| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

皇帝を見て

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第二章

「私が」
「そうか、しかしそれは楚でもな」
「言わぬことですか」
「確かに楚は秦を憎みな」
「それで、ですな」
「誰もが秦を嫌っておる」
「だから誰も言いませぬ」
「兵が聞く、特にあの宦官は気をつけよ」
 巡幸の行列の中にいる一人の太った老婆の様な宦官を見て言った、名を趙高というが二人はそこまで知らない。
「あれは紛れもない悪者いや姦賊だ」
「賊ですか」
「顔に出ておる、ああした者に聞かれるとな」
「まずいですか」
「お主の武芸と力なら兵なぞ幾らいてもものとせぬが」 
 それでもというのだ。
「ここから去るのは今はまじ」
「だからですか」
「聞かれぬ様にな」
「言うことですか」
「そうせよ、この項梁が立つ時は来る」
「そしてその時は」
「項羽、甥であるお主もな」
 その彼にも言うのだった。
「働いてもらうからな」
「だからですか」
「今は聞かれぬ様にせよ」
「わかり申した」
 項羽と呼ばれた若者は叔父である彼の言葉に頷いた、そうして今はその場を二人で去ったのだった。
 始皇帝の楚での巡幸は続いた、その中で。
 彼が来ると聞いてだ、酒場で話題になった。
「皇帝がここに来るらしいぞ」
「へえ、そうなのか」
「ここに来るのか」
「ここにもか」
「そうなのか」
「だからな」
 それでというのだ。
「皇帝の行列観に行かないか?」
「秦のか?」
「秦の皇帝をか?」
「楚を滅ぼした国の偉いさんだが」
「観に行くのか」
「凄い行列らしいからな」
 言い出した者は酒場の客達に言った。
「だからどうだ?」
「見物か」
「凄い行列の」
「皇帝のそれを観に行くのか」
「ああ、兵の数は多くて武器や鎧は立派でな」
 それでというのだ。
「車も凄いらしいからな」
「だからか」
「それを観に行くか」
「そうするか」
「ああ、どうだ?」
 酒場の客達に言った、皆馴染みである。その者達に言うのだった。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧