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おっちょこちょいのかよちゃん

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200 敵の本部への侵攻

 
前書き
《前回》
 クイーン・ベスから偽物の剣を託された三河口は作戦としてマリエルの本で出された豆の木の巨人の家にて待機する事になる。クイーン・ベスにブランデー・ナンと共に剣奪還の作戦を決めた剣奪還班一同は奏子の羽衣で皆を包み、水中を移動して戦争を正義とする世界の本部へと接近する!!
 

 
 三河口は豆の木の巨人の家に閉じ込められていた。巨人の家のテーブルは彼にとってはあまりにも広すぎる。陸上競技のトラック並の広さだった。ゆりやブランデー・ナンの作戦とはいえ、ここの場での待機はやや落ち着かなかった。何しろ三河口からしたら外の状況が知りたかったからである。
「コーヒーでも飲むか?」
 豆の木がコーヒーを出す。コーヒーカップも大きかった。
「ああ、頂くよ」
 カップの縁は三河口の顎の下にあったので三河口は池に口をつけるような飲み方で飲んだ。
(あまりにものんびりしていると肝心な時に動けなくなる・・・、か)
 三河口は側に置いた剣があるか確認した。

 ゆりはブランデー・ナンが考えている本部に攻め込む方法を質問した。
「その考えって・・・?」
「まず今は三河口健が鍵となる人間だ。クイーン・ベスが渡した偽物の剣はフローレンスとイマヌエルが用意し、日本赤軍に渡した偽物の杖、杯、護符の所に近づいた時、敵の世界の人間や赤軍の勢力を弱体化可能にできるのだ。だが、三河口健を他の偽物の道具三種に確実に近づけるにはその三つが置いてある所を探らなければならない。見聞の能力(ちから)があり、彼を閉じ込めている本を持つ花沢咲菜・マリエルがその場所を誘導して欲しい。但し、三河口健の事は敵共からも知られている。敢えて奴等を錯乱させる方法として、彼の傀儡も用意したい」
「傀儡・・・?そうね、北勢田君、君のその矛で健ちゃんそっくりの機械をいくつか出せるかしら?」
「はい」
「それから青葉政美にはマフラーにある変身能力で三河口健に成りすまして赤軍と戦って頂きたい」
「私?」
 政美は男に変身する事にやや抵抗があった。
「無理?」
 ゆりが聞いた。
「いえ、やってみます」
「それからこの本部は赤軍の本部へと通じる道がある筈だ。その赤軍本部にて異能の能力(ちから)を利用する事ができる機械を製造する場所があるという事。そこの場所の破壊も行って頂きたい」
「そうすれば、私の従弟の真似をする人がいなくなる訳ね・・・。輝愛ちゃんと北勢田君、それから奏子ちゃん、三人で赤軍の本部に行ってその機械を造ってる工房を片付けてきて」
「おうよ」
「北勢田君は健ちゃんそっくりの機械を作ってからでいいわ。奏子ちゃんの羽衣で移動してね」
「はい」
「それじゃあ、残りの五人で時間稼ぎも兼ねて赤軍と交戦するわよ」
「はい!」
「私も手伝うよ。さっき通った海からの敵の追撃はクイーン・ベスの艦隊が防いでくれると思うからそこはあまり心配しなくて良い。何しろ先程の青葉政美の奇襲で一部はやられて四苦八苦しているはずだからね」
「それじゃあ、皆、行くわよ!」
「はい!」
「おう!」
「それからマリエルちゃん、通信機でどうなっているか健ちゃんにも連絡しといて」
「はい」

 三河口はコーヒーを飲んだ後、何もせず大人しくし続けていた。
(待つだけでこんなにそわそわするとはいつぶりだろうか・・・)
 その時、通信機が鳴った。三河口は直ぐ様応答する。
「はい、こちら三河口」
『こちらマリエル。海を渡り終えた所でこれから敵の本部に乗り込むわよ。私が三河口君の持ってる偽の剣を置く場所に連れて行ったら豆の木の巨人と一緒に召喚するわ。他の皆は能力を出す機械の破壊やそれらの時間稼ぎに赤軍と戦うつもりよ!OK?』
「はい、了解。マリエル一人で本部の建物の中に乗り込むのか?」
『ええ、でも、私もそれなりに本の中にある色んな物出して戦うわよ』
「ああ、気を付けろよ。こっちも出番が来るまで大人しくしている」
『うん』
 マリエルとの通信を終えた。
(そろそろ本番に来たって事か・・・)

 赤軍のメンバーの一人、西川純と奥平純三は本部付近に敵が来るような胸騒ぎを機械を通して感じ取っていた。
「奥平、ここらへんだ」
「思ったよりもものすごく近づいているぜ!」
 そして二人は本部周辺を巡回していた。そして、空から何かが飛んでいた。
「西川、あれじゃねえのか!?」
「ああ、撃ち落としてやらあ!」

 マリエルは本から鵞鳥に乗ったマザー・グースを出して鵞鳥に乗った。鵞鳥は飛び立ち、他の皆と別れた。マリエルは見聞の能力(ちから)で相手の動向や偽物の三つの道具を心臓の鼓動などで感知した。
(どこかにある筈・・・)
 そして何らかの未来予知が見えた。自分を狙う者が近づき、命を取ると。
「マザー・グース!私達を襲う人が来てる筈だわ!」
「了解、粉屋の粉よ、出よ!」
 マザー・グースは小麦粉を出した。
「小麦粉?何に使うの?」
「まあ、見てなって」
 マザー・グースは小麦粉を投下した。爆発が起きる。
「あの小麦粉で爆発を起こせるんだよ」
 そしてマザー・グースの鵞鳥は侵入できそうな窓や出入り口を探す。
「・・・、どこなら安全かしら?」
 その時、通信機が鳴った。
「はい、こちら、マリエル」
『こちら濃藤だ。今お前にとって安全な道を俺の剣で確保するから待ってろ!』
「え?うん!」
 通信が切れると共に、建物の壁に穴が空いた。
「今、私のいる所の近くに穴が空いたわ!」
『よし、そこから入ればいい!』
「Thanks!」
 マリエルは英語で答えて本部の建物に侵入した。

 奥平と西川は小麦粉の爆発を受けたが、武装の能力(ちから)で何とか防御した。
「ちい、面倒くさい奴が来やがった!」
「追うぞ!」
「お前ら、俺が相手してやる」
「え?」
 二人は振り返った。その場に一人の高校生程の男子がいた。
「お前は、清水にいたガキじゃねえか!」
「生きてやがったか!わりいがお前一人じゃ倒せねえぜ!俺がお前の能力(ちから)を写し取ったのを忘れたか!?」
「なら、これはどうだ?」
 清水の男子高校生は手から電撃を放った。生憎、西川と奥平は武装の能力(ちから)で再び防御に入った為、無傷だった。
「こざかしい!」
 西川は手榴弾を投げた。
「この手榴弾は分身するぜ!」
 手榴弾は複数に分裂し、男子高生を狙った。爆発が起きた。少年の腕が二人の前に落ちた。
「呆気ねえな」
 しかし、奥平がそれを拾うと生身の骨や血肉がなく、導線などが腕に入っていた。
「なに、ロボットだったのか!?」
 その時、別の襲撃が来た。二人の機械が壊れる音がした。
「よう、偽物に気づいたみてえだな」
 斧を持った少年がその場にいた。

 濃藤は運命の剣(デステニーソード)を戦争を正義とする世界の本部に剣を刺していた。
(マリエルが入れる道を・・・)
 最上位の道具の一つである本物の剣が取り返せるように濃藤は自分の剣に願をかけていた。マリエルから建物の中に入れるようになったという連絡を終えると共に、周囲を確認する。
(来てるな、連中が!)
「おい、お前、そこで何してる!?」
 一人の男性が濃藤の元に近づいて来た。
「へん!」
 濃藤はまず剣を相手に向けた。ガシャ、ガシャ、と音が聞こえた。
「お前、機械を五つも持っていたのか」
「良く分かったな!」
「邪魔だ、大人しくしてもらおう!」
 濃藤は男を昏倒させようと剣を敵に向けた。しかし、防がれた。
「何だ?お前、何か能力(ちから)を持っているのか?」
「違うね、私よ」
 また別の女性が一名現れた。 
 

 
後書き
次回は・・・
「赤軍本部へと繋がる道」
 戦争を正義とする世界の本部での剣争奪戦が始まった。マリエルは異世界の剣が安置されている部屋を探す為に本部の建物内の捜索を始める。そして赤軍本部への道を探す北勢田、奏子、鯉沢は赤軍の追撃を受け・・・・!? 
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