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少女は 見えない糸だけをたよりに

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9-2

 ある日の夕方、巧と有沢さんが揃って顔を出してくれた。

「香波ちゃん 俺 就職先 決まった。バイオ野菜の会社でな 浜松やねんけどな」

「ありゃ 離れていっちゃうんだ」

「まぁな しょうがないよな 香波ちゃんも巧をしっかり掴まえておかないと、あちこちに行っちゃうぞ」

「よく 言いますね 自分は離れていくのにー」

「俺は まだ 彼女も居てないし フリーやんか」

「うーん 私もな 巧の負担になったら、あかんねやって 決めてるんやけどな」

「香波 なんも 負担なことないから それは、気にするなって」と、巧は言ってくれた。

「香波ちゃん いつもの威勢の良い娘 今日は居ないんだ」

「うん 就活が忙しいみたいよ こちら すみれさん」

「なんで こんなに美しいひとが・・」

「うふっ 美人でしよー うちはハニーエンジェルだからね でもね だめよ もうお相手いるんだから」

「オォー ここには、天使は居るけど 神様は居ないのか―」

「ふふっふー はじめ そりゃー 名言だなー でも、キューピットは居るぞ 香波が言って居た 有沢さんがキューピットになってくれたってな」

「そうかー 巧 俺 辛かったんだぞー お前がろくな便りよこさないから 二人に責められてな―」

「ああ そんなこともあったなー バイトあるから もう いくぞ」

「巧 身体だけ 壊さないでね」

「おう お互いな」 
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