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少女は 見えない糸だけをたよりに

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2-11

 次の日、燿さんは、お店の年末30日の3時までね。あと、お掃除。年明けは5日からにするわ。学生さんもお休みだしね、と言っていた。そして、私にだけ

「30日、お店終わってから、ウチの家に来なさい。5日まで居ればいいわ。どっちみち、独りですることもないんでしょ。その方がいいわよ 安心だし」

「えぇー 店長 私 そんな ご迷惑かけるなんて・・」

「迷惑じゃぁないわ 独りにしておく方が心配で 迷惑よ! お母様も喜ぶんだから 決まりね!」一方的に決められてしまった。

 その日、ゲンイチさんは当たり前の顔をして夕方やってきてくれた。私は、少し、バツが悪かったんだけど、くるみちゃんは直ぐに、反応して

「あぁー ゲンイチさん 昨日はありがとうね 楽しかったわー」

「いいえ 自分も 楽しかったです」

「ねぇ ゲンイチさんは お正月 どうすんの?」

「はぁ 地元に帰えろうかと思ってるんす 2年振りなんです」

「そうなんだ 地元って?」

「城崎温泉の先なんです 小さな民宿をやっているんですけどね」

「そーなんだ でも、今は、かに だよね 忙しいんでしょ」

「どうだかなー かに も高くなってしまったからなー」

「でも いいじゃぁない 温泉入って かに 食べてー 最高よー」

「そんなに いいもんじゃぁないですよ・・くるみさんは?」

「ウチは・・高校の時の友達と会ったり・・だらだらしてるかなー」

「香波ちゃんは どうするんですか」

「えっ えー 私は・・ 寝てます あと お料理の勉強もしなければ・・」

「あのさー ゲンイチさん 前から 少し 気になってたんだけど なんで ウチにはさん付けでカナミのことは ちゃんなのー? カナミだって たまに ゲンさんって言うし そんな仲なのー? ウチやって まだ二十歳前やでー ちゃんでええんちやうのー」

「いや 深い意味ないっす 何となく、くるみさんは落ち着いて大人みたいだから・・ その方が言いやすいかなって・・」と、ゲンイチさんは、慌てていたけど、確かに、言い方違うよねって、その時、初めて私もわかった。

 この人にしてみれば、私は、まだ、女として見られてないんだなと・・ちゃん なんだ。

そして、30日の午後になって、みんなで、大掃除をした後、私は、燿さんに、こそっと「お母様が家で待ってるから、独りで行ってくれる 着替えは適当で良いわよ 着るものなら なんなりあるから」と、自分は出掛けてしまったのだ。

 
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