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オズのホボ王子

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第五幕その七

「日本語ではじゃ」
「そうなるんだね」
「そうなのじゃよ」
「成程ね」
「あと実は天守閣じゃが」
 秀吉さんはこちらのお話もしました。
「あれはわしが建てさせたものではない」
「そうだったね」 
 教授が応えました。
「貴女の天守閣は黒い壁で」
「黒塗りでな」
「瓦は金箔だったね」
「そうであった」
「貴方は派手好きだから」
「それでのう」
 その為にというのです。
「そうであった」
「そうだったね」
「あれは今の外の世界の天守閣なのじゃ」
 大阪城のそれだというのです。
「だからな」
「それでだね」
「わしのものではない」
「そうだね」
「今の大阪の者達が建てたものじゃよ」
「それがオズの国にも来ているね」
「そうじゃ、あれはあれでよい」
 今の天守閣もとです、秀吉さんは今度は烏賊の串カツを食べています。そうしながら言うのでした。
「大阪の天守閣だからのう」
「大阪だからいいんだ」
「この街のな、今のわしはこの街の市民の一人でな」
「それでだね」
「別に何でもない」
「それじゃあこの街は誰が治めているのかな」
 このことは弟さんが思いました。
「秀吉さんじゃないみたいだけれど」
「市長さんじゃよ」
 秀吉さんはあっさりと答えました。
「選挙で選ばれたな」
「そうなんだね」
「わしも選挙で投票してじゃ」
「市長さんを選んでいるんだ」
「うむ」
 そうだというのです。
「そうしておる」
「そこはオズの国の多くの街や村と同じだね」
「そうじゃ、わしはもう天下人でなくな」
「大阪の市民なんだね」
「そうじゃ、しかし随分とじゃ」
 秀吉さんは笑ってこうも言いました。
「皆わしを好いてくれておる」
「それは秀吉さんだからですよ」 
 恵梨香はほたて貝の串カツを食べながら言いました。
「皆好きなのは」
「天下無双の人たらしと言われてましたよね」
 ナターシャは鱚のそれを食べています。
「私達にも気さくですし」
「何か自然に親しみを持てます」
 神宝は蛸の串カツです。
「本当に」
「飾らないで愛嬌があって楽しくて」 
 カルロスは海老の串カツを食べています。
「それで、ですよ」
「皆が好きになるのも当然です」
 ジョージは烏賊の串カツです。
「そうでしたら」
「確かに僕達も秀吉さんが好きになっています」
 王子は鱧の串カツを食べつつ秀吉さんに言います。
「今お話をしていて」
「そうなのじゃな」
「皆から好かれることも」
 それもというのです。
「当然ですよ」
「本当に」 
 王女は普通の串カツを食べています。 
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