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東方絆日録 ~ Bonds of Permanent.

作者:福岡市民
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共存編
  敏久:兎は跳ねるよどこまでも

※敏久視点




霊夢「よし、この冬は内職するわよ!」


松の内も過ぎたころ、霊夢が突然そんなことを言いだした。


敏久『どうした霊夢、なんか変なモンでも食ったか?』

霊夢「失礼ね!寒い間は勧請もろくにできないし参拝客も来ないんだから内職するしか手がないでしょ⁉︎」

『まあそれもそうだが…。で、何をするんだ?』

霊夢「民芸品を作るのよ。竹かごとか和傘とか…竹細工ならなんでもいいわ」


なるほど、話しが見えてきたぞ…。


『つまりは俺に“迷いの竹林に行ってこい”ってことか』

霊夢「ええ、竹を何本か伐ってきてほしいの。できるだけ曲がっていない真っ直ぐな竹がいいわね」

霊夢「そうそう、竹は永遠亭で永琳の許可をもらってから伐ってね。あの竹林はいちおう永遠亭のものってことになってるから」

『ん?でも俺はまだ永遠亭はおろか、迷いの竹林に行ったことすらないぞ』


まさか勘で永遠亭を探せというのか?霊夢は鬼なのか⁉︎


霊夢「もちろん地図は書くわよ。さすがに“地図なしで行ってこい”なんて言えないわ」


そうか、それもそうだよな。俺はひとまず安心した。



ーー
ーーー


‐迷いの竹林‐


・・・前言撤回。やっぱり霊夢は鬼だった。

なんだこの地図は⁉︎
上のほうに小さく『迷いの竹林』と書かれた紙の中央に星印と『永遠亭(だいたいこの辺り)』という注釈がついているだけ。適当すぎるにもほどがあるだろ!
あいつは本当に内職する気があるのだろうか。それすら疑いたくなる。


『はあ…』


思わずため息が出た。
迷いの竹林はその名が示すとおりどこを見ても竹ばかりで方向感覚が狂う。ひたすら竹林が続いていて目印など何ひとつなかった。富士山麓に広がる青木ヶ原の樹海もきっとこんな感じなんだろうな。


『地図がこんなんじゃあ見つかるものも見つからんわ…うおっ⁉︎」


ぼやきながら歩いていると巨大な落とし穴に落ちてしまった。


?「鈴仙のバーカ!こんな簡単な罠にかかってやんのー‼︎」


間髪いれずにうさ耳が生えたピンクのワンピースを着た少女が得意げな顔で穴を覗き込んできた。


?「え、鈴仙じゃないし…」

『兎さんや、人違いと分かったところで助けてくれないかなあ?』

?「うーん…」


なぜかそこで考え込む少女。いやそこは助けろよ。


?「犯人は私ではありません!それではっ‼︎」


数秒の沈黙の後そう告げた少女は文字通り脱兎のごとく逃げ出した。そうは問屋が卸さない。


『逃がすかよ』


俺はスペルを発動した。




~傘舞「因幡の傘踊り」~




?「ぎゃーーー!」


\ピチューン♪/


兎の少女はたちまちスペルの餌食になった。



ーー
ーーー


?「うう…いきなりスペカなんて卑怯すぎる!」

『お前が見え透いた嘘をつくからだろ』

?「ゐゑゐゑ、何を仰せになられる。いつ如何(いか)なるときも真つ正直に生きてきたこの(わたくし)がそんな見へ透ひた嘘などつくわけが無ひに決まつてゐるぢやあありませんか」

『なるほど、お前は嘘をついたら歴史的仮名遣いになるのか』

?「うぐぅ…。あっ、もしかしてアンタが新聞に載ってた外界人ってヤツ?」

『おう、俺はお前と同じ因幡出身の松上敏久だ。よろしくな、てゐ』

てゐ「その様子だと私のことは知ってるみたいね、こちらこそよろしく。敏久はどこに向かおうとしてたの?」

『ああ、永遠亭に用があってな。ついでだけえ(ついでだから)、今から永遠亭まで案内しんさいや(してくれよ)

てゐ「やれやれ、仕方ないなあ…。同郷の(よしみ)で案内してあげる」

『ありがとな』

てゐ「どういたしまして。こっちよ」




ーーー俺は永遠亭の妖怪兎、因幡(いなば)てゐ(てい)の案内で永遠亭に向かった。 
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