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だから教師になった

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第一章

                だから教師になった
 隣家を見てだった。
 安村美里は実家に夫と共に帰ってきている娘の胡桃に話した。
「お隣さんだけれど」
「辻元さんね」
「そうなの、あそこ最近猫飼ってるけれど」
「あの猫?」
 二人は今家の庭にいる、庭の囲いの向かいにだ。
 隣家のベランダで寂しそうにしているトラ猫がいる、雄だとわかる。
「可愛いわね」
「あの子最近ずっと外に出されてるのよ」
「猫を外に出してるの」
「そうなの」 
 茶色の髪を長く濃しまで伸ばし薄い細い眉と大きなはっきりした目と一六〇位の背ですらりとしている娘に話した、父親似の彼女に対して母は大きな丸い目で穏やかな顔立ちで黒髪を首のところで切り揃え背は娘と同じ位だが胸は結構ある。
「朝も夜もね」
「あの、飼い猫をお外でずっと飼うなんて」
 娘は母に怒った顔で答えた。
「ちょっとね」
「ないわよね、ご飯も残飯を三日に一度でお水もね」
「あまりあげてないの」
「そうなの」
「それ飼育放棄で犯罪よ」
「犯罪になるの」
「そこまでいくと立派な虐待だから」
 そうなるというのだ。
「通報しましょう」
「お隣さんなのに?」
「お隣さんでも犯罪は犯罪よ」
 母に怒った顔で告げた。
「だからね」
「通報しないと駄目?」
「駄目よ」
 絶対にというのだ。
「それはね」
「そうなのね」
「私がするわ」
 母が戸惑っているのを見て自分がと名乗り出た。
「そうするわ」
「あんたが?」
「辻元先生でしょ、私あの先生知ってるのよ」 
 胡桃は母に眉を顰めさせて話した。
「旦那さんも先生だけれどね」
「お二人共知ってるの」
「奥さんの方は中学の先生でヒステリックで底意地が悪くて自分の気に入らない生徒をいびるね」
「そんな先生だったの」
「それで旦那さんは小学校の先生で生徒を殴る蹴る罵るの」
「旦那さんも酷い人なのね」
 母も話を聞いて驚いた。
「それはまた」
「そんな人達で私二人共大嫌いなのよ」
「あんたも何かされたの」
「友達が何人もね、敵討ちの時が来たわね」
 隣家をきっと見据えて言った。 
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