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帰ってきたらD×Dだった件

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命狙われます

sideイッセー

「ゼエ、ゼエ、ま、待ってくれよ…イッセー。」

「ハア、ハア、お、置いて…いかないで…。」

駒王町に帰ってきてからおよそ2年の月日が流れた。
つまり外見はともかく精神年齢は…いや、考えるのはよそう。
それはともかく俺はこの2年で中学を卒業し、今は駒王学園の2年生として平和な学園生活を満喫していた。

「こらー!!待ちなさい!!」

「ま、待つわけないだろ!」

「こっちだ!元浜、松田!」

ちなみに現在逃走中。
友達の元浜、松田と共に朝練中の剣道部の女子更衣室の覗きを行っていたのだが、それがバレてしまいこうやって追いかけられている。
ぶっちゃけ俺だけなら逃げ切るのは容易いが友達である二人のためにもペースを落としながらはしらなければならない。
まあそれでも最終的に生き残るのはほとんど俺だけなんだが。

「ゼェ…ハア…、こら兵藤!彼女持ちの癖に恥ずかしくないの!?」

「ハア、ハア…。くそ!兵藤の奴本当に速いわね!」

「ゼェ…。全然追い付ける気がしない。」

とうとう元浜と松田は捕まってしまい後は俺だけという状況になっても俺は捕まらない。
聖人に進化している俺はこの程度じゃ息切れなどしないし疲れもしないのだ。

だが、なんだろう…。罵倒をしながらも疲れている筈なのに追いかけてくる運動部の女子達からはどこか余裕めいた何かを感じる。
なにかたくらんでい《big》ぶ!??《/big》

「おりゃ──!!」

「ぐぇ!?」

曲がり角を曲がろうとした刹那、俺の脇腹に鋭い蹴りが入る。
痛え!!
この学園にて俺にダメージを与えられるような存在なんて一人しかいない。
そう、俺の脇腹蹴飛ばしたのは俺の彼女であり堕天使…。進化する前の旧魔王に匹敵する強さを持ち、現在駒王学園1年生のミッテルトだった。

「今だー!!やれ────!!」

倒れ伏す俺に向かって竹刀を叩きつける女子達。痛みやダメージはぶっちゃけほとんどないけど、ちょっ、精神的に…。

『自業自得だ相棒。』

そんなドライグの無慈悲な言葉が俺の脳内に響き渡った。




*******

ミッテルトside

全く、この人は…。うちという可愛い彼女がいるというのになぜこうも残念な行動をするのやら…。
まあ、こういう人だってわかっていながら付き合っているうちも相当な変わり者っすけど…。

「ありがとうミッテルトちゃん。」

「いえいえ。彼氏の暴走を止めるのも彼女の勤めっすから。」

「……本当に信じられないわよね。ミッテルトちゃんが兵藤なんかと付き合ってるだなんて…。」

軽蔑したような目でイッセーを見下ろす先輩方。
まあ、自業自得っちゃそうなんすけど…。

「ねえ。ミッテルトちゃん、何か兵藤に弱みを握られてるなんてことない?」

「もしそうなら相談乗るよ。」

これも本心から心配してくれている言葉だってのもわかる。でも、流石に聞き逃せないすね。

「うちはイッセーのことが大好きっす。そりゃ、スケベだしだらしないしで駄目なところなんていっぱいあるっすけど、それと同じくらいカッコいいところもあるんっす!
だから、そういう風にいうのはやめてもらえますか?」

「………そう、ごめんね。ミッテルトちゃん。」

すると先輩方は少し釈然としないながらも一応納得はしてくれたようだ。
まあ、普段がこれだからイッセーのカッコよさに気づけないのも無理はないっすけど…。


「大丈夫すか?イッセー?」

「………」

返事がないただの屍のようだ。
うちは少し赤くなっているイッセーを引きずってその場を後にした。


*******
イッセーside


あれは反則だろ…。なんか急にカッコいいだの言われると結構グッとくるな…。

「ん?」

取り敢えず早く教室に向かおうとすると、校庭からなにやら騒がしい声が響いてきた。

「キャー!オカルト研究部のお姉さま方よ!」

「グレモリー先輩相変わらず凛々しい。」

「姫島先輩も大和撫子って感じがしてステキ♡」

「木場くんカッコいいー!」

「塔城さんも小さくて可愛い!」

「お近づきになりたいわー♡」

あ、オカルト研究部の人達だ。
相変わらず美人揃いだよな~。
ドライグ曰く彼女達は人間ではなく悪魔と呼ばれる種族らしい。
悪魔といっても悪魔族(デーモン)とは違い、精神生命体というわけではなく人間と同じように物質体(マテリアルボディ)にとらわれているらしい。
上手く誤魔化してるつもりだろうが、俺からすれば妖気の制御が甘い。ミッテルトは完璧に妖気(オーラ)を支配下に置いてるからほぼ人間にしか見えないけど、この人達は一目で人間じゃないとわかる。
まあ、向こうからは俺が悪魔だと気づいてることに気付いてないだろうけど…。

「確かにお近づきになりたいな…。」

『やめとけ。ドラゴンは力を引き寄せる…。面倒事が避けられなくなるぞ。』

おっと、いかんいかん。
確かに美人美女の集まりであるオカルト研究部には一度行ってみたくはあるが、俺の力はこの世界基準じゃかなり強い部類にあるらしい。
面倒事は勘弁だし、ドライグやミッテルトにも相談したが、向こうから近づいてこない限りはこっちも干渉しない方がいいということに落ち着いている。

『一応聞くか気付いているか?相棒。』

「気付いているよ。」

実は俺たちは朝から誰かに監視されている。
悪魔ではなさそうだ。グレモリー先輩達とは気配が異なる。感覚としてはミッテルトに近い。
俺の力は一般人並みに押さえている筈。感知されるとしたら多分ドライグだな。
なんかミッテルトに聞いたことあるけど、堕天使には神器(セイクリッド・ギア)を感知できる方法があるらしい。
この世界には三大勢力と呼ばれる三つの強力な勢力があるらしいが、その中でも神器(セイクリッド・ギア)についてもっとも研究が進んでいるのが堕天使アザゼルの率いる“神の子を見張る者(グリゴリ)”なんだと。
多分何らかのアプローチがある。
警戒しないとな。




*******

「私、天野夕麻って言います!突然ですけど、貴方が好きです!!私と、付き合って下さい!」

あ、ありのままに起こったことを話すぜ。
今から下校しようとしていたら見知らぬ女の子に公園に呼ばれて告白された。
な、なにを言ってるか(以下略)
いや~、まさか告白をされるとはな…。
いや、でも俺にはミッテルトが…、待てよ、以前あいつ悪魔や堕天使とかの種族はハーレム作ったり一夫多妻やったりしてるとか言ってたよな。じゃあ大丈夫なのか…?
魔国連邦(テンペスト)“でもベニマルさんがアルビスさんとモミジちゃんを嫁にしてたし大丈夫かもしれない。

『大丈夫な訳ないだろ。この女相棒を殺そうとしてるぞ。』

わかっとるわんなこと!!
そう、この女の子堕天使だ。しかも多分俺を殺すつもりなんだろうな。
演技は上手だが、殺気や嫌悪が隠れてないし妖気(オーラ)の制御も甘い。
…でもな、かなりの美人さんなんだよな…。おっぱいもでかいし、可愛いし…。
もしかしたら本気で俺に告白したのかもという考えも頭から外れない…。絶対違うけど。
ハアー、残念だけど断るしかないよな~。

「本当に…、ほんと──うに嬉しいお誘いなんだけど、今回は遠慮するよ。」

「え?ど、どうしてですか?」

どうやら断られるとは思ってなかったらしく狼狽している。

「だって…、そんな殺気だちながら告白されても素直に頷ける訳ないだろ…。」

いくらなんやかんやでお人好しと定評のある俺でもここまであからさまな殺気を放たれたりすりゃ引っ掛からねえ。
まあ、出きれば引っ掛かりたいんだけど…。
その言葉を聞くと同時に夕麻ちゃんから表情がスンと抜け落ちる。

「そう…、気付いていたの?」

「ああ、監視されている段階からな。堕天使さん。」

「あら、私たちのこと知っているのね。そう、私は堕天使のレイナーレ。貴方達人間よりもはるかに高次の存在よ。」

高次とか言われても知らんがな。ぶっちゃけ堕天使よりも高次元の存在とか腐るほど見てきたし、なんなら恋人もれなく堕天使だし。
夕麻ちゃん改めレイナーレは光の槍を手に握り、俺に向けて構える。

「貴方には悪いけど、上の方々が貴方の持つ神器が危険と判断したの。ここで死んでもらうわ。」

そう宣言するや否や、レイナーレは俺に向かって光の槍を投げた。
俺は自分に向かって飛んでくる槍を取り敢えずキャッチする。
俺の思考加速はおよそ100万倍、正直言ってスローモーション映像にしか見えないため容易く掴むことができるわけだ。
すると、レイナーレはそれが予想外だったのかひどく動揺し始める。

「ば、バカな!?どうやって私の槍を見切った!?」

「どうやって…って言われても普通にとしか答えられねえよ。
正直言ってそこまでの速くもなかったしな…。」

「あ、ありえん!?人間ごときが!?」

どうも納得ができないようで俺の事を罵るレイナーレ。
別にできる人たくさんいると思うぞ。ヒナタさんや、今は亡きグランベルやらルドラとかにとっては欠伸がでるくらい簡単なことだろう。
まあ、この世界では聖人にまで至った人間はドライグ曰くいないらしいし強い人間とあったことがないんじゃ仕方ないかもしれない。

「人間も案外バカにできたもんじゃないってことだよ。」

そう言いながら俺は掴んだ槍を握りつぶす。
すると怒ったレイナーレが光の槍を2本出し、俺に向かって投げようとする。
俺から見れば隙だらけなので、このまま間合いを詰めて気絶させようとすると、空から覚えのある妖気(オーラ)が降ってきた。

「なーに、やってるんすかぁ──!!!」

コンクリートの地面を粉々に粉砕しながら降ってきたのは一対の黒い羽を靡かせ、レイナーレを睨むミッテルトだった。



*******
ミッテルトside

イッセーの帰りがいつもより遅いことに少し不思議に思ったうちはご両親に断りをいれてイッセーを探しに行った。
すると、イッセーの気配とうちとは違う別の堕天使の気配を感じ、うちは急いで急行することにした。
イッセーならまあ大丈夫だろうすけど、それでも心配なものは心配なんすよ。

「あんた…。一体なんなんすか?」

うちは少しドスの聞いた声で目の前の堕天使に訪ねる。

「堕天使…?あなた、一体何者!?」

「ども、うちはミッテルト。そこにいるイッセーの恋人っすよ。」

その言葉を聞いた堕天使のおばさんは信じられないといった表情を浮かべるもすぐに気を取り直してうちに手をさしのべ笑みを浮かべる。

「まさか神の子を見張る者(グリゴリ)に所属していないはぐれの堕天使が現れるなんてね。
でも、ちょうどいいわ。ミッテルトとか言ったかしら、貴女もそこの貧相な人間なんてほっといて私と共に来ない?
人間ごときが至高の存在たる堕天使と肩を並べるなんて不遜だと思うでしょ?どうかしら?」

至高?いやいや、堕天使も確かにこの世界では上位の存在ではあるでしょう。でも、本物には通用しない。
貧相?イッセーはむしろたくましい方だと思うっすけどね…。見る目の無い女だこと。

「お断りっすよ。うちはイッセーを心から愛してるっす。あんたみたいなアバズレのところなんかこっちから願い下げっすよ。」

ピキリと青筋を立てながら固まる堕天使のおばさん。
どうやら断られるとは思ってなかったようっすね。
自意識過剰というか何て言うか、お粗末な人っすね。

「……そう。ならば貴女も死になさい。」

槍を携えたお姉さんを見てうちとイッセーは再び構える。
すると、何者かの気配がこちらに近づいてきた。
それに気付いたのかおばさんは舌打ちをしながら肩を震わせる。

「ッチ、どうやら気付かれたようね。仕方がない、今日は見逃して上げる。でも、貴方達二人は必ずこのレイナーレ様が殺してあげるわ。至高の存在である堕天使に歯向かったこと、骨の髄まで後悔させてあげる。」

堕天使…レイナーレはそう捨て台詞を残して何処かへ消えてしまった。

「私たちもここから離れた方がいいっすね。」

「そうだな…。」

そう言い私たちはその場を後にする。
落とし物にも気付かないまま。



*******

リアスside

私の名前はリアス・グレモリー。
この駒王町を治める上級悪魔、元72柱グレモリー家の次期当主よ。
私は堕天使の気配を感じたため女王である朱乃を連れて反応があった場所へとやってきた。
堕天使は私たち悪魔と対立関係にあるため、その堕天使に私の領域で好き勝手にさせるわけにはいかない。
そこで次期当主として私自らがこの場に出向くことにしたわけ。
気配を感じた駒王学園からそれほど遠くない公園にて私たちは砕けたコンクリートの地面と明らかに戦闘のあとと思われる跡地を見る。

「凄まじいですわね。」

どれほどの衝撃があればこんな風に砕け散るのやら…。
もしかしたら小猫にも匹敵するほどのパワーかもしれないわね。

「あら?」

そこで私はふと地面に落ちているカバンと生徒手帳に目を向ける。

「兵藤一誠…、ミッテルト…。」

カバンは駒王学園2年生の兵藤一誠のもの…。生徒手帳は1年生のミッテルトの物だった。

「なにか関係あるのかもしれないわね…。」

もしかしたらその二人が堕天使と戦った?
さすがに考えすぎかしら?
それほどの力を持っているのなら是非とも我が眷属に誘いたいわね。
とにかく、明日にでも部室に来てもらったほうがいいわ。
そう思考をしながら取り敢えず私達はカバンを背負って部室に戻ることにした。 
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