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ハッピークローバー

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第十七話 合コンが終わってその十

「いいな」
「そうよね」
「今話した奴なんてな」
「餓鬼になって」
「一万五千年苦しむんだ」
「それだけなの」
「餓鬼の寿命はそれだけだ」
 仏教ではそうなっている。
「それで一万五千年の間ずっとな」
「苦しむのね」
「餓えていて渇いていてな」
「それは辛いわね」
「だから地獄に堕ちるよりも辛いと言う人もいるんだ」
 餓えと渇きが酷くてだ。
「それだけ辛いんだ」
「じゃあならないことね」
「最初からな、しかし今話した奴は本は読んでいてな」
 父は苦い顔で話した。
「それで餓鬼のことだってな」
「知っていたの」
「その筈だがな」
「それでもそうなったのね」
「本を読んで知識を手に入れてもな」
 そうであってもというのだ。
「それだけだと駄目だな」
「人間性を磨かないと駄目なのね」
「そいつは何もしなかった」
 人間性を磨く様なことをというのだ。
「勝手に自分がこの世で一番偉いと思ってな」
「それでなのね」
「家の中で働きもしないでな」
「ふんぞり返っているだけだったの」
「それで奥さんにも逃げられてだ」
 そうなってというのだ。
「働かないから団地にいたが家賃もな」
「払えなくなって」
「出る破目になってな」
「それで助けてもらっても」
「感謝しないで文句ばかりでな」
 助けた人達へのというのだ。
「遂に皆から見捨てられてだ」
「行方不明ね」
「本を読んでいてもそうなるんだ」
「それだけじゃ駄目ってことね」
「他のことも勉強しないとな」 
 さもないと、というのだ。
「世の中に出てな」
「そのうえで」
「仕事してな」
 そうしてというのだ。
「学校も行って人と会って話して」
「そうしてなのね」
「世の中のこと人間のことをな」
「勉強することなの」
「そいつは天狗になっていてだ」
 父はさらに話した。
「人の話もだ」
「聞かなかったの」
「そうなっていたんだ」 
 実際にというのだ。
「もう自分だけになっていてな」
「更正しなかったのね」
「更正するにも能力が必要なんだ」
「えっ、更正するにも」
「そうなんだよ、誰でも出来るかっていうとな」
 更正するにしてもというのだ、父は今話している輩のことを思い出しながらそのうえでむすめを見てそうして話した。
「違うんだ」
「能力が必要なの」
「反省したり謙虚だったり人の話を少しでも聞くな」
「そういうのがないとなの」
「ほんの少しでもあればいいんだ」
「そうなの」
「大抵の人にはあるんだ」
 そうだというのだ。 
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