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死んでこそ

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第二章

「神同士の喧嘩ならな」
「それならですか」
「神々の法廷での話となりな」
「私もアヌ神に呼び出されてですか」
「神罰を受けるとかいう話にならなかった」
「そうでしたか」
「そなたが人であってだ」
 それでというのだ。
「神である南風の翼を折った」
「人でありながら神を傷付けたので」
「アヌ神も怒ったのだ」 
 アダパに深刻な顔で話した。
「人間には過ぎた行いだとな」
「そうでしたか」
「だからな」
 それでというのだ。
「この度のことで思った、神になるか」
「私がですか」
「アヌ神は天空神、その宮殿は天空にありな」 
 そうしてというのだ。
「そこに出される食事や水、酒等は神のものだからな」
「神のものを口にすればですね」
「そなたは神となる、どうだろうか」
「そのことですが」
 アダパはエアに自分の考えを述べた、するとだった。
 エアは驚いてこう返した。
「それでいいのか」
「はい、私は」
「そうなのか、しかし」
「それがいいと思いますので」
「そなたはそうするか」
「そうします、ではです」
 アダパはエアに微笑んでさえ答えた。
「これより行って参ります」
「アヌ神のところにだな」
「そうしてきます」
 こう言ってだった。
 アダパはアヌのいる天空の宮殿に出頭した、そしてそこで父であるエアの言った通りにタンムズとギズジダにだった。
 アヌのことを褒めて話すと彼等は喜び彼を宮殿に入れてアヌとの謁見を待っているその間に自分達の主神に口添えをした。二人共頑健な身体の大男であったが心は素朴であった。
「あの者処罰するには惜しいです」
「ですからどうかご助命を」
「我等からもお願いします」
「アヌ様を慕っておられますし」
「ふむ」
 長く濃い髭で焼いて整え伸ばした髪の毛もそうしている、大柄な身体を青い空の色の服で多い彫の深い顔をしている。その彼アヌは何故彼等がそう言うかわかっていた。
 アダパに自分を褒められたからだ、だがそれでもだった。
 力のある神であるエアの子に何かすれば後でエアと仲違いをすることになる、そのリスクも考えてだった。
 ここは寛大になることになった、南風の翼も治っていたこともあった。
「わかった、ではだ」
「あの者を赦してくれますか」
「そうしてくれますか」
「そうするとしよう」 
 こう言ってだった。
 彼はアダパを赦すことにした、そのうえでだった。
 アダパと謁見を行ってそうして彼の釈明を聞いたうえでよしとした。
「わかった」
「それでは」
「このことは赦す」
 こうアダパに答えた。
「そなたの言うことを受け入れる」
「有り難うございます」
「それでだが」
 アヌはアダパを赦してから彼にあらためて告げた。
「食事の時間だ、何か食べていくか」
「食事ですか」
「そうだ、どうだ」
「いえ」
 アダパはここでだった。
 アヌの申し出に対してこう返した。
「折角ですが」
「待て、そなた程の者なら知っているな」
 アヌは冷静な目でアダパに言った。 
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