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Fate/WizarDragonknight

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監視カメラ包囲網

「ほんっと信じられない!」

 リゲルはそう叫んだ。

「こんな下らないことで令呪を使うなんて!」
「でも、それだけの価値はありました。掃除を中断させることができましたから」
「マスターあなた令呪の価値分かってるの!?」

 リゲルが本気で怒っている。
 顔を真っ赤にして、鈴音の肩を掴んでいる。

「令呪ってのは、いかなる無茶ぶりだってサーヴァントにさせることが出来るのよ! それに、宝具っていうサーヴァントの切り札を使うための必要事項でもあるのよ! それを、こんな小一時間もかからない家事のために……!」
「いいんです。どうせ私は逃げ専です。リゲルが切り札を切る状況などないですよ」
「なっ……!」

 鈴音のきっぱりとした言い切りに、リゲルは空いた口が塞がらない。
 そんなサーヴァントを置いて、鈴音は可奈美と紗夜を見た。

「それで二人とも。何だったんですか?」
「ん? 何が?」
「だから、今日来た要件」
「……あ」

 鈴音がそれを言い出すまで、ハルトは紗夜から頼まれていたことを完全に忘れていた。

「そうだそうだ。紗夜さん」
「えっと……ハッ!」

 紗夜が頭の上にビックリマークを浮かべている。

「紗夜さん、もしかして忘れてたんじゃ……?」
「わ、忘れてません!」

 紗夜はそう主張して、写真を取り出した。

「この人の捜索です」
「……蒼井晶ですか?」

 写真に写った、モデルの少女。キラキラの笑顔で返す彼女を一瞥すると同時に、見事に鈴音はその名を言い当てて見せた。

「よく知ってるね」
「私は情報を集めて聖杯戦争を戦うタイプですからね。参加者の情報を集めるのは基本中の基本ですよ。増してや、芸能人ですから」
「そうなんだ……それじゃあ、聖杯戦争での彼女のことも?」
「知っていますよ。アヴェンジャーのマスターですよね」

 鈴音はこれまたピタリと言い当てた。

「アヴェンジャー、スイムスイム。詳しいことまでは分かりませんが、脱落したと認識しています」
「うん。フェイカーにサーヴァントがやられたんだ」
「トレギア……ですね?」

 その名前に、ハルトは顔を歪めた。

「こっちも知ってるんだね」
「はい。危険な思想を持つ参加者だと認識しています」

 鈴音が、ちらりと紗夜の顔を覗き込む。
 ハルトも紗夜を盗み見てみると、彼女が青い顔を浮かべていた。

「……見滝原ドームでの事件も、おおよその概要は把握しています。氷川さんの体を乗っ取ったトレギアが大暴れしたと」
「ものすごくざっくりと言うとそうだね」
「もっとも、私の情報は監視カメラのハッキングが大元ですから、それ以上のことは知らないですね。アヴェンジャーのことも、トレギアとの戦闘後から確認取れないですからね」
「ああ……アヴェンジャーの最期は、俺が立ち会った」

 ハルトは声を落とした。
 件の少女、蒼井晶。
 彼女がサーヴァントとして従えていたのは、暗殺を得意とする少女、スイムスイムだった。壁や床に潜り、場所を選ばずに殺意の刃を向けてくる少女。だが彼女は、聖杯戦争の舞台である見滝原、その境界線を少し超えただけで、ルールに沿って命を落とした。
 鈴音はリゲルと顔を合わせ、互いに相槌を打った。

「トレギアもどこにいるか分かりませんし。とりあえず、探してみましょうか」

 鈴音はそう言って、廊下を戻っていく。私室のドアを開けた彼女は、ハルトたちを手招きした。

「ちょっとマスター! まさか、ウィザードたちを部屋に入れるつもり!?」

 リゲルは血相を変えて怒鳴った。
 当たり前のように頷いた鈴音に、リゲルは白目を剥いて傾いた。

「ちょ、リゲル!?」
「おっと……」

 気を失いかけたリゲルを、可奈美が受け止めた。

「だ、大丈夫? リゲルさん」
「へ、平気よ……依頼とはいえ、敵であるウィザードやあなたに、私達の心臓部である情報収集の要を曝け出すと思うだけで頭が痛いのよ」
「あはは……」

 ハルトと可奈美は互いに顔を見合わせてほほ笑んだ。
 そのまま気絶しかけたリゲルに肩を貸しながら、可奈美と紗夜に続いて、ハルトは部屋に入っていった。
 鈴音の私室。そこに足を踏み入れた途端、そこは別世界だった。

「「寒っ‼」」

 入った瞬間、ハルトと可奈美は同時に悲鳴を上げた。
 三月初頭。
 まだ寒さが堪える世の中。家に入るメリットとして暖かさがあげられるものの、部屋に入ったら外よりもさらに強い寒さに襲われた。

「何これ何これ!? めっちゃ寒いんだけど!」
「問題ありません。むしろ、これくらいの冷却は必要ですよ」

 鈴音はそう言って、パソコンを操作し始めた。
 株か何かの画面が切り替わり、やがて町のあちらこちらの映像が映し出されていく。

「あれ……何やってるの?」

 その様子を見て、ハルトはリゲルに尋ねた。
 リゲルは、鈴音とアイコンタクトを取る。彼女から許可を得たということかと思うと、リゲルは話し始めた。

「マスターの情報収集の主戦力は、ここの監視カメラのハッキングよ。いわば、見滝原全体がマスターの目ね」
「なにそれ怖っ!」

 ハルトは腕を抱き、震えあがる。

「そりゃ情報網すごいはずだよ。この町での活動全部筒抜けってことでしょ?」
「さすがに私も取捨選択はしますよ。たまに男女の修羅場とか見られて面白いですけど」
「うわあ」
「いろいろと法令違反な気もしますけど……」

 紗夜が頭を抑えた。
 ココアから聞いた話では、彼女は風紀委員らしい。色々とアウトな面も多いことは、彼女にとっては頭が痛くなるのだろう。

「……紗夜さん、どうする? 警察に通報する?」
「……見なかったことにします」
「見つけました」

 鈴音のその言葉に、ハルトと紗夜は、顔をモニターに近づけた。

「彼女ですよね。蒼井晶」

 無数に並ぶモニター。その一つに、栗色の髪をした少女の姿が映し出されていた。何度も拡大を繰り返し、その姿がハッキリとしてくる。
 だが蒼井晶の姿は、ハルトの記憶にあるものとは異なっていた。
 綺麗に流されていた髪はボサボサになっており、右頬には大きな治療具を張り付けてある。桃色の髪飾りは無くなっていた。
 だが。

「間違いない。彼女だ」

 ハルトの確信に、紗夜も頷いた。
 これまでの蒼井晶の接点は二回。
 ラビットハウスにモデルの仕事として訪れたことと、そして見滝原ドームでサーヴァント、スイムスイムに襲われた後のこと。

「この日付は……先月か」
「私たちがヤマタノオロチと戦っていたころだよね」

 可奈美もまた、モニターに表示される日数をそう断じた。
 鈴音は「ヤマタノオロチ?」と首を傾げる。

「何ですかそれは? 先月のみなさん……ああ、そういうことですか」

 鈴音はキーボードを数回叩く。
 すると、晶が表示されているものとは別のモニターに、あの光景が映し出される。
 干上がった湖。そして、ムーの戦士が開けた門。
 それは。

「先月の見滝原公園です。干上がった湖にハルトさんたちが飛び込んでいったのは不思議でしたけど、もしかして」
「その話はあとで。それより、蒼井晶はこれからどこへ?」
「……」

 むすっとした顔をした鈴音は、またキーボードを叩く。すると、見滝原公園を映したもの以外のモニターが書き換わっていく。

「あと、今ネットにある情報も確認しました。どうやら彼女は、一月末からモデルの仕事にも出ていないそうです」
「一月末……」

 それはきっと紗夜にとって、忘れられない日だろう。
 妹に嫉妬する少女(紗夜)と、同輩に嫉妬する少女()
 彼女たちが、仮面の男トレギアに徹底的に利用された日。今この場にいない龍騎、そしてココアを選んだ光の戦士がいなければ、とてもあの場を切り抜けることなどできなかった。

「少し待って下さい……」

 モニターの中の晶は、ハルトとぶつかった後、そのまま駆けていく。
 やがて古いアパートに閉じ籠った彼女が出てくるまで、鈴音はモニターを早送りにした。
 母親らしき女性が何度も出入りしているが、晶が出てくる様子はない。
 やがて姿を現した晶。それまでどれだけ日が出入りしたか分からない。彼女は胸に抱えた荷物を持ったまま、どこかへと向かっていった。

「どこに行くんだ?」
「追いかけてみましょう」

 鈴音はそう言って、モニターを操作する。すると、町中に点在する監視カメラが切り替わり、晶を追跡していく。

「……これ、俺たちがやってることって、モデルのストーカー……」
「だ、ダメだよハルトさん! 私も今そう思い始めたけど、思わないようにしてたんだから!」
「だってさ、これ……」
「だからダメだって!」

 可奈美が顔を引きつらせる。

「私も何だか罪悪感が芽生え始めてるんだから! ……あ、戻ってきた」
「……行方不明になった日付は分からないんですか?」

 鈴音が欠伸をしながら尋ねた。

「そうでないと、彼女の出入りを毎回監視することになりますけど?」
「見せて下さい」

 紗夜がさらに前に乗り出す。
 彼女は晶が動くモニター、その右下の日付を確認した。

「間違いありません。この日です。おそらく、ここからはもう帰ってこないと思います」
「分かりました」

 鈴音は引き続き、モニターを操作する。監視カメラの映像が無数に切り替わり、晶を追いかけていく。
 住宅街を抜け、川を渡り。
 晶が向かった先は。

「見滝原南方面ですね」

 見滝原南。
 かつて、ハルトたちの宿敵トレギアが、荒魂の少女を誘拐し、ハルトや可奈美たちを誘い出した場所だった。 
 

 
後書き
彩「は、初めまして。丸山彩でしゅっ!」
真司「あ、噛んだ」
彩「うええん……! これからだって言うのに、これじゃあ印象悪いよ……」
真司「平気だって。気にすんな。えっと、今日からだっけ?」
彩「はい! よろしくお願いしましゅ」
真司「あ、また噛んだ」
彩「うっ……こんなんで私やっていけるのかな?」
真司「大丈夫だって。最初はみんなこんなもんだから」
彩「せ、先輩……ありがとうございます!」
真司「先輩……先輩……っ! うっし! 先輩に何でも聞け!」
彩「はいっ! あ、いらっしゃいませ~」
真司「もっとにっこり! スマイルゼロ円だぜ!}
彩「いらっしゃいませ~!」
真司「そう! その調子! もっと熱くなれよ!」
彩「いらっしゃいませ~!」
真司「そして、このコーナーで俺たちがすることはこれだ! アニメ紹介コーナー!」


___「忘れない」誰かの声が 切なく響く 始まる 予感にふるえて___



真司「sola! ……これってそらって読み方でいいんだよな?」
彩「ま、まん丸……あ、紹介だ紹介! 2007年4月から6月に放送中! ……じゃなかった! 放送してたよ」
真司「彩ちゃん落ち着いて。めっちゃ噛み噛み……」
彩「こうなったら、最後まで解説します! 空が大好きな男の子、森宮依人(もりみやよりと)君が、夜にしか外に出てこない綺麗な女の子、四方茉莉(しほうまつり)と出会って、そこから始まる物語だよ!」
真司「自動販売機から始まるボーイミーツガール」
彩「夜禍(やか)っていうものの存在とか、色々とファンタジーも入った、お姉ちゃんのことも含めてちょっと切ないお話だよ! よしっ、最後まで言えた!」
真司「お疲れ様! それじゃあ、これからバイト頑張ろう!」 
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