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今時娘

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第一章

                今時娘
 夏になった、すると中田家の長女で八条学園高等部商業科に通っている小雪は毎日肌に日焼け止めクリームを塗り。
 服も帽子もUVカットを徹底させた、その娘を見て父は憮然として言った。
「夏は日焼けしてだろ」
「いいっていうのね」
「そうだ、お父さんなんかな」 
 父は憮然としながら娘に語った。
「中学高校大学とだ」
「野球部にいてよね」
「サードでな」
 ポジションの話もした。
「掛布さんを目指していたんだ」
「それで練習してよね」
「日焼けして小麦色だったぞ」
 その肌はというのだ。
「そうだったからな」
「だから私もなの」
「日焼け止めなんかな」 
 そしてUVカットもというのだ。
「いらないだろ」
「それは昭和のお話でしょ」 
 娘は乳に彼以上に憮然ととした顔で返した。
「今は違うのよ」
「日焼けは駄目か」
「平成からそう言ってるわよ」
「スポーツで日焼けして何が悪い」
「歳取ったらシミになるし」
 娘はその時のことを話した。
「それでお肌焼き過ぎたら癌とかもね」
「皮膚癌か」
「そう言われてるし」
 娘はさらに言った。
「強い日差しは目にも悪いし」
「だからか」
「サングラスもしているわ」
「サングラスは不良のするものだったがな」
「それも昭和だし」 
 その頃の話だというのだ。
「お父さん古いわよ」
「ふん、それでもだ」
「そう言うのね」
「そうだ、日焼け止めとかサングラスとかな」
「必要ないのね」
「ありのままでいいだろ」
 あくまでこう言う父だった、だが。
 小雪は夏はUV対策を徹底させた、そうして自分の白い肌を維持していたが父はそんな娘に憮然としたままだった。
「全く、嫌な世の中になったな」
「親父、小雪が正しいぜ」
 兄は風呂上りにビールを飲もうとしてワインに切り替えた父に健康にいいので牛乳を飲みつつ言った。
「日焼けも過ぎると身体に悪いんだ」
「それも科学的に行ってか」
「そうだよ、日焼け止めも目を防ぐ為のサングラスもいいんだよ」
 こう言うのだった。 
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