| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

狸のお友達

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
次ページ > 目次
 

第二章

「だから物陰で暖かい場所に隠れてね」
「そうした場所でなのね」
「冬眠するんだ」
「そうなのね」
「だから冬に君とは会えないよ」
 クー子にこのことを言うのでした。
「残念だけれどね」
「わかったわ、じゃあ春になったらね」
「また会おうね」
「そうしましょう」
 クー子は町長に言いました、そうしてです。
 冬になると実際にでした、蝶々は狸のコーナーに来なくなりました。
「あの蝶々来なくなったね」
「冬だからね」
「仕方ないわね」 
 クー子のお兄さんのぽん太もぽん吉も妹のマー子もお家の中でお話をしました。
「それじゃあね」
「僕達で遊ぼう」
「そうしましょう」
「春になったらまた来てくれるそうだから」
 クー子は兄弟達にこのことをお話しました。
「だからね」
「春までのお楽しみだね」
「春になるのを待とう」
「蝶々さんが来るまでね」
「春になったら暖かくもなるし」
 クー子は春のこのことに笑顔でお話しました。
「お花も沢山咲いて草木も緑になるし」
「そうもなるしね」
「今は春を待とう」
「そうしながら私達で遊びましょう」 
 兄弟の子達も頷いてくれてでした。
 クー子は冬の間は春になるのを待ちながら兄弟達と遊んで過ごしました、そして遂に冬が終わってです。
 春になるとでした。
 黄色い蝶々がやって来ました、そうしてクー子に尋ねてきました。
「待ったかな」
「冬の間だけね」 
 クー子は蝶々ににこりと笑って答えました。
「そうだったわ」
「そうなんだ、けれど冬が終わったからね」
「また一緒に遊びましょう」
 クー子はこう言ってでした。
 兄弟達を呼んで一緒に遊びました、春になって彼等はまた一緒になれました。


狸のお友達   完


                 2022・5・19 
次ページ > 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧