ウェディング前のリバウンド

　　　　　　　　　　　　　　　　ウェディング前のリバウンド
　久保ともりはかなり大きな胸を持っている、はっきりした優しい感じの大きな目で赤い奇麗な唇と顎の先がすっきりした顔を持っていて黒髪を短めにしておかっぱの様にして整えている。
　背は一五六位で胸だけでなく身体全体がやや太めだ、だが今は。
「ウエディングドレス着るからね」
「それでなのね」
「ダイエットしたのよ」
　同じ職場で働いている友人の清水葉月赤茶色の髪の毛をボブにした一六〇位のスマートな体型で細い顔と目を持っている彼女に喫茶店で話した。
「頑張ってね」
「そうしたのね」
「甘いものも控えて毎日ジムで泳いでね」
「そうしてなのね」
「今の体型よ」
「随分痩せたわね」
「ええ、我慢したわ」
　ともりは葉月に話した、見ればズボンのスーツがよく似合っている、だが胸はそのままでグラビアにもなりそうである。
「これまでね」
「それはいいことね、じゃあ今日うちに来る？」
「あんたの家に？」
「結婚前のパーティーしない？」　
　葉月はともりに笑顔で誘いをかけた。
「そうしない？」
「お祝いになの」
「それでダイエットに励んだご褒美にね」
「私自身になの」
「そう、だからね」
　それでというのだ。
「今夜はね」
「パーティーでなのね」
「飲んで食べてね」
　そうしてというのだ。
「楽しまない？」
「太らない？」
　ともりは葉月の提案に怪訝な顔になって問うた。
「そうしたら」
「一食でならないわよ、だからね」
「それでなのね」
「そう、どうかしら」
「それじゃあね」
　それならとだ、ともりも頷いてだった。
　葉月が用意してくれたパーティーに参加した、そこには彼女以外の友人達もいて彼女達と一緒にだった。
　乾杯をしてビールやジュースをしこたま飲んでだった。
　チキンナゲットやピザ、ハンバーガーそれにケーキといったものを心ゆくまで楽しんだ、そうして満足したのだった。　
　これで終わりだと葉月は思った、だがこれが引き金になってだった。
　ともりはこの日からやたらと飲んで食べる様になった、実は以前から飲んで食べる方であったが完全に歯止めが利かなくなっていた。
　ラーメン、唐揚げ、ハンバーガー、トンカツ、ピザ、ポテトチップス、そういったジャンクーフードを貪り。
　お菓子をいつも口にしてジュースやビールを飲んだ、結婚しても仕事は続けることにしているので昼食は職場で摂ったり近くの店で食べていたが。
　牛丼特盛玉入りを食べる彼女にだ、葉月は眉を顰めさせて言った。
「あんた食べ過ぎよ」
「そう？」
「自分の机でいつも間食してるでしょ」
「カントリーマァムとかたけのこの里とか？」
「ポテトチップスとかね、おやつも食べてるでしょ」
「ええ」
「水泳続けていてもよ」
　葉月は牛丼屋で一緒に食べているともりに話した、葉月が食べているのは並である。
「駄目よ」
「大丈夫よ、あと少しで式だしね」
「その時までは太らないっていうの」
「そうそう」
「そうだといいけれどね、しかしダイエットしていたのに」
「何か我慢していた分余計にね」
「食べる様になったのね、飲んで」
　牛丼を自分以上の勢いで食べる葉月に言った。
「そうなのね」
「そうみたい、だからね」　
　それでと言いつつ食べている、かなりの勢いである。
「今もよ」
「式までに体型そのままだといいけれどね」
　葉月は心から心配した、だがともりはそのまま食べて飲んでだった。
　式の日となった、その日の彼女はというと。