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わりとよくあるイレギュラーなネギま!

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聖誕
  8話 那波千鶴はヨシュア・キリストリアルを許さない

「きいー! あんちくしょうめ! あいつのせいでネギ先生とスキンシップがあまりできないですわ!」
「あやか、少しうるさいわよ」
「そうだよ、いんちょー。それ、いつものことじゃん」
「私はおまえが憎い。ヨシュア・キリストリアル!」

 はあ、またはじまったわ。
 私のルームメイトの雪広(ゆきひろ)あやかは小さい男の子が好きだ。
 あやかはネギ先生を、生まれてこれなかった、弟と重ねているのよね。
 だから、あまりソコには踏み込みたくない。
 私、那波(なば)千鶴(ちづる)は雪広あやかを親友だと思っている。

「どうしましょうか、夏美(なつみ)?」
「ここは、あえてヨシュアさんにお願いしてみよう。あの人、実は同い年で結構話が合うんだ~。ソレにコレ見てよ」

 村上(むらかみ)夏美。私のルームメイトでこの子も親友。彼女はどこか神秘的な雰囲気のする、銀の箱をポケットから取り出す。

「これは?」
「この前、食堂でネギ先生とヨシュアさんに余ってた食券あげたんだよ。そしたらこれがお礼だって。なんでもヨシュアさんの手作りらしいよ。中を開けてみて」

 私は夏美に言われるがまま、銀の箱を開けてみた。
 中には、指輪が3個入っていた。

「へえ、あの人って器用なのね。ソレにとてもこの指輪、綺麗な彫金だわ」
「でしょ。私だけじゃなくて、2人にもだってことで3個なんだよ。あの人、結構ホイホイと、色々な人にプレゼントしているみたいなんだけど。いざ、自分ももらえると案外、嬉しいもんだよね」
「ふ~ん。あの人なりに必死で私たちと仲良くしようってところかしらね。あやか、あなたの怨敵から贈り物よ」
「ヨシュア・キリストリアルからの贈り物? そんなの捨てなさい! どうせろくな、もん、では……ありませんわ?」

 あやかは私の持っている指輪に目が釘付けになっていた。
 まあ、そうよね。私たちの家はお金持ち。コレでも商品の良し悪しぐらい判断出来る。
 そしてこの指輪は……。

「あ、ありえませんわ。こんな綺麗で複雑な彫金の指輪は見たことがありません。あいつ……あの人、コレをどこで手に入れたのですか?」
「いんちょー、ヨシュアさんの手作りだってさ。最近は、アスナも一緒に彫金やら細工をやってるって」
「き、きっとインチキですわ! それにアスナさんとはどこで作業をしているのかしら? 助けなければ、アスナさんに毒牙が!」

 すると、夏美が爆弾発言をした。

「え、ヨシュアさんって特例で女子寮にいるよ」
「は?」
「え? 夏美。それ本当なの?」
「うん、アスナたちの部屋だって。なんでも学園長が直々に許可をしたって話だよ。ヨシュアさん、女子寮の護衛人だって噂も聞いたことあるんだ」

 いや、それは流石にまずいんじゃないのかしら。
 あの人は確かにかっこはいい。
 どこか神々しい艶のある黒髪に、最高級品の宝石より神秘的なエメラルドグリーンの瞳。
 身長も高くてスタイルもいい。
 でも、そんな外見でも、中身は全然ダメ。
 短気で、野蛮で、変態。
 ……アスナさんたちが危ない!

「いきますわよ! 千鶴さん、夏美さん! 我が敵を追い出しに」
「ええ、いくら学園長の許可があったとしても許さないわ」
「え~、私は別にいいと思うんだけど」
「夏美!?」
「夏美さん……ま、まさかあなた……」
「うん、私。あの人のことはアリだと思ってる。ちづ姉もいんちょーも、もっとしっかりと観察してみなよ」

 許すまじき悪。ヨシュア・キリストリアル。まさか夏美までもを毒牙に!

 私はあやかと共に、きゃつのいるアスナさんたちの部屋に。

「おい! 開けろ! ぶっ殺すぞ! ヨシュア・キリストリアル!」
「ち、千鶴さん?」

 あら、ついつい下品な言葉が。

「おほほ、冗談よ。あやか。さあ……奴に天誅をくだしに参りましょうか」
「こんな千鶴さんは、はじめてみましたわ……」
「あやか。あなたは何も見ていないし聞いてない。おーけー?」
「は、はい!」

 その時。

「何よ、うるさいわね。誰?」
「アスナさん無事ですか! あいつに変なことされてませんか?」
「アスナさん。どいてください。あのクソ……おほん! ヨシュアさんをおいださないと」
「うん? ヨシュアに用事? なら、入りなよ」

 アスナさんは私たちを招き入れる。
 いた、奴。ヨシュア・キリストリアルが床に引いた布団で寝ていた。
 私は勢いよく、奴の頭を叩こうとする。
 瞬間――。

「今は邪魔するな。ネギが寝ている」
「え?」
「あら、ネギ先生?」

 ネギ先生は、ヨシュア・キリストリアルに抱きつきながら、苦しそうに寝言を言っていた。

「……ごめんなさい。ボクがあんなことを思ったから」
「ネギ、大丈夫だ。きっと全部うまくいく」

 あ、あんな優しい表情も出来るの?
 普段とまったく違うわ。溢れる慈愛の抱擁。
 ソレは今まで見た崇高な絵画より、美しく見えた。

「……要件は? 手短に頼む」

 私は今まで何を見ていたというの?
 この人はこんなにもネギ先生を愛しているというのに。

「あやか……私は自分を恥じているわ」
「私もですよ、千鶴さん。あの、ヨシュア、さん」
「なんだ?」
「今までの非礼をお許しください」
「私も酷いことをしようと思っていました。申し訳ありません」

 ヨシュアさんは「別に気にしてねーよ。嫌われるのにはなれている」と言って、ネギ先生の頭を撫でる。

「あんな、ネギちゃ、くんは。急にこうやって寝るとき苦しみだすんよ。ヨシュアさんがおらんともっと酷いんやで」

 っと、このかさんが告げる。

「こいつら、別に私たちに悪さとかしないよ。それに……」
「なんですか、アスナさん?」

 途端に表情がくもるアスナさん。

「私と一緒なんだよね」
「え?」
「……どういうことですか?」

 私は意味が分からなかった。アスナさんと一緒とは?
 あやかは気まずそうに、顔を伏せている。

「やー。どっちも両親いないんだって。それで2人で暮らしてたんだってさ。私と高畑先生みたいな関係的な……あはははは、はははは」
「アスナさん……」

 噂では知っていた。アスナさんに両親がいないことを。
 私は特大の地雷を踏んでしまったようだ。

「……あ、変に気にすんなよ。ネギはともかく、オレはなんとも思ってない」

 私たちはトボトボと部屋に帰る。
 彼のあの優しそうな顔が頭から離れない。
 あやかも、あの人にもらった指輪を見ながら、どこか上の空状態。

「ちづ姉にいんちょーもどうかしたの? 帰ってきてから変だよ」

 ホントそうよね。
 私、どうかしているわ。
 あんなことで、彼のことが――。
 
 
  
 

 
後書き
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