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おっちょこちょいのかよちゃん

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211 杖と剣の争奪戦

 
前書き
《前回》
 雷の山でアルバート、アリス、ヘレナと交戦するすみ子達は彼らに苦戦するが、ジャンヌの機転によって形勢逆転する。しかし、あと一歩の所で逃げられ、仕留め損ねてしまう。そしてシャルル・リゴーと交戦するかよ子達はかよ子の羽根の結界でリゴーの侵入を防いではいるものの、リゴーの槍が結界を焼失させてしまう。かよ子は杖を剣に変化させて応戦するが、あっけなく弾かれて杖を落としてしまう!! 

 
 レーニンは剣奪還部隊によって襲撃を受けた本部にて休んでいた。そして傍には赤軍の一人・和光晴生がいた。
「和光晴生、貴様の能力(ちから)を利用する。私と同化しているこの小僧の記憶を探るのだ」
「はあ、そんな事して何になるんですか?あんたにとってあまり気持ちのいい思い出はないと思うんですが」
「その憎しみこそを力の源にするのだ。始めてくれ」
「はいはい」
 和光は紂王の屋敷に住む少年に対して使用した記憶を映像化させる道具を出して帽子の部分をレーニンに付けた。レーニンが杉山さとしに変化した。
「俺の記憶なんか探ってどうすんだよ。なんかいい記憶があったらそれを自分の力にするつもりか?」
 杉山が聞く。
「映像の物を我が力として吸収する事はできんだが、その記憶こそを共有してこそ強化の素にするのだ」
 そして映像が映し出されていく。杉山の過去の出来事が次々と浮かび上がって来た。そして杉山が杖の所有者と夜に闘った二人組の男女を見た。
「・・・あれは!!」

 かよ子はシャルル・リゴーとの戦いで杖を弾かれ、下方に落とされてしまった。
「杖が・・・!!」
「貰った!!」
 シャルル・リゴーが杖を取りに下へ向かう。
「こ、このままじゃ、杖が取られる・・・!!」
 かよ子は羽根から飛び降りてシャルル・リゴーより先に向かおうとした。
「あ、かよちゃん!」
「あんな所から飛び降りたら死ぬブー!」
 皆がかよ子の向こう見ずな行動に驚いた。
「ちい!」
 大野が草の石の能力(ちから)を行使する。花粉が巻き散る。シャルル・リゴーはその花粉の毒で身体が痺れた。かよ子の方は武装の能力(ちから)が自然と発動していた為に花粉の毒を浴びる事はなかった。
(あと、もう少し・・・!!)
 かよ子は杖に手を伸ばそうとする。しかし、取れずにそのまま落下していく。だが、途中、杖もかよ子もそのまま空中で静止した。
「・・・え?」
 のり子の人形の念力、そして法印大五郎の法力が働いていたのだった。そしてかよ子は空中で杖を何とか手にした。
「山田かよ子!」
 次郎長がかよ子の元へと急ぐ。そしてかよ子をお姫様だっこのように受け止めた。
「全く、おっちょこちょいしおって!」
「ご、ごめんなさい・・・!!」
 かよ子は謝った。羽根が下に降下して来た。
「かよちゃん!」
「山田かよ子!」
「皆・・・」
「あんた、凄い勇気だよ。自分の命を顧みずに杖を取ろうと飛び込むなんてさ」
 お蝶がかよ子の勇気を賞賛した。
「だが、無謀な行為にも気をつけよ」
 次郎長が窘めた。
「う、うん・・・」
「そうだ、シャルル・リゴーはどうしたブー?」
「伸びておる。大野けんいちの出した毒で動けなくなっておるぞ」
「よし!今だ!」
 かよ子は杖を倒れているシャルル・リゴーの剣に向け、杖を刀に変えた。
「ええい!」
 シャルル・リゴーを斬撃し、彼を光へと変えた。
「はあ、はあ、終わった・・・」
 かよ子は疲労が祟ってその場で倒れてしまった。
「山田かよ子!」
 皆がかよ子の元へ集まった。

 三河口は見聞の能力(ちから)で追っ手が近づいて来ていると解った。
「赤軍か?ここの世界の奴か?」
 湘木が質問した。
「少なくとも赤軍や反日武装戦線の連中ではない」
「よし、俺が迎撃する」
「すまん、冬田さん、お前も湘木に手を貸してやれ」
「はあい」
 冬田はできれば心の中で大野と共に戦いたかった。それで「冬田、おめえすげえかっこよかったぜ。お前に惚れちまったよ」といわれる所を妄想していた。大量の矢が飛んできた。
「俺も武装の能力(ちから)を発動させる!」
 三河口の武装の能力(ちから)で矢を弾いた。しかし、周りが焼ける。
「火矢か!」
「水の力を出すぜ!」
 湘木は斧を振るい、水で消火を試みる。
「おい、冬田さん!ボケーっとするな。次の火矢が飛んできたぞ!」
「は、はあい!」
 冬田は羽根から水を放水して火矢の炎を消す。しかし、今度は槍を持った兵が数十人突進してきた。湘木は水で押し流そうとするもあまり効果がない。
「なら、これだ!」
 湘木は木を操る能力に切り替えた。巨木が現れ、その木の根が足軽に巻き付いた。すると根が兵達の生命(いのち)を吸収し、光へと変えた。
「それだけじゃねえぞ!」
 巨木は更に枝を振り回し、別の兵や飛んでくる矢を薙ぎ払った。
「そこに剣があるのは解っている。我が兵を無惨に殺しおって」
「誰だ!?」
 侍大将のような男がいた。
「我が名は義教。貴様らのそれは盗まれたという剣だな?」
「盗んだんじゃねえよ。返して貰ったんだよ!」
 湘木が反論した。
「口の聞き方に気をつけろ、小僧ども!かかれい!」
 足軽達が襲ってくる。三河口が武装と威圧、二つの能力(ちから)で返り討ちにし、湘木と冬田が各々の道具で葬ろうとする。しかし、キリがない。
「ええ〜ん、もう駄目え!」
 冬田が弱音を吐いた。
「大野くう〜ん、助けてえ〜!」
「泣いたって大野君は来ねえよ!それにしてもヴィクトリアの艦隊よりも人数が多い!」
「ああ、いくら俺達でも持たねえ!」
「援護を求めるよ!」
 三河口が通信機を出した。本部守備班、領土攻撃班、そして本部にも連絡を繋げた。
「こちら三河口健!只今義教とかいう奴が率いる軍団と戦闘中!こちらがやや不利だ!支援頼む!」
『こちらイマヌエル。了解した!直ちに急がせる』
「機械とやらは使えなくなったようだが、今度はそう簡単に退散はせぬぞ」
 義教は以前領土を襲撃する少年少女達と交戦して不利になり撤退を余儀なくされた事がある。その時は西洋の人物が神の力を利用した為に不利にされた。
「わしこそ元は仏に仕えた身だ。やってやるぞ!」
 義教は数珠を取り出した。
「成敗!」
 三河口は武装の能力(ちから)で防御する。しかし、耐えきれない。
(まずい、やられる・・・)
 これは能力(ちから)が無効化されると感じた。その時・・・。
聖戦(ジハード)だ!」
 何者かが声を挙げた。
(だ、誰だ・・・!?)
 その時、三河口への身体の負荷が軽くなった。
(もしかして大野君!?)
 冬田はそんな期待をした。
「な・・・、何者だ!?『じはーど』だと!?」
 義教は困惑した。その隙に湘木か斧で炎を出し、義教を攻撃する。義教も同じく数珠で炎を出して防御した。そしてまた昔の中東の兵士のような人物達が義教の兵に襲いかかる。
「そこの者、無事か!?」
 先程声を挙げた人物が現れた。
「あ、ああ・・・」
「私はアラーに仕える者、サラディンだ。お主らの助太刀に参った!」
「サラディン・・・!?」 
 

 
後書き
次回は・・・
「イスラムの戦士、サラディン」
 義教に苦戦する三河口、湘木、冬田の元にサラディンという男が現れ、援護する。彼のイスラムの能力(ちから)、義教の仏の能力(ちから)が激しくぶつかり合う。そして本部ではフローレンスにある用件ができたようだが・・・!?

 
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