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おっちょこちょいのかよちゃん

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215 追跡の続き

 
前書き
《前回》
 自分も藤木を取り戻す為に動き出すと決意した笹山はフローレンスによって平和主義の世界の本部へと連れて来られる。かよ子はシャルル・リゴーとの戦いで気を失っている中、戦争主義の世界の長と会う夢を見る。かよ子は杉山と次に会う時は危険な予感を覚えるのだった・・・!!

 オリジナルキャラ紹介・その19
 湘木克也(しょうぎ かつや)
 横浜に住む高校生で三河口の小学生の頃の友人。初登場137話。兄がおり、その兄も三河口の兄・三河口響の友人である。兄弟仲は良好かどうかはいささか微妙である模様。武装の能力(ちから)を所有する。木・水・火の三つの属性の能力(ちから)を発動させる斧を使用して戦う。好きな食べ物は豚カツ、ひじき煮。

 

 
 異世界での「夜」が訪れた。さりは待機した場所で尾藤、もと子、さきこ、長山に清正と共に奪還した町で一夜を過ごす事になった。さりは護符で布団を出して皆に配った。
「それじゃ、お休み〜」
 皆は眠った。さりは夢を見た。周囲は暗闇だった。
「何なの、ここ・・・?」
 そしてどこからか声が聞こえた。
[貴様がその安全地帯でいつまでも呑気にしていられると思うな]
「はあ、別に呑気にしてる訳ないわよ!?これでも何度か敵を追っ払ってんのよ!」
「ふっ、強気な女だな」
「大体アンタはどこの誰なのよ!?顔出しなさい!!」
[俺だったら、どうする?]
 声が変わった。そしてさりの傍に一人の男が現れた。
「よう、久しぶりだな」
「き、君はかよちゃんの・・・!!」
 さりはそこで意識が遠のいた。

 さりは起きた。まだ夜中だった。
(あの夢は・・・!?それからあの子は確かかよちゃんの友達で、杉山君って子・・・!!)
 さりは見回した。しかし、誰も攻めて来る様子はなかった。自分には従弟のように見聞の能力(ちから)は備わっていない為、感知はできないのだが。さりはまた寝るのだった。

 朝になった。かよ子は直ぐに起きた。
「もう朝か・・・」
 かよ子は見回した。
(誰も来ていない・・・)
「起きたのか」
 石松も起きていた。
「うん・・・」
「昨日のシャルル・リゴーとの戦いの後、お主は意識を失っていたみたいであったが、その時夢を見ていなかったか?」
「え?あ、う、うん・・・」
 かよ子は答えようとした。
「男の人の声がしたんだ。『杖を守り抜けるか』って・・・。覚えてるのは、それだけ、ごめん・・・」
「別に謝る事ではない。お主は前にも幾度か悪夢を見ているようだったからな」
「うん・・・」
「おそらくだが、もしかしたら戦争主義の世界の人間の長かもしれぬな・・・」
「そうかもね・・・」
 そして皆も起きてきた。
「おっ、山田、早いなブー」
「ブー太郎、うん、私、落ち着かなくて・・・」
「藤木ならきっと取り返せるブー!それから杉山君やあの杯の持ち主の子もきっとオイラ達で取り返せるブー!」
「うん、そうだよね!」
 ブー太郎の励ましでかよ子は元気が出た。そしてまる子と友蔵は未だに眠っていた。
「ももこちゃん、起きてよ、朝だよ!」
 のり子が起こした。
「あへ、おはよう・・・。おやすみ〜」
 まる子はまた寝てしまった。
「全く、困った女子(おなご)だ・・・」
 次郎長が呟いた。
『皆様、朝食の準備ができました。今お持ちしますのでお召し上がりください』
 イマヌエルの声だった。オムレツに野菜スープ、そしてブルーベリージャムにパンにヨーグルトという献立だった。
「ももこちゃん、朝ご飯だよ!」
「えっ、ご飯!?」
 まる子は喜んで飛び上がった。そして出された食事にがっつくのだった。
「全く、ゴクツブシめ・・・」
「食う為にここに来たみたいだな・・・」
 石松と綱五郎はそう会話した。
(まるちゃん、なんか小杉みたい・・・)
 かよ子も心の中で呆れるのだった。

 笹山はヘンリーが提供した自動車に乗って走り出す。
(藤木君、どこにいるのかしら・・・?)
 笹山の目的は一つ。「この世界」にいると思われる少年・藤木茂を探し出す事である。

 こちら剣奪還班のうち、杯を取り返しに向かう部隊。剣を取り返す役目を終えたゆり達は朝食を終えていた。そんな中、マリエルは車両の外(これは北勢田の矛の力で出した物である)で歯磨きをしていた。なお歯ブラシなどは本部に頼んで出して貰った物である。
「あんた、きれい好きだね」
 政美が車両から出てきた。
「うん、虫歯になった事あるし・・・」
 そしてマリエルは歯磨きを終える。一人の20代半ばの女性に四人の女子高校生は先へ進む。
「・・・なあ」
 鯉沢が窓から遠くを睨む。
「どうしたの?」
「近づいて来とるわな。『奴ら』が・・・」
「どれ」
 政美が探知能力を使用する。
「来てるね。それも来てるのは女か・・・」
(女?追跡の邪魔をしてくれるわね・・・)
 ゆりは戦闘態勢に入る準備をする。
「近づいたら迎撃するわよ」

 丸岡修と西川純。赤軍メンバーである二人は東の方角へと進んでいた。
「はて、レーニンの旧知の仲という人物と一緒に戦うとはな」
「ああ、それにしても相手からしたら相当厄介な相手らしいですね」
 そしてある街の建物に入る。そこに一人の男がいた。
「貴様らか。杖を取りに行くと言う者は」
「そうだ。赤軍の丸岡修。そしてこちらは同じく西川純だ。レーニンの友人というスターリンで間違いないな?」
「その通り。聞いた話では杖の所有者は頼りない小娘と聞くが?」
「ああ、おっちょこちょいをやらかすと聞いた。それからそいつは今、人質として預かっている少年を取り返しに向かっている所だ」
「そうか」
「だが、そのガキも幾らか強くなっている筈だ。何人か杖を狙ったものの、何かとそのガキやその仲間から返り討ちを喰らっている」
「全くみっともない連中だ。私が多くの害虫なる敵どもを折角粛清したというのにこの様では振り出しに戻るだけだ。しかも、剣まで奪われたと聞く」
「それについては申し訳ない。そいつらも今追っている所だ」
「そうか、剣を奪った者については今私の妻にも向かわせて殺す予定でいる。共にその杖の小娘を殺しに行くぞ」
「はい」
 丸岡と西川はスターリンと共に杖を分捕りに向かう。

 かよ子達は朝食後にまた羽根を飛ばす。
「おい、また来てるぜ」
 大野が警戒した。
「そうみたいだな。俺もそんな気がするよ」
 関根は刀を構える。そして振り下ろした。
「・・・やってくれたわね」
「だ、誰なの!?」
 かよ子は問答した。
「私はラ・ヴォワザン。貴女ね。杖を持つ小娘は」
 ラ・ヴォワザンはかよ子を見る。
「貰うわよ。その杖。そして貴女も消えて貰うわ。この私の黒魔術でね!」
 ラ・ヴォワザンは攻撃を始める。
「姿を消したまま殺そうと思ったけど仕方ないわね。杖を取るついでに貴様も黒ミサの祭壇に掲げさせて貰う!」
「くろみさ!?何、それ?」
 かよ子は聞くが、ラ・ヴォワザンは杖を出した。
「聞く前にやられて知りな!」
 ラ・ヴォワザンの杖から黒い光線が放たれる。かよ子は羽根の結界で防いだ。
「なかなかの結界だね。それは異教の結界だな?」
「イキョー?これは仏教じゃ!ゲンジョーという人が作った結界じゃ!」
 友蔵が訴えた。
「私が信仰する宗教ではない。それが異教よ!」
 ラ・ヴォワザンは瓶を出した。
「やられる前にやっちまえ!」
「はい、ブー!」
 大野は草の石を、ブー太郎は水の石を利用して先手を狙った。大野の草の石で出した巨大な木の枝でラ・ヴォワザンの瓶を弾いた。瓶が地面に叩きつけられて割れる。だが、瓶の中の液体が湯気のように空気中に上がった。
「ふ・・・、裏目に出たようだな」
 ラ・ヴォワザンは瓶の中身が破壊された事は気にしていなかった。そしてまた杖を振るう。
(また結界で何とか・・・)
 かよ子は羽根の結界が発動して防げると思っていた。しかし、今度は結界が効かなかった。
「え・・・?結界が効いてない!?」
 そして黒い光が一行を襲う。
「は・・・!!」
 かよ子は目を瞑った。幸い、彼女の武装の能力(ちから)が発動した為、その攻撃をまともに受ける事はなかった。
「今破壊した瓶の中身は結界などの防御の効果を消す毒だったのさ!まあ、今度はその異能の能力(ちから)とやらを消させて貰うよ」
 ラ・ヴォワザンはまた別の瓶を出した。 
 

 
後書き
次回は・・・
「黒魔術の魔女、ラ・ヴォワザン」
 ラ・ヴォワザンの毒の煙がかよ子達を襲う。羽根の結界も、異能の能力(ちから)もことごとくラ・ヴォワザンの黒魔術の毒で無効化されてしまった。そして杯の奪還に向かうゆり達の元にも刺客が送られる・・・!! 
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