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雄の老猫が得た幸せ

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第二章

 今は欠伸をした、そうして眠りだした。
 店長をはじめとした店の者達も常連の客達もだった。
 ゆうさくはこのまま店にいるのではと思っていた、だが。
 ある日店に来た若い夫婦が店長に話した。
「あの、この子いいですか?」
「家族に迎えて」
「えっ、この子ですか」
 店長は夫婦の言葉を聞いて少し驚いて言った。
「いいんですか」
「はい、そうですが」
「見ていいと思いまして」
「大人しくて優しいですね」
「そうですね」
「確かに大人しいですが」
 それでもとだ、店長は話した。
「お爺さんですがいいですか」
「幾つですか?」
「お爺さんっていいますと」
「十三歳です、いいですか?」
「はい、いいです」
「最後まで面倒を見ます」
 夫婦は店長に約した。
「これからも」
「そうさせてもらいます」
「そこまで言われるなら」
 店長も頷いた、そしてだった。
 夫婦にゆうさくのことそうして猫の飼い方まで話してだった。
 彼を家族に迎えてもらった、そのうえでゆうさくに彼が旅立つ時に笑顔で声をかけた。
「これから幸せになるんだぞ」
「ニャンニャン」
 ゆうさくは嬉しそうに鳴いてだった。
 そのうえで旅だった、その後でだった。
 彼のことを客に話すと客はカウンターでコーヒーを飲みつつ言った。
「よかったな」
「そうですね」
「ああ、家族が見付かってな」
「本当にそう思います」
「お爺さんでも縁があったらな」
「家族に迎えてくれますね」
「そうだな、そう思うとな」
 実際にとだ、客は言った。
「どの子もこのお店にいたら」
「迎えてもらえますね」
「そうだよな、俺も家族に迎えてるしな」
「そう考えるとですよ」
「ずっとこのお店やっていきたいか」
「そう思えます」
 店長は客に笑顔で話した、そしてだった。
 カフェにいる猫達の世話もした、どの猫達も暖かい店の中で幸せそうにくつろいでいる。そうして縁を待っているのだった。


雄の老猫が得た幸せ   完


                   2022・5・23 
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