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星河の覇皇

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第八十一部第一章 全戦線でその四十二

「今はな」
「それでは」
「そして国債は発展してですね」
「その予算の中からな」
 大きくなっていく国家予算の中からというのだ。
「返していく」
「そうされていきますね」
「だからだ、今はだ」
「国債を発行し続ける」
「今エウロパに必要な政策の為な、批判は知っているしだ」
 これはギルフォードも承知している、エウロパ国内では彼の国債を次々に発行する政策を懸念し批判する声も強い。
 そのことを踏まえてだ、彼はまた言うのだった。
「それを止めるつもりもない」
「言論統制はですね」
「弾圧もな」
 そちらもというのだ。
「一切しない」
「エウロパは民主主義国家だからこそ」
「それはしない、この国は真の民主主義国家だ」
 ギルフォードはこうまで言った。
「連合と違うな」
「大衆民主主義という名の衆愚政治と違い」
「階級に基づいた秩序があるな」
「真の民主主義ですね」
「そうだ、だからだ」
 それ故にというのだ。
「私はだ」
「言論統制はですね」
「弾圧もな」
 そのどちらもというのだ。
「しない」
「そうなのですね」
「何があろうともな、日案を受けてそこから学ばずしてだ」
 それこそという言葉だった。
「エウロパを救い栄えさせられるか」
「批判からも学ぶ」
「あのリア王ですらだ」 
 シェークスピアの戯曲の中でも最も有名な作品の一つの主人公である、頑迷な老人でありそれが為に悲劇の中心に入ってしまう。
「傍に道化を置いていたな」
「あの不思議な道化ですね」
「重要な場面で真実を言う」
「そしてだ」
 その道化を傍に置いて好きに話させてというのだ。
「自分を観ようとしていたからな」
「客観的にでしたね」
「そうしようとしていましたね」
「あの頑迷になっていたリア王ですら」
「年老いて見えるものが見えていなくなっていても」
「真の愛さえ見抜けなくなっていた」
 末娘のコーデリアが自分を最も愛していて大事に思っていることすら気付かなあかった、悲劇はそこからはじまった。
「しかしだ」
「そのリア王ですらでしたね」
「自身を客観的に観ようとしていた」
「道化に好きに言わせて」
「そうしていましたね」
「そうだ、私への批判の中にはだ」
 ギルフォードはリア王の道化のことからさらに話した。
「道化の言うふざけた様で鋭い指摘もあれば」
「そうでない意見もありますね」
 カミュもこう返した。
「民主主義の常ですが」
「そうだ、下らない誹謗中傷もある」
「ネットの書き込みに多いですね」
「悪口に過ぎない様なな」
「事実無根のものもありますね」
「全くのな、しかしだ」
 それでもとだ、ギルフォードはカミュに話した。
「中には道化の意見もある」
「鋭い意見が」
「コーデリアの言葉もある」
 そちらもというのだ。 
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