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わりとよくあるイレギュラーなネギま!

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渾沌麻帆良祭編
  25話 キリスト・セカンドはアイヲシル

 物語などの主人公の役割を考えてみた。
 答えは簡単。制作者の都合のいいように動く玩具である。
 つまるところオレは神様の駒なのだ。
 神様にどんな崇高な目的があったとしても、オレはタダの模造品。
 イエス・キリストの魂や記憶があろうと、それは変わらない。
 そうオレの真の名前は、キリスト・セカンド。
 いや、セカンドを名乗るのもおこがましい。
 オレの生まれた場所は、培養液が充満したカプセルのなか。
 思い出す、思い出してしまう。
 全身の震えが止まらない。
 続々と廃棄されるオレと同じ顔のナニカ。
 死にたくない、死にたくない。
 ソレがオレの原初の祈りだった。
 思い出すと同時に、嘔吐を繰り返す。

「ヨシュア、ヨシュア! しっかりしろ!」
「ああ――っ! ヨ、ヨシュア様! 何故だ(しゅ)よ! なんなんだこれは? これが私への天罰なのですか! だったら私にその痛みをよこせ! なんで、なんで――」

 ああ、ああ――。

「アアアアアアァァァァァ」

 すべてを思い出したオレは、絶望の産声をあげた。
 異世界からの転生者?
 そうであればどれほどよかったか。
 オレを空虚な瞳で見つめる廃棄品たち。
 ああ、ダメだ。こんな痛みと重しには耐えられない。

「オレは……人間と呼ぶべき存在ではなかった。あははは、ははははは――げふ、ああ、うえっぷ!」

 笑いと嘔吐しか出てこない。

「オレは、イエス・キリストを穢す――もっとも醜悪でおぞましいナニカだった」

 双眸から溢れる濃い血液。オレは亀のようにうずくまって、慟哭するだけ。
 もはや、天上の神様を観測することは出来ない。
 これ以上アレを観測すれば、オレの劣化した魂は、木っ端微塵に砕け散るだろう。
 ダメだ。もう頑張れない。
 限定的な異世界観測という希有な能力を持ってしまったがために、オレは神様に選ばれただけの量産品のひとつ。
 不良品の駄菓子より価値がない。
 よみがえる記憶――オレを慕う人々の死体の山。
 オレは神様の力を借りないと、誰も助けることが出来なかった。

「ごめんなさい、ごめんなさい――守れなくて。オレは価値なしの不良品です」

 絶望と後悔と悔しさで一杯の塵屑(ゴミクズ)
 そんなオレの頭をエヴァが優しく撫でる。

「エヴァンジェリン……なんで? オレは――」

 と、顔をあげた瞬間、オレの汚れた唇に柔らかいエヴァの唇が重なる。

「共に生きよう。『一緒に歳を取って、しわくちゃのじじいとばばあになろう』なあ、そう言ってくれたよな? おまえはイエス・キリストではなかった。けれど、私に光をくれたのは、ヨシュア・キリストリアルと言う名のアホだったんだ」

 その言葉は、あまりに優しくてあたたかく。
 だからそんな言葉を聞いたオレは完全にダメだった。
 汚れた唇のことなどお構いなしに、エヴァの唇を奪う。
 華奢な身体を抱きしめながら――。

『お、おほん!』と複数の女性の声。
「……あ」っとオレは周りを見る。
「……え?」っとエヴァは高速でオレから離れる。

「カリン、茶々丸(ちゃちゃまる)(しずく)。オレってイエス・キリストの模造品だったみたいだ。それでもオレのこと好きでいられるのか?」

 カリンは小刻みに震えながら、オレもそばに寄ってくる。
 彼女は目を瞑って、静かにオレの前に顔を近づけた。
 オレは何も言わず、そっとカリンの唇に自分の唇をあわせる。

「ヨシュア様……もっと」
「様はつけるな」

 カリンはオレの背中に手を回して、ぎゅっと強く抱き締めた。

「ヨシュア……ヨシュア。好きよ。自分を嫌いにならないで。私が沢山の愛をあげるから。貴方も私に愛をちょうだい」
「……オレなんかでいいのなら」

 やべえ、これが愛か。エヴァにカリンのことがこんなにも(いと)おしいなんて。

「あの……女誑しのヨシュアさん」
「あ~。否定できないな。で、なんだよ茶々丸?」
「私は機械です。それでも貴方を好きでいていいですか?」

 オレは茶々丸に静かにキスをして「これが答えだ」と言った。
 雫は何故か服を脱いで襲ってきたので、蹴りで返事をした。
 小太郎(こたろう)からは「ヨシ兄。どうなってもしらへんぞ」と忠告をされる。

 さて、もうじき麻帆良祭(まほらさい)が始まるな。
 みんなには随分素っ気ない態度を取ってしまった。
 謝らないといけない。オレは模造品だが、彼女たちの気持ちは本物だ。
 エヴァたちと『別荘』から出て、飯を食べに行く。
 路面電車の屋台、超包子(チャオパオズ)

「おい、エセチャイナ。注文をたのむ」

 すると、エセチャイナこと、(チャオ)鈴音(リンシェン)が現れた。
 エセチャイナで反応するとは、コイツ自身もエセチャイナだと自覚があったんだな。

「なんだよ~。こっちは忙しいんだから」
「お、それが素か?」
「どうでもいいでしょ。で、注文は?」
「お任せを人数分。それと、別件で頼みがある」
「え~。あんたのせいで、こっちは大変なんですけど――」
「神様についてナニカ知っているか?」
「……は?」
「クソ。おまえも知らないのか」
「ちょっとソレ何のこと?」
「超……『カシオペア』は使うな」
「……その神様ってのに関係しているの?」
「ああ、実は――」

 オレは超にオレの知る限りの神様の情報を話した。
 おそらく時間の操作や死者蘇生が出来るだろうということも。

「う~ん。確かにすでに私の知っている歴史とは大きなズレがあるんだけど――」
「チャオさん。厨房に戻ってください」
「あ、さつき。了解アル。こちらのお客様たちはお任せで」
「了解です。ヨシュアさんにみなさん、ゆっくりとしていってくださいね」
五月(さつき)、ありがとう」
「……いえ」

 しかし、あいつの料理は至高だよな。
 横で、エヴァが「さつきはホンモノだ」とか、クールに決めている。
 カリン、雫、小太郎はお腹を『ぐ~』とならしている。
 いや、雫よ。おまえって食べ物を摂取しないといけないタイプなの?
 茶々丸は、超たちの手伝いをしにいっている。

「なあ、どうやったらみんなが修業してくれると思う?」
 
「いやいやさせてもダメだろうな」とエヴァ。
「ヨシュア。私もそう思う」とカリン。

 小太郎は「強さこそパワーや」と意味不明なことをいっている。
 その時、雫の瞳が怪しく光る。

「私にすべてお任せください! この雫に妙案ありですよ~!」

 だ、大丈夫かな?
 だが、オレも強くならないといけないな。
 神様の目的は『人の子らの幸福』だと言っていたが……。
『魔法先生ネギま!』のラスボスの目的も世界の救済とかだったはず。
 後者はやばいのは確定だったし、今のオレだけでは確実にラスボス軍団を止められない
 ひとまず全員のレベルアップが必要だ。特にネギ。

 数日後。
 とうとう麻帆良祭(まほらさい)が始まる前日。

 何故かオレに好意を持っていそうな、女性陣の魔力と体捌(たいさば)きが洗練されていた。
 つーか、見た目が激変しているヤツらがいるじゃねえーか!

「おい、雫。何をしたんだ?」
「エヴァンジェリンの別荘内で『修練の門』を互いに使わせました」

 は? なにその裏技。だが、なるほど。……だから、みんな成長しているのな。
 が、ココで大きな誤算がおきる。
 そう……成長しているのだ色々と。
 つまり、麻帆良全体にネギの性別がバレてしまったのだ。
 
『10歳です? 嘘を言うな! おまえのようなスタイルの10歳がいるか!』

 と、いう感じです。てか、この前までナギさんに似ていたのに、今はアリカ王女に何処となく似ている。
 やべーぞこれ。気付くヤツは気付くぞ。
 それと双子『身長が伸びるサプリを飲みました!』って、無理があるだろう。
 全員がおそらく16歳ぐらいまで修業をしている。

「では皆様。ヨシュア様の童貞喪失を賭けた武道大会にいってみましょう!」
『おー!』

 頭が痛くなってきた。
 オレは雫を引っ張って、耳打ちを行う。

「おい、おまえ、これどうすんだよ」
「あ、あ、あ――。耳で妊娠するぅ~!」

 コイツに任せたオレが阿呆だった。
 別にこいつらのこと嫌いじゃないし、むしろ好きだと思っている。
 けど、これは流石にないだろう。
 てか、クラスから何人出るんだ?
 うん? さよ!?

「おい、さよ! なんで実態があるんだよ!」
「あ、ヨシュアさん。これ『ÄRM(アーム)』で創造した『マリア』です。子どもも産めるんですよ~。貴方のために想像して創造したんです」

 そ、そげな……もはやそれは『ÄRM(アーム)』ではないと思うのだが……。
 オレが若干の寒気(さむけ)を感じているその時。

「ヨシュアとネギ先生」
「あ、刀子(とうこ)さん」

 瞬間、めちゃくちゃ美人に成長したネギが、底冷えするような声でオレに質問する。
 
「ヨシュア。その呼び方ってどういうことなの?」
「ネギ先生……似ているような?」

 やばっ!
 
「あー、おほん! さて、葛葉(くずのは)先生。なにかようでしょうか?」

 オレは『頼む空気を読んでお願い』と心の底から思った。
 願いは2人に届き、2人はにこやかに笑う。
 そして刀子さんが世界樹(せかいじゅ)前広場(まえひろば)に来て欲しいと言った。
 オレは率先して前を歩く。
 すると何やら後ろで小声がした。

「ガキが」
「あはは、ババア」
「うん? なんかいった?」
「ヨシュア。なんでもないよ~。それより今のボクってどう? 美人? 欲情する?」

 オレに急接近するネギ。
 刀子さんはいつの間にかいなくなっていた。
 
「むむ、胸が当たってるって! ネギ、距・離・感!」
「えーなんでー? ボクは10歳なんだよー? これくらい当たりまえだって」

 こいつ、中身は超絶エロ娘のままじゃねえか!
 誰だよ『修練の門』に一緒に入ったヤツラは!

「ネ、ネギさん。そのお姿だと、ひじょうにですね――」
「あはっ! もう世界樹(せかいじゅ)前広場(まえひろば)に行くのやめにして、ボクとこのまま……」
「ちょ、調子に乗るな!」

 オレはネギの頭に拳骨を炸裂させる――瞬間。

「……え?」

 殴ったと思っていたら、倒されているのはオレだった。

「もうボクのほうが強いよ。この力でヨシュアを守るんだ……神様から」

 ネギの全身に禍々しい模様が浮かんでいる。
 あ、これって……。

「マスターに全部聞いたよ。神様が何を考えているのか知らないけど……」

 今、ネギが発動しているモノは『闇の魔法(マギア・エレベア)』なのか?
 いや、これ想像していた以上にやばくないか?

「愛のほうが絶対に優先されるべきなんだ!」

 ネギの瞳が黒く、いや、漆黒に染まっていく。
 すべてを飲み込むブラックホールのように。

「ヨシュア。ボクは強いでしょ? きひひ、あははははは! 貴方は誰にも渡さない。永久にボクのモノだ!」

 あ、あかん!
 なんかこのネギさん、『闇の魔法(マギア・エレベア)』を超越したナニカを身につけているんですけど!
 ソレに、正直な話……すごくおもいわ!
 なんでそんな風になっちゃうんだよ。
 オレはただ側にいただけなのに……。
 その後、魔法関係者との顔合わせ。
 刹那(せつな)と小太郎もいるのだが……。
 小太郎および魔法関係者は成長している、ネギと刹那を見て『?』になっている。
 誰かが「え、災厄の女王? え? え?」とか言っているぞ。
 全力でごまかすのだ。

「皆様お久しぶりです。実はこの子がネギでして。その、誰かに似ていますか? オレはネギのお母様とは知り合いで、マリルという方なのですが……」

 お願い、騙されて。今はまだその時じゃないの。

「……分かった。でだ、キリストリアル。何故、ネギくんの性別を(いつわ)っていたのだ?」
「ヤクザさん……それはですね――」

 瞬間、ヤクザ神多羅木(かたらぎ)の『指パッチン魔法』がオレの脛に炸裂する。

「あいた!? な、なにすんじゃ! このヤクザ!」
「……次、ヤクザと言ったら手加減はしない。さあ、(いつわ)らずに問いに答えろ」

 た、助けて、このえもん~!

「神多羅木くん、そこまでじゃ」
「しかし!」
「ええい! 今はソレよりも世界樹(せかいじゅ)伝説の話を――」

 流石はこのえもん。騒いでいた魔法関係者を一瞬で黙らせた。
 その後の話はテキトウに聞く。
『告白がやばいで~』的な話だ。
 話は終わった、が!
 ネギの距離感が問題だ。
 近いの! それに腕を絡ませるな!
 オレよ。い、意識をするんじゃない。
 オレは家族としてネギが好きなんだ。
 
「ね~ヨシュア。ボク、疲れた。どこかで休んでいかない?」
「おまえなぁ! まだ10歳だろ! どこでそんな台詞を覚えた! それとソレ、オレ以外には絶対に使うなよ」
「あ~ん。分かっているならさー。ねえ、いいでしょ~?」

 だ、誰か助けて!
 そんなオレに救いの手を差し伸べたのは――。
 ドガン!
 
「ネギ先生。丁度よかった、助けてくれないか。私、悪い奴等に追われているネ」

 エセチャイナ! ナイスタイミングだ!
 が――。

「嫌です。ヨシュア~、あっちあっち」

 あんまりなネギの態度に、エセチャイナは激怒した。

「おい待て! 生徒が助けを求めているんだぞ!」
「えー。めんどい。ソレよりボクは、ヨシュアと創世合体をしないといけないんです」
「創世合体ってなんだよ! 変な言葉を使ってごまかすな! この変態エロ娘!」
「あれ……アルとかネとかどこいったんですかぁ~?」
「こ、この――」

 瞬間、エセチャイナに殺到する魔法関係者。

「アイヤ!? ワタシナニモミテナイアルヨ! その2人が公衆の面前で破廉恥なことをしていたなんて!」
『ええええええ!? こんなところでアンナことやソンナことやヒョンナことまで!』

 エセチャイナは口からありもしない事実を、次々と発言していく。

「×××××××××××××で×××××××××××アル!」

 オレとネギはガンちゃんたちに「ちょっと来なさい」と言われて、人気(ひとけ)のない場所に連れて行かれた。

「何を考えているんだ! 本来なら君たちはまだ学校に通っている年齢なんだぞ! ソレに、もし子どもが出来たらどうする気だ! 責任を取れるのかい? 当人の君たちはいいさ。でも、生まれてくる子どものことをキチンと考えないとダメだ」
「が、ガンちゃん……言っていることはすごく、分かるんだけどさ」
「いや、分かってない! 子どもを育てるというのはだね!」
「だから、ガンちゃん! 超、逃げたよ」
「話をそらすな! 今は君たちの子どもの将来のことが最優先だ!」
「ガンちゃん、落ちついて」
「はっ!? そういえばヨシュアくん。君さ、数十にも女性を侍らせているそうじゃないか。まさかとは思うが……」
「ご、誤解ッス! ネギも説得してくれよ」
「ええ!? ヨシュアくんってそんな性癖が……」
「ふむふむ。ヨシュアさんはドSでもありドMでもあるわけですね」

 おいネギ! 何を嬉しそうにあることないことを、魔法生徒の『グッドマンと佐倉(さくら)』に語っているんじゃ!

「ネギ、やめろよ!」
「キチンと話を聞きなさい! いいかい、君の軽はずみな性衝動でいったいどれだけの子が傷つくと思って――」

 ガンドルフィーニ先生。真面目すぎ。
 ガンちゃんことガンドルフィーニ先生にオレは怒られ続けたのだ。
 そして何が起きるかわからない渾沌(こんとん)麻帆良祭(まほらさい)が始まる。
 
  
 

 
後書き
おまえの作品、嫌いじゃないぜ。
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