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店で騒いでいると

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第二章

 瞬時に黙った、注意した店員はすぐに去ったが。
 三人は言われた通り小声で話した、そしてそそくさと帰ったが。
 店長は彼女達を見て店員達に話した。
「効果てきめんだったな」
「ええ、そうですね」
「凄かったですね」
「三人共帰りましたね」
「注意するにも普通の人が注意してもな」
 例えそうしてもというのだ。
「逆ギレされてSNSであることないこと書かれるだろ」
「そうですよね」
「性質の悪い客なら」
「そうしてきますね」
「だからな」
 それでというのだ。
「こうした時はな」
「アンドレさんですね」
「あの人に出てもらったら」
「それで言ってもらったらですね」
「瞬時に黙ってな」  
 どんな客でもというのだ。
「それでだよ」
「ああしてですね」
「帰ってくれますね」
「静かになったうえで」
「そうなるんだ、彼が店に来てくれてよかった」 
 こうも言うのだった。
「本当にな」
「いや、まさか日本に来て」
 その彼も言ってきた、正式な名前をアンドレ=ヴォパンという。
「こうしたことにも役立つとは」
「しかしフランスではレスラーもやってるんだろ」
「それで大学の学費と生活費とです」
 彼は店長に話した、他の店員達より圧倒的に大きい。
「留学の費用もです」
「稼いだんだよな」
「そうですが」
「そうだ、その体格なら誰もだ」
 それこそとだ、店長は彼に笑って話した。
「怯むな、実際力も強いしな」
「トレーニングは今もしています」 
 彼自身こう答えた。
「レスラーのそれを」
「だったらな」
「強いですか」
「ああ、大きさもあってな」
 それと共にというのだ。
「少なくとも大きさだけでああした娘達は怯んでな」
「静かになりますか」
「だから出てもらった、これからもああしたお客さんにはな」
「僕がですか」
「出て波風を立てないでな」
 そのうえでというのだ。
「収めてくれよ」
「わかりました」
 店ではこうした話が行われた、そして。
 伊吹、満代、郁恵の三人はその店では静かに喋る様になった。そこから次第に他の店でもマナーを守って静かにする様になった。それで三人で話した。
「またあんなでかい人が出たらね」
「怖いからね」
「お喋りも静かにしましょう」
 彼が出て来たことを思い出しながらのことだった、それで静かになったのだった。少なくとも他のお客さんの迷惑になる様なことはしなくなった。


店で騒いでいると   完


                 2022・3・20 
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