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ハッピークローバー

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第二十話 楽しく食べられるその二

「もうそれは仕方ないでしょ」
「そうした食べものはっていうのね」
「それを承知のうえでね」
 そのうえでというのだ。
「食べるものでしょ、豆苗美味しいし」
「あんたそれで韮も好きよね」
「レバーもね」  
 こちらもというのだ。
「だからレバニラ炒めもよ」
「好きよね」
「身体にいいしね」
「韮もレバーもね」
「だから食べるけれどね」
「それでもよ、歯に挟まったら」
 美奈代は兎角このことを言うのだった。
「後で歯磨きの時大変だから」 
「それでなのね」
「韮も今食べてる豆苗もね」
「そこが気になって」
「好きじゃないのよ」
 どうしてもというのだ。
「これがね」
「けれど食べるのね」
「味自体は好きだからね」
「そこ複雑ね」
「ええ、ちなみに湯葉は好きよ」
 姉はそちらは普通に笑顔で食べた。
「それもかなりね」
「お姉ちゃん大豆系好きよね」
「お豆腐もね」
 こちらもというのだ。
「好きよ」
「そうよね」
「夏は冷奴でね」
「それが一番って言ってるわね」
「揚げも好きだしね」
「ステーキにしてもね」
「それで冬は湯豆腐よ」
 この料理だというのだ。
「昆布でだし取ってこれさえあったら」
「湯豆腐だけでよね、お姉ちゃん」
「お酒飲めるわ」
「そうよね」
「ただお酒はね」
「冬でもお冷やよね」
「ええ、泉鏡花さんみたいにはしないわ」
 この文豪の様にはというのだ、明治から昭和の戦前の頃まで活躍しており妖怪を多く出したことで知られている。
「あの人は熱燗専門だったけれど」
「そうだったの」
「それも夏もね」 
 暑い時もというのだ。
「もう沸騰させたね」
「えっ、そこまで熱くしてたの」
「もう地獄の釜みたいに」
 そこまでというのだ。
「沸かしたのをね」
「飲んでいたの」
「それが泉燗といってね」
 まさに泉鏡花の名前が付いている。
「夏でもそれ飲んでたのよ」
「もう暑くて仕方ないでしょ」
「お豆腐もそうでね」
「夏でも湯豆腐だったの」
「極端な潔癖症でね」
「そうしていたの」
「もう何でも火を通してで」
「お水も?」
「勿論よ」
 言うまでもないという返事だった。
「旅行にアルコールランプ持って行ってまでね」
「沸騰させてなの」
「飲んでいたらしいわ、犬もね」
 この生きものもというのだ。 
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