くなった。

(とりあえず、パノフ准将の容態が心配だな。さっき軍医の話だと、出血多量で危険な状態だったらしいが、今は落ち着いているという話だからな…。もっとも予断を許さない容体ではあるが…)

クロパチェクが軍医から聞いた話によると、パノフ准将は重傷ではあるが今のところ一命をとりとめたという。

(それならば、大丈夫だろう……。あとは第2艦隊と合流したら、パノフ准将の容体を確認して、それから……)

クロパチェクが考え込んでいると、通信兵が声をかけてきた。

「臨時司令官殿、第2艦隊司令部より通信が入っております」
「わかった、メインパネルにつないでくれ」
「了解しました」

クロパチェクの言葉を受け通信士はすぐに回線を開いた。するとそこには第2艦隊司令官パエッタ中将と幕僚団の顔が映し出される。

『誰だ貴官は?パストーレ中将はどうした?』

映像の向こう側からパエッタ中将が不機嫌そうな表情を浮かべながら問いかけてくる。その言葉にクロパチェクは敬礼しすぐに返答を行った。

「小官はアラン・クロパチェク大佐であります。閣下、パストーレ中将は戦死したので、私が代理として艦隊を指揮しております」
『なんだと!?』

パエッタは一瞬驚いた顔をしたが、すぐに切り替えたのか冷静な口調で質問してきた。

『では、他の者はどうした?』
「艦隊首脳陣の大半も戦死か重傷を負いしました。唯一指揮の取れたパノフ准将は重傷のため、現在医務室にて手当を受けております」

クロパチェクの報告にパエッタは苦虫をかみつぶしたかのような顔を見せた。

『そうか……。それで、現在は貴官が指揮を執っていると?』
「はい」
『……』
パエッタは黙り込むと、しばし考えた後再び口を開く。
『分かった、今からそっちに行く。それまで艦隊を掌握せよ!』
「はっ、承知しました」

クロパチェクは敬礼を行うと、通信を終了したのだった。

「先輩、第4艦隊が合流するそうですよ」
「そうか……」

ヤンはスクリーンに映った第4艦隊の姿を見ていた。第4艦隊は旗艦リューリクを先頭に第2艦隊と合流するべく移動を開始していた。

「少なくともこれで、少しは楽になりますね」
「そうだな……」

ヤンは後輩であるアッテンボローの発言に相槌を打ちながらスクリーンに映る第4艦隊を見つめていた。

「でも、まだ安心するのは早いぞ」
「それは分かっていますけど、第2艦隊が合流すれば帝国軍に対して優勢になるはずですから、少しはマシになるとは思いませんか?」
「それもそうかもしれない、だが第4艦隊は半数近くの艦艇を失っていて残存艦艇も半分が損傷してる、戦力になるのは半分の半分、つまり約2000隻前後だろうな」
「え、そんなにですか!」

アッテンボローは驚きの声を上げた。

「それじゃ一万五千足す二千で一万七千、あと一歩ってところですね」
「まぁ、そういうことさ。第6艦隊も合流してくれたらほぼ互角に戦えるのだけれどね」
「無理でしょうねぇ……」

アッテンボローは溜息をつくように言った。

「だって、第6艦隊の司令官と言えばあのムーア中将ですし…」
「あぁ、正直言ってあまり期待はできないな」

友人で第6艦隊に配属されたジャン・ロベール・ラップ少佐曰く

『経験はそれなりにあるが、柔軟さはなく頑固で豪胆で粗野な性格の持ち主で、部下の進言は聞き入れず、意見よりも服従を求めるタイプの軍人』

との事だった。

「しかし、第4艦隊の指揮官を代理とはいえクロパチェクが務めていたのは意外だったな」

クロパチェクは士官学校時代のヤンの同期で同期生の中では主席であったマルコム・ワイドボーンと並ぶ秀才として知られていた。性格は基本的に寡黙で冗談を解せず、常に冷静沈着で生真面目だった。また人付き合いが苦手で誰彼構わず淡々とした無愛想な態度をとる事が多く、気難しく他人との交流を好まない傾向があった。そのため周囲からは敬遠されがちであったが、一方で能力に関しては非常に優秀で堅実さと柔軟さを持ち合わせており

『何をやらせても一流にこなせる』

ともっぱらの評判だった。
当時の士官学校校長で現在の自由惑星同盟軍の制服組トップである統合作戦本部長シドニー・シトレ元帥からは将来有望な士官としてヤン同様に目をかけられていた。

「確かに、あいつは士官学校時代も成績は良かったし、指揮官としても有能なんだが、人付き合いが下手でね、空気を読まずに冷静に淡々と正論を吐くものだから周囲と衝突する事もよくあったし、上官受けも悪かったよ。友人も私やラップぐらいしかいなかったんだ」

最も私の場合は知り合ったのはラップつながりでだけれどね、とヤンは付け加えた。

「でも、何でクロパチェク先輩が第4艦隊の指揮をとったんですかね?やっぱりパノフ准将が重傷を負ったからでしょうか?」
「おそらくはそうなのだろう。パノフ准将が指揮をとれない以上、誰かが代わりを務めなければならない。その点、クロパチェクは性格はともかく優秀だからね。あれくらいの規模の艦隊なら十分に指揮官としてやっていけるはずだよ」
「ふーん、でもクロパチェク先輩って結構きつい性格でしたよね」
「うん、そうかもしれない。だが彼は士官学校時代に何度か私の相談に乗ってくれた事もあるし、付き合ってみると意外と良い奴だよ」

ヤンは懐かしそうに笑みを浮かべた。

「それにしても第4艦隊と合流したはいいけどどうするんでしょうね、この艦隊は」
「そうだな……」

ヤンは顎に手を当てると考え込んだ。第4艦隊と合流したといってもまだ全体の2割程度に過ぎず、とてもではないが帝国と対等に渡り合えるだけの戦力ではない。ましてや帝国軍の本隊を相手取るには力不足なのは明白だった。

「やはり、第6艦隊と合流するしかないか」

ヤンの言葉にアッテンボローもうなずいた。

「そうですね、それが一番賢い選択かもしれませんね。このままだと我々はただ消耗していくだけです」
「ああ、だが問題は第6艦隊がこちらに来てくれるかどうかだな……」
「難しいでしょうね」

アッテンボローはあっさりと答えた。

「そもそも第6艦隊は俺たちとは一番反対側にいるんですから、いくら何でも来てくれるとは思えないですよ」
「だが、第4艦隊の戦力が半減した今となっては第6艦隊だけが頼りなんだ。何とかして合流したいんだがなぁ……」

ヤンは腕を組んで考え込んでいた。

一方ヤンが合流方法を考えていたころからさかのぼる事数時間前、第6艦隊では司令官のムーア中将以下艦隊の首脳陣が旗艦ペルガモンのメインスクリーンを見ながら、今後について話し合っていた。

「ムーア提督、如何なさいますか?」

参謀長のゴドノフ少将がムーアに尋ねる。彼らはつい数時間前に入った第4艦隊からの接敵に関する報告に関して議論していた。

「決まっている、帝国軍を迎え撃つのだ」

ムーアはきっぱりと言い切った。

「ですが、当初の予定と異なり敵艦隊の進撃により、分進合撃は不能になり、接敵した第4艦隊はすでに撤退、もしくは壊滅した可能性があります。それどころか我々が帝国軍と戦えば全滅する可能性すらあります」
「ほう、ずいぶんと大胆かつ不愉快な予想だな、ラップ少佐」

ムーアは皮肉を込めて言った。

「私は自分の任務を果たすべく最善と思われる行動をとっているつもりです」

ラップ少佐はやや鼻白んだが、ムーアに臆することなく答えた。

「ふん、相変わらず生意気な男だな。まぁいい、我が艦隊はこれより第4艦隊の救援に向かい、敵艦隊を挟み撃ちにする」

ムーアは自信たっぷりに言った。

「しかし、もし第4艦隊が敗退していたとなると話は変わりますが?」
「それはありえない、第4艦隊とてそうむざむざとやられるはずはない。」
「ですが、第4艦隊が敗北した場合、第6艦隊単独で帝国軍と戦うことになります。これは非常に厳しい状況です」
「何を言っている、貴様臆したか!!」

ムーアは声を荒げた。

「そんな事は分かっておるわ!!だからこそ、我らは第4艦隊と合流し、帝国軍を挟撃する。そして帝国軍を完膚なきまでに叩き潰すのだ!」
「な、ですが・・・」
「もういい、黙れ!!全艦前進、我が艦隊は第4艦隊の救援に向かう!」
「了解しました。それでは直ちに全艦に通達します」
「うむ、それでよい」

こうして第6艦隊は予定を変更して、第4艦隊の救援に向かった。

それから時間は巻き戻る。

「第4艦隊の推定展開ポイント到着まで残り2時間」

オペレーターがそう告げると、ムーアは小さく息をついた。

「ふぅ、まったく手のかかる部下どもめ、さてさっさとパストーレと合流せんとな」
「全く同感ですね」
傍らにいた副官のキム大尉が相槌を打つ。

「何だ、貴官もそう思うのか」
「ええ、あんな使えない連中はさし置いて、我々だけで大手柄を上げるいい機会です」
「ふむ、それも悪くないな」
「でしょう?」
「パストーレとパエッタには悪いが、今回の戦いでは俺が大戦果を挙げることにしよう」
「はは、その時は小官を佐官にしていただければ…」
「くく、覚えておこう」

二人は冗談交じりの会話を交わしながら、メインスクリーンを見つめていた。

「哨戒艦より報告、4時半の方角に艦影確認」
「ほう。どちらの四時半だ?午前か、午後か?」
「は、それはその…」
「ふん、狼狽えおって」

ムーアは呆れたようにつぶやく。

「愚か者共め、我々は戦場に向け移動しているのだ。それなのにその敵が我が艦隊の後方にいるだと、そんなはずはない。敵は我々の前方にいるはずなのだ」
「ですが、後方でもなく前方でもありません。4時半といえば我々の進行方向から見て右斜め後ろの方向です。もしかすると、我々が敵艦隊に発見されたという可能性が……」
「うるさい!お前はいちいち細かい事を気にしすぎる。もう少し楽観的に物事を考えろ」
「お言葉ですが…」
「もういい、下がれ。どっちにしろ敵がいるのなら蹴散らせば良いだけだ」

ラップに手を振って下がらせたムーアはそう言うと不敵に笑った。だがその笑みも直後に入り込んだ報告で一瞬にして消し飛ぶのだった。

「報告、第4艦隊と通信不能、第4艦隊及び敵艦隊現在位置不明」

オペレーターの声にムーアの顔色が変わった。

「なんだと!?敵は第4艦隊との戦闘を放棄したのか?」
「第4艦隊はすでに敗退したのです!!」
「ば、馬鹿な……!不愉快なことを言うな!!」
「現実はもっと不愉快です!!」

ラップとムーアが言い争っているところに

「さらに先程からレーダー及び通信機器が不調の為、周囲の捜索は困難と思われます」
「……」

ムーアは無言のまま、ただ拳を強く握りしめている。

「いかがいたしますか、提督」
「……それh」

ムーアが口を開いて命令しようとした瞬間、突如として旗艦ペルガモンのメインスクリーンに閃光が走り、その直後大きな爆発音が響いた。

「な、何事だ!?」

ムーアは慌てて叫んだ。

「敵襲!!4時半方向から敵艦隊が発砲してきました。現在我が艦隊は敵の攻撃を受けています!!」
「何だと、何故敵がそこにいるんだ!」
「分かりません、とにかく今は迎撃に専念を」
「ちぃ、分かっているわ!!」

ムーアは舌打ちをして、艦隊に指示を出した。

「各艦戦闘配置、急げ!!」
「敵艦隊発砲!!」
「回避せよ!!」

ムーアの命令と同時に、第6艦隊の各艦が一斉に回避運動を取る。

「敵艦隊、尚も砲撃を続行しています」
「反撃だ、主砲発射用意!!」
「了解しました」
「全艦反転せよ!!敵艦隊に対しこれより応戦する!」
「了解、全艦転進。目標、正面の艦隊」
「な、お待ちさい閣下。反転させてはいけません、それではより混乱が生じるだけです。このまま時計回りに進路を転進し、全艦前進して敵の荒廃をつくべきです!!」
「それでは敵の攻撃を受ける時間が長すぎる、全艦反転!!」
「ですが…」
「黙っていろ!」

ラップ少佐の理にかなった進言はムーアからの拒絶を持って回答された。ムーアの指示により第6艦隊は旗艦ペルガモンを筆頭に陣形を崩しながらも次々と反転をしていく。しかし応戦しつつ反転を開始するのは容易なことではなかった。そして、その時を待っていたかのように、帝国艦隊が射撃を開始した。

「敵艦隊より再び発砲!!」
「なっ、くそぉ」
「回避行動が間に合いません!被弾、左舷第3砲塔大破。被害状況は不明です」
「ぐぬぅ、面舵一杯、回頭終了後、応戦。シールド出力最大、急げ!!」

ムーアは苦虫を噛み潰したような顔で、そう怒鳴る。

「了解」
「くそ、こんな所で……」

ムーアは歯ぎしりをしながら、メインスクリーンを見つめた。

「敵艦隊、我が艦隊の包囲殲滅を企図している模様。この動きは明らかにこちらの動きを読んでのものと思われます」
「何だと、小癪な真似をぉ…」

ムーアは悔しさを滲ませながら、吐き捨てるように言った。

「敵艦隊、我が艦隊の退路を完全に断とうと動いています」
「く、何とか脱出せねば……」
「敵艦隊の発砲頻度が上がってきています。このままでは……」
「敵艦隊の攻撃集中、艦隊損耗率7割を突破。これ以上の戦闘継続は不可能です」
「まだだ、まだ終わらんぞ……」

ムーアは諦めずに命令を発し続ける。

「敵艦隊、我が艦の退路を完全に遮断」
「ちくしょう……、奴らは俺達を生かして帰さないつもりだ……」

ムーアはそう言って唇を強く噛む。

「提督、敵艦隊に包囲されました。我が艦隊は既に完全に取り囲まれております」
「……」

ムーアは何も言わず、ただ拳を握っているだけだった。

「提督、いかがいたしますか?」
「報告、敵艦隊より入電『貴艦隊にもはや勝機無し、降伏せよ』以上です」
「降伏だと…」
「はい」

通信士官からの報告を聞いたムーアの顔が見る見るうちにどす黒くなっていく。

「閣下、如何なさいますか?」
「いや、俺は無能者であっても、卑怯者にはなれん!」

ムーアは怒りに震えながら叫ぶ。

「こうなれば玉砕あるのみ、死して武人の魂を敵に見せつけてくれるわ!!」
「な、閣下!!」

ムーアの言葉にラップが非難の声を上げるが一喝により黙らされてしまった。

「敵艦隊、降伏勧告への応答なし」
「そうか、では沈めよ」
「はっ!」
「全艦砲撃開始!!」

その瞬間、帝国艦隊旗艦ブリュンヒルトを始めとした各艦の主砲が発砲する。

「敵旗艦発砲!!直撃コース、来ます!!」

第6艦隊旗艦ペルガモン艦橋でオペレーターの悲鳴にも似た声が上がる。

「回避だぁ!!急げぇえ!!」

ペルガモン艦長ラットゥアーダ中佐は絶叫に近い声で叫んだ。

「駄目です!間に合いません!!」
「うおおぉお!!」

次の瞬間、旗艦ペルガモンに帝国戦艦の放ったビームが直撃した。
ペルガモンは一瞬にして艦内が爆炎に包まれる。

「ぐ、うぅ…」

数少ない艦橋内の生存者であったラップ中佐は薄れゆく意識の中、自分の命が消えるのを感じていた。彼は力尽きる前に胸ポケットから写真を取り出す。それは愛する婚約者であるジェシカ・エドワーズとヤン、クロパチェク、自身の4人を校門をバックに映したものだった。

「すまないジェシカ、君との約束を守ることができなかった……。俺はもうすぐ死ぬだろう、だがどうか許して欲しい…」
「グフゥ、ゲハッ、それとヤン、クロパチェク、ジェシカのことは頼んだぞ…。最後に…俺みたいになるなよ…」

ラップの瞳からは涙が流れ落ちる。次の瞬間第6艦隊旗艦ペルガモンは大爆発を起こし消滅した。そして、帝国艦隊は第6艦隊が壊滅したのを確認するとそのまま戦場を去っていったのだった。
 
 

 
後書き
結局ラップは死んじゃいました。作者的にも生かすかどうか迷いましたが、生きていたところでキャラをちゃんとかける自信がなかったので原作通りにしました。 
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