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パリは寒かった

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第二章

 詩織は年末年始はパリで過ごした、美奈代は実家のある鹿児島でゆっくりとした日々を過ごした。そうして。 
 冬休みが終わり二人は大学で再会sた、すると詩織は美奈代に眉を顰めさせてそのうえで言ったのだった。
「パリは寒かったわ」
「冬だから当たり前でしょ」
「北海道より寒かったのよ」
「あんた千葉県民じゃない」
 実家のある千葉市から東京の大学に通っているのだ。
「それでもなの」
「冬の北海道に行ったこともあるから」
「そう言えるのね」
「そう、それでパリはね」
「北海道より寒かったの」
「滅茶苦茶寒かったわ、温帯っていうけれど」
 パリのあるフランス北部は西岸海洋性気候である。
「北海道よりもね」
「寒くて」
「苦労したわ、夜も長くてね」
 このこともあってというのだ。
「滅茶苦茶ね」
「寒かったの」
「建物や食べものはよかったけれど」
「寒くてなのね」
「大変だったわ、風がきたらガツーーーンとくる感じで」
 それでというのだ。
「尚更ね」
「寒かったのね」
「そう、それでね」
 だからだというのだ。
「厚着してたわ、いつも」
「何かあまり楽しくなかった感じね」
「寒さについてはね」
「大変だったのね」
「また行きたいと思うけれど」
「冬には行きたくないのね」
「そうなったわ、パリでああだとね」
 あまりにも寒いのでというのだ。
「ロンドンなんかもっと寒いわね」
「緯度が高いから」
「そうね、兎に角二度と冬のパリには行かないわ」
 こう話してからだった。
 詩織は美奈代にパリの詳しいことを話した、そしてだった。
 彼女の実家の話も聞いた、そうして二人で土産も交換して楽しい時間を過ごした。


パリは寒かった   完


                  2022・5・28 
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