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星河の覇皇

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第八十一部第一章 全戦線でその一

               全戦線で
 オムダーマン軍は国境での会戦でティムール軍に対して鮮やかな勝利を収めた、だがこの勝利について。
 多くの者は何故オムダーマン軍が勝ったかわかりかねていた、それで首を傾げつつこの会戦について話をした。
「おかしいな」
「ああ、何かな」
「ティムール軍は突然側方や後方から攻撃受けてるな」
「そうなってるな」
「それでかなりの打撃を受けてな」
「戦力を減らしているな」
「そしてその事態に」 
 突然のそれによってというのだ。
「オムダーマン軍に攻撃を受けてだ」
「敗れているな」
「最後は戦線から離脱している」
「戦力をかなり失ってだ」
「移動要塞や防衛ラインも放棄してな」
「完敗している」
 ティムール軍はというのだ。
「予想外の惨敗だ」
「シャイターン主席は何をしていたんだ」
「シャイターン主席は名将じゃないのか」
「これまでオムダーマン軍と互角に戦っていたぞ」
「アッディーン大統領とな」
「今回の布陣も悪くなかったぞ」
「いや、むしろよかったぞ」
 会戦のことがさらに検証されて話された。
「堅固な方陣を幾つも組み立ててな」
「互いに連携出来る様にしてな」
「移動要塞も防衛ラインも整えていた」
「万全の防御陣形だった」
「それなのに何故だ」
「何であそこまで惨敗したんだ」
「参加戦力は互角だった」
 オムダーマン軍もティムール軍もというのだ。
「そうだった筈だ」
「それがだ」
「突然側方や後方から攻撃を受け続け」
「そこから負けている」
「何でそこから攻撃を受けたんだ」
 その側方や後方からの攻撃についても話が為された。
「突然な」
「魚雷が出て来てな」
「その攻撃を受けてな」
「ティムール軍全体が敗れたが」
「オムダーマン軍はどんな艦艇を使ったんだ」
「奇襲はアッディーン大統領の得意とするものだが」
 彼がこれまで幾度もそれで勝利を収めていることについても話された。
「それでもだな」
「今回の奇襲は不思議だな」
「奇妙な奇襲だ」
「どんな艦艇で行ったかわからない」
「謎の敗北だな」
「ティムール軍から見ればな」
「オムダーマン軍から見れば鮮やかな勝利だが」
 それでもというのだ。
「奇怪な勝利だ」
「オムダーマン軍は何をした」
「あの魚雷攻撃は何だ」
「まるで忍者だ」
「忍者かスパイの仕業の様だ」
 こうした言葉も出ていた、とかくだった。
 オムダーマン軍の勝利は人類全体で謎のものと思われていた、それで議論が為されていたが答えは殆どの場所で出なかった。
 だがエウロパ軍では違っていた、タンホイザーはエウロパ軍三長官つまり軍務大臣と統帥本部長、宇宙艦隊司令長官の会合の中で軍務大臣であるモンサルヴァートと統帥本部長であるローズに対して語っていた。 
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