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弟も

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第二章

「兄上だけでなく弟殿もとは」
「実に見事なものだ」
「これは賞賛する他ない」
「まことにな」
 ドイツ軍だけでなく敵である連合軍の者達もだった。
 彼についてだ、こう話した。
「敵ながら見事だ」
「兄だけでなく弟もエースとはな」
「こうした敵でこそ戦えるというものだ」
「兄上は見事な騎士だ」
「空の騎士だ」
「そして弟殿もそうだとはな」
 このことを素直に賞賛した、そして。
 ロタールがいる戦場に出るパイロット達にだった、司令官は言った。
「ここには弟殿がいるぞ」
「リヒトホーフェン家のですね」
「次男殿ですね」
「あの御仁がいますね」
「見事な騎士だ」
 弟である彼もというのだ。
「その騎士を倒して来い」
「そして武勲を挙げよ」
「そうして来いというのですね」
「これより」
「そうだ、見事な騎士を倒すことこそ誉れ」 
 司令官はパイロット達ににやりと笑って話した。
「そうだな」
「その通りです」
「ではこれより戦場に出ます」
「そして敵の誇り高い騎士を倒してきます」
 パイロット達も司令に言葉を返した、そうしてだった。
 ロタール=フォン=リヒトホーフェンとの戦いに赴いた、彼等は騎士に果敢に戦いを挑んだ、だが彼は強く。
 多くの者が撃墜された、彼等の中で生き残った者が語った。
「手強かった、だが」
「見事な騎士でしたか」
「実にな」
 こう語るのだった。
「そうだった」
「では戦ってですね」
「後悔はない」
 全くと言うのだった。
「何もな」
「見事な敵だから」
「それ故にですね」
「兄君も有名だが」
 マンフレート、彼もというのだ。
「しかしな」
「弟殿も負けていない」
「立派な騎士である」
「だからですね」
「そうだ、だから満足だ」
 こう言うのだった、兄だけでなく弟の彼もエースそして見事なパイロット即ち空の騎士として名を馳せていた。 
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