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父は父

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第二章

「前までお父さん大好きだったのにな」
「だからあの年頃はよ」
「皆ああなんだな」
「そうよ、だからね」
 妻は夫と共にビールを飲みつつ話した。
「気にしないの」
「それでああして恰好いい人に夢中になるのか」
「皆そうだから」
 妻はまたこう言った。
「だからね」
「特に気にすることはないか」
「気にしたら負けよ」
「そういうものなんだな」
 ビールを飲みながら言った、そんな中彼は誕生日を迎えたが。
 妻からプレゼントを貰った、そして。
 綾はマグカップを出してきた、それを彼に差し出して言った。
「お誕生日おめでとう」
「くれるのか」
「くれるって毎年あげてるじゃない」
 娘は父に何を今更という顔で返した。
「そうでしょ」
「それはそうだけれど」
「今年もよ、私陶芸部だから自分で焼いたしね」
「手作りか、悪いな」
「悪くないわよ」
「それに最近はずっとビッグボスばかりだったのに」
「ビッグボスはビッグボス、お父さんはお父さんよ」
 娘はきっぱりと言った。
「また別よ」
「お父さんはか」
「そう、お父さんよ」
 やはりきっぱりと言った。
「それ以外の何でもないわよ」
「そうなんだな」
「だから誕生日にはね」
「今年もか」
「プレゼントあげたのよ」
 父に真面目な顔で告げた。
「そうよ、じゃあそういうことでね」
「ああ、貰うな」
「そうしてくれたら嬉しいから」
 こう言ってマグカップを父に渡した、これでこの話は終わったが。
 次の日娘は何かを箱に入れてプレゼント用の紙に包んでリボンで縛っていた、太はそれを見て娘に尋ねた。
「何だそれ」
「プレゼントよ」
「ビッグボスにか?」
「違うわ、彼氏の山田君よ」
「おい、初耳だぞ」
 父は娘の何でもない言葉に仰天して言った。
「お前付き合ってる人いるのか」
「言わなかった?」
「だから初耳だぞ、お前何時の間に」
「今度うちに連れて来るからね」
「何てことだ」
「思春期の女の子だからよ」
 妻は驚いている夫に笑って話した。
「だからね」
「こうしたこともあるのか」
「そうよ、そうして大きくなっていくのよ」
「そうなんだな」
 太は妻の言葉に唖然とした顔で応えた、そうして後日その彼氏と交際相手の父親として会ってまともな少年とわかってほっとしたのだった。


父は父   完


                2022・3・19 
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