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少女は 見えない糸だけをたよりに

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2-4

 燿さんが、お店に道具を持ち込んできた。焼き型のようなもの。聞いたら、ワッフルを焼く大型のものって言って居た。

「あのね クレープって 女の子のものって感じじゃない? だから、甘さを控えめにして、ワッフル生地で、サンドにするの あんまり甘くないの サクッとね 中はカツとかソーセージとかサラダ 男の子がターゲットよ 女の子向けには、フルーツサラダでも良いじゃない。最近は、誰かさん目当てに、男の子も来るみたいだしね」

「わぁー わかってたんだ 店長 カナミ目当ての人」

「えー 暁美さん 私・・」

「そりゃーそうよ 香波ちゃんが 店頭に立ち始めたら 男の子のお客様 何人か来出したものー 最初は お店の前を通り過ぎるだけだったんだけど 香波ちゃんが大きな声を出すもんだから、女の子なんだって気づいたのよね」と、燿さんも

「そーですよね ウチも最初の頃 女の子のお客様に あの可愛い男の子 名前なんていうんですかって、聞かれて・・ 女の子が騒ぐぐらいだったんだから・・美少年だったのよね」

「ウフッ 今から、試作するの 香波ちゃん手伝って 覚えてね 今度は、あなたが、暁美ちやんとくるみちゃんに教えるのよ」

「わかりました。一生懸命 覚えます」

 とりあえず、生地をいろいろと作って、具材も試していたら、暁美さんが私の腕を掴んで

「来たわよ カナミのファン 店頭に立ちなさいよ」と、表を指さしていた。

二人連れの男子学生。寒そうにポケットに手を突っ込んで首を縮めて

「コンチワー 何しょっかなー 君は何がお薦め?」と、私 こんな軽そうな人 好きじゃないって思ったけど

「なんでも おいしいですよー ナッツチョコはいかがでしょうか? ビターなチョコですよー バナナも入れるともっとおいしいです」と、笑顔で応えた。

「じゃー それにしょっ」

「おれも それにしょうかなー でも、バナナの代わりに君の笑顔もっと入れてほしいなぁー」と、私は、鳥肌が・・でも、笑ってごまかしていた。

「ねぇ ねぇ ここ日曜は休みでしょ 休みの日は何してんのー」と、

「そーですねー 歩いています 一人っきりで歩くの好きですから ハイ! 
出来ました ありがとうございまーす」と、心の中で早く帰れと思っていたんだけど

「ねえ この前も、構内に立っていたよね 何してたん?」

「はぁー 別の人じゃぁ無いですかー」と、しらんぷりしていたら、ようやく帰って行った。

「フフッ 嫌なんだ あんなの」と、暁美さんが

「嫌ですよ 知らないのに、馴れ馴れしくー 駄目なんです それに、男の人、怖くってー」

「カナミは初心(うぶ)なんだからー 男の扱い教えよっかー」

「暁美ちゃん よしなさいよー からかうの 香波ちゃんも あれくらいは、適当にあしらうように覚悟していきなさいね」と、燿さんに言われていた。

「続き やるよー」と、燿さんに呼ばれた。

 そして、とりあえずの試作品も完成して5品目。

「とうしょうかなー あと1週間で、クリスマスでしょ 学生さんもお休みになるしねー ウーン 考える いつから 販売するか」と、燿さんは黙り込んでしまった。ただ、その眼は私のほうをみつめていたんだけど・・私 身動きできなかった。そして、突然

「香波ちゃん お化粧って していないよねー 肌がきれい 透き通っているみたい ウチに来た時は あんなに日焼けで黒かったのにねー だんだん 変わっていってるねー」
 
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