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星河の覇皇

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第八十部第五章 秘密兵器その二十八

「それを活かして」
「交流もしていきますか」
「そうしましょう、ですが」
 それでもとだ、ここで八条は釘を刺す様に話した。
「技術はです」
「渡さない」
「はい、技術が欲しければ」
 相手、この場合はティムールがというのだ。
「やはりです」
「それなりの代価が必要ですね」
「政治でもそうなので」
「そこは商業と同じですね」
「そうです、商業とです」
 まさにと言うのだった。
「そこは同じです」
「代価が支払われると」
「それに相応しいならば」
「その技術を渡す」
「そうします」
 八条の今の口調はシビアなものだった。
「必ず。ですが」
「マウリアですね」
 劉のその目が剣呑なものになった、そのうえでの言葉だった。
「あの国ですね」
「そうです、あの国はやはり」
「あの手この手で」
「連合の技術を手に入れんとしています」
「我々から見ればロートルの技術ですね」
「数百年も過去の」
「まさに何でもない技術ですが」
 これは連合から見ればだ。
「しかしマウリアから見れば」
「充分なハイテクなので」
「今の我々の技術はオーバーテクノロジーです」
 マウリアから見ればだ、そしてこのことはマウリア以外の国サハラそしてエウロパから見ても同じである。
「流石にそうした技術はです」
「狙わないにしても」
「彼等から見て一段階か二段階です」
「上ならですね」
「言うなら彼等は産業革命前で」
 科学や工業があっても実に未熟な時代だ。
「強いて言うなら一六四〇年代の人類社会で」
「我々は核兵器のない第二次世界大戦後のアメリカですね」
 そのアメリカ人のマックリーフの言葉だ。
「強いて言うなら」
「そこまで離れているので」
「彼等から見れば」
「産業革命の頃のエンジン、いえ銃剣すら」
 この武器でもというのだ。
「最先端の技術なので」
「欲しいのですね」
「マウリアは。そしてそうした技術からです」
「マウリアは狙っていますね」
「これ位ならと思っても」
 ロートルの技術でというのだ。
「ですが」
「そこからですね」
「日本は何もない状態から」
 まさに産業革命なぞ何も知らない幕末の時代からだ。
「僅か七十年で変わりました」
「人間は進歩しようとすればですね」
「数百年の技術格差もです」
 八条は今度はバールに答えた。
「三世代か四世代で」
「追いつきますね」
「そこからです」
「さらに上にもですね」
「至れます、技術格差は」
 それはとだ、八条はあらためて話した。
「圧倒的に見えても」
「それでもですね」
「差を縮めようとすれば」
「百年とかからないですね」
「数百年の開きも」
 それこそというのだ。 
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