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夢幻水滸伝

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第二百三十六話 洛陽に出てその十

「あそこで勢力を拡大させましょう」
「そうするか」
「はい、そして」
 巴はさらに話した。
「河南省そして山西省とです」
「勢力を拡大させてくか」
「かつ私が最初に出た青島と郁君が出た太原にもです」
「声をかけるでしか」
 郁が応えた。
「そうするでしか」
「左様です、その様にして」
「二つの街もでしか」
「勢力に入れて」 
 そうしてというのだ。
「飛び地になりますが」
「領土にするでしか」
「そうしましょう、それとです」
「それと?」
「勢力拡大は武を第一とすべきでありません」
 巴は胸を張って述べた。
「それは血が流れお金もかかり」
「そして労苦もな」
「尋常ではありません、洛陽や青島それに太原の周りの小さな町や村に人を送って」
「そうしてか」
「こちらに加わる様に言って」
 その様にしていきとだ、巴は再び呉に話した。
「加えていきます、それぞれの街に少なくとも数千の兵があれば」
「それでか」
「小さな街や村には勝てない驚異になるので」
「その脅威を見せてか」
「これは無言で、そして言葉でいい条件を出し」
「こちらに入れと言うんやな」
「そうしていくのです、そして加われば」 
 自分達の陣営にというのだ。
「その時は本当にです」
「ええ条件で治める」
「そうです、そもそも呉君も無体な政を行うつもりはありませんね」
「食うことと飲むことは好きやが贅沢はな」
 それはとだ、呉は巴に答えた。
「好きでもそんな殷の紂王みたいな」
「酒池肉林なぞはですね」
「宮殿とか建てるつもりはないわ」
「左様ですね」
「まあそこそこでな」 
 贅沢もというのだ。
「ええわ」
「それは私も同じです」
「僕ちんは本を読めたらええでし」
 巴だけでなく郁も言った。
「後は普通で」
「郁君もですね」
「というか世界を救う星の人が民を苦しめたらでし」
「本末転倒です」
「全くでし」
 郁に強い声と目で答えた。
「そうなったらです」
「全く同感です、そやからです」
「政はですね」
「善政を心掛けて」
 そうしてというのだ。
「産業を育成し民を酷使しない」
「そうするでしね」
「失業対策と治安も考え」 
「やっていくでしね」
「そうしましょう」
 是非にというのだ。
「ここは」
「善政を行えば」 
 それならとだ、呉は言った。
「それが評判となってな」
「そうしてです」
「そやな、どんどんこっちにつながるな」
「はい、ですから」
 それでというのだ。 
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