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ずっと飼い主を待って

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第二章

 一家はビーチの近くにある喫茶店に入ってそこで犬のことを聞いた、あの犬のことを知っているかどうか。
 するとだ、喫茶店のマスターはこう答えた。
「ああ、あの犬か」
「知ってるのかい」
「ヴァギートといってな、雄で」
 彼はさらに話した。
「前の飼い主は漁師だったんだよ、ここに住んでいる」
「だった?」
「ああ、そうだったんだよ」
 マスターはカルロスに話した、そこにジョシーとペドロもいる。
「一年前に海で死んだんだよ」
「漁に出てか」
「そうなったんだよ」
 こう話した、無念そうに。
「いい奴だったがな」
「そうか、海は荒れるとな」
「そうさ、あんな恐ろしい場所はないさ」
 まさにとだ、マスターも言った。
「それでだよ」
「あるにはあるが嫌な話だな」
「ああ、それでな」
「あの犬だけが残されたんだな」
「一人暮らしだったしな」
 その漁師はというのだ。
「それでな」
「あの犬だけが残ってか」
「飼い主と親しかった人が引き取ったけれどな」 
 それでもというのだ。
「ああしていつもビーチで海を見ているんだ」
「飼い主を待っているのかしら」
 ジョシーはその話を聞いて考えた。
「そうかしら」
「そうだろうな、実際ボートを見ると嬉しそうに近寄るしな」
「やっぱりそうなのね」
「いい子だよ、だから今の飼い主も俺達も面倒を見てるけれどな」
 マスターは悲しい顔で語った。
「ずっとな」
「ああしてビーチにいてなのね」
「飼い主を待ってるんだよ」
「そうなのね」
「ああ、気が済むまでああしてやろうってなってるよ」
 マスターは海の方そのヴァギートがいる方を見て話した、一家もそちらを見た、そうしてこの地にいる間彼と共に遊んでだった。
 そして家に帰る日に彼に優しく声をかけた、そうして彼の幸せを願いつつそのうえで家に帰ったのだった。
 後日ジョシーはこの話をネットで紹介した、その話を読んでだった。 
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