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私はいじわる 小悪魔が住みついた

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6-⑸

 月曜日のクラブの始まる前、私達3人は練習前のキャッチボールをしていた。お昼休みにスポーツ店の人が来て、1年生の注文したものを持って来てくれたのだ。早速、それで・・

 私達は、グラブ、帽子とスパイク、ストッキングだけを揃えて、後はしばらくは体操服でやろうということにした。鈴花ちゃんが

「男の子と一緒のように練習着も揃えると、埋もれちゃってわかんなくなるよ。女の子でも、やっているんだとみんなにアピールする必要あるやん。それを見て部員がふえるかも知れんからな」

 私もオーカも賛成した。オーカは最初、キャッチするのがぎこちなかったんだけど、直ぐに、慣れて来たみたい。私なんかより、ずーと運動神経が良いのだろう。それから、いつものように、グラウンドを走ってから、うさぎ跳び。私等もみんな、男の子からそんなに遅れないでついて行けるようになっていた。

 練習が終わって、みんなが手を洗い場に集まってきたとき、私等女の子は最後のほうになるんだけど、穣先輩が昂に

「昂 翠って姉ちゃんか?」

「ええ 一人います」

「そうか 御読って珍しいしな 俺と同じクラスなんだよ 翠って女子サッカー部のキャプテンで頭も良くってな それに可愛いしな でもな、彼氏が、男子サッカーのキャプテンでやっぱり、こいつが頭も良くってな、良い奴なんだよ 俺等のヒーローみたいな奴で、そいつと昔から仲が良いもんだから みんな、見てるだけなんだけど、翠は愛想も良くって親切だから、みんなから人気あるんだよ」

「そうですか 俺には、厳しいですよ」

 あっ お兄ちゃんの事言ってるんだ。私、その妹だってこと気づいていないのかなぁー。昂も余計なこと言わないんだ。昂はそういうとこあるよね。

 その日の夜、お兄ちゃんが

「真珠 コレッ 使え」と、スポーツバッグを渡してきた。

「えっ あっ ありがとう だって お兄ちゃんはー?」

「俺は、前のキャプテンから譲り受けたものあるんだ 代々のキャプテンの物だって だから、今はコレ使ってないんだ お母さんに負担かけるのも気使うだろ こういうの要るだろー」

 バッグが要るって思っていたけど、これ以上、買ってと言ったら、お母さんに晩御飯も抜きって言われたりするから、小学校の時に家庭の宿題で作った手提げで、うさぎさんのアップリケを縫い付けた袋に入れて行こうかなと、思案していたから

「うん ありがとう お兄ちゃん これに入れて行こうと考えていたんだ」

「うー その雑巾みたいな袋かー」

「お兄ちゃん 今の言葉 あなたの可愛い妹は 傷ついたんですけどー 一生懸命に作ったのに―」

「あぁ お母さんに半分 やってもらってな」

「あー そんなことあったかしら・・。でもね、クラブとかスパイク ウチ等 まだ 部室入れないやんか だから、持ち帰らなきゃって思ってたんだ」

「そうなんか 部室 使えないのか」

「だってさー 男の子と一緒じゃぁね 着替えも出来ないし それに、臭いやん だから、トイレとか保健室で着替えてんの」

「うーん それも、可哀そうだな― 翠んとこなんか、女子だけのってあるんだけどなー」

「うーん ウチ等 まだ、クラブって認められてないからね 一応、野球部員ってだけ」

「そうかー 穣太に言ってやろうか もっと、考えてやれって」

「やめてよー お兄ちゃん それにね あの人 ウチがお兄ちゃんの妹だってこと 気づいていないみたい」

「そうなんか あいつ 鈍いとこあるからな でも、面倒見は良いんだぜ 今年、女の子が部員で入ってきて、そいつ等が、なまじの男より、出来るんだよー だけど、どういう扱いしたらいいんだろう って悩んでいたことがあったよ サッカーは良いよな― 翠がちゃんと女子部やってるもんなって でも、その野球部の中に真珠が居るってことは言ってないけどな」

「うふっ そーなんだ あの人 そんな感じするよねー 可愛い―」

「おい 昂ちゃんはどうするんだよ」

「違うよ 昂は 別格 お兄様の次に好きな人」

「真珠 いつの間に そんな 男を惑わすような 言い方 覚えたんだ」

 うん 私の中には小悪魔がいるんだもん

 
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