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星河の覇皇

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第八十一部第二章 軍事の素養その十

「歴然たるな」
「左様ですね」
「マウリアにあるものは区別です」
「カーストとアウトカーストの」
「絶対のものです」
「まさに」
「我々に人権はない」
 ジャバルは言い切った。
「人口の統計にも入れられていなかった」
「若しです」
「カースト層の者がアウトカースト層の者に何かしても」
「それが殺人であっても」
「それでもでしたね」
「我々は法律の中にいなかった」
 マウリアのそれにだ。
「だからな」
「それで、でしたね」
「彼等は罪に問われませんでしたね」
「長い間そうでしたね」
「それが我々の状況でした」
「外国人もだ」
 彼等もマウリアに入ればというのだ。
「法律の保護があったが」
「それが、でしたね」
「我々アウトカースト層は違いましたね」
「不可触民と呼ばれ」
「そのうえで」
「車に撥ねられてもだ」
 カースト層の者の運転するそれにだ。
「そうなってもだ」
「はい、死んでもです」
「先程の殺人と同じですが」
「それでもでしたね」
「彼等は罪に問われず」
「逮捕もされませんでした」
「それでどれだけの者が死んだか」
 暗い顔でだ、ジャバルは言った。
「まさにな」
「左様でしたね」
「我々は、でしたね」
「多くの同胞を失いました」
「一体どれだけのアウトカースト層が殺されたか」
「人権を踏み躙られたか」
「そのことを思うとだ」
 ジャバルはさらに言った。
「我々はな」
「折角再び権利を得たのです」
「市民権というそれを」
「それならばですね」
「それを二度と手放してはならない」
「あらゆる分野において」
「軍でもだ」
 こちらでもというのだ。
「やはりな」
「その権益を守りますね」
「何としても」
「彼等が何と言っても」
「それでもですね」
「そうだ、既得権益にしてだ」
 確かに得ているものにしてというのだ。
「そのうえでな」
「守っていきますね」
「多くの人材を入れ」
「そうして」
「アウトカースト層の武装している階層からだ」 
 まさにというのだ。
「軍に入れていく」
「そうしていってですね」
「軍にもアウトカースト層を進出させ」
「我々の権利を得ますね」
「必ず」
「軍隊は必要だ」
 絶対にという言葉だった。 
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