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少女は 見えない糸だけをたよりに

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9-9

 12月になると、くるみちゃんが

「香波 クリスマスどうすんの? ウチは神戸に連れて行ってくれるんだって」

「そう いいわねー ツリーなんかもきれいなんだろーなー」

「だから 香菜は?」

「ううん 私等 休みも合わんし・・別に特別なことないでー」

「ふーん つまんないね かわいそー」

「べつにー 私、あの人に会えるだけで幸せやから それより くるみ 就職のほうどうなん?」

「うん 一次は何社が受かってんでー 本格なんは 年明けてからやね」

 巧に会った時、クリスマスのこと聞いてみたけど

「うーん 特別なー だって、夜は会えないしなー クリスマスだからってべつにー」

 予想していた通りの返答だ。私だって、別に、期待していなかった。だけど、お正月には・・

「ねぇ お正月 初詣ぐらいは 一緒に行ってくれるでしょ もう、離れないってお願いしようよ」

「うー 休みっても、元旦だけなんだよ」

「元旦かー 私、出にくいなぁー じゃあ 2日の昼間 大丈夫でしょ」

「まぁな」

「なによー そのー 気のない返事 嫌なのー」

「そんなことないけど どうも、寮生活だと世間からかけ離れてしまってな」

「嫌だよー その為にも私が居るんじゃあない それでなくてもさー あの時から ずーと キスもしてくれてないんだよー 私だって たまには・・」

「香波 ・・そうなんかー そんなこと、嫌なんか思ってた」

「なんでー 巧には、いつも、抱きしめていて欲しいって思ってるよ だけど、周りに人がいるし、見られると恥ずかしいから・・ いいの 気にしないでー だからー 初詣! 私ね お着物着せてもらえると思うし 自分でも可愛いと思うよ だから 巧にも見て欲しいんだー」 
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