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日本のキャンプ場なのか

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第一章

               日本のキャンプ場なのか
 そのキャンプ場は他のキャンプ場と比べてもかなり自然豊かな場所だ、その為管理人として運営を任されている黒田大五郎も自慢にしている。一九〇近い筋肉質の胸筋の分厚い男で茶色の左で分けた髪と童顔が印象的な人物だ。
「うちは本当に自然豊かで森も湖も川も石場もあるからな」
「いや、凄いですよね」
「こんな自然豊かなキャンプ場滅多にないですよ」
「アメリカのそれにも負けてないですね」
 客達も笑顔で言う、その為キャンプを趣味とする者達やレジャーで来る一家にもいつも評判がよかった。
 だが黒田はこうも言うのだった。
「しかし自然を甘く見たらいけないからな」
「ですよね」
「自然は怖いものでもあります」
「災害もありますし」
「危険な生きものもいますし」
「日本の本土でも危ないんだ」 
 キャンプ場があるそこでもとだ、黒田はスタッフ達に話した。
「本当に」
「ツキノワグマも怖いですしね」
「ニホンザルも凶暴ですし」
「猪も危険です」
「このキャンプ場の周り全部出ますしね」
「蝮や蜂もいますし」
「そうだ、だからお客さん達にもだ」
 黒田は真剣な顔で話した。
「わしはいつもお話してるんだ」
「災害や事故に注意して」
「生きものにも注意ですね」
「迂闊に近寄ったり食べものをあげない」
「危険な場所には寄らない」
「漆やハゼにかぶれることもあるしな」
 その危険もあるからだというのだ。
「本当にだ」
「自然は危険も多い」
「楽しいばかりじゃない」
「そうした場所ですね」
「そうなんだよ」
 こう言うのだった、そうして彼は真剣に自然と向かい合いキャンプ場の管理を行っていたが。
 彼はアライグマを見て驚いた。
「誰かが捨てたか」
「うわ、噂には聞いてましたけど」
「日本の自然に入ってですね」
「暮らしているんですね」
「ああ、これは注意しないとな」
 キャンプ場に出て来たアライグマを見てスタッフ達に話した。
「アライグマも気が荒いからな」
「ですよね」
「ちょっと駆除もしますか」
「あまりに酷いと」
「出来る限り殺したくはないけれどな」
 命の重さを考えるとだ、彼はそう思いつつも罠も真剣に検討した。
 だがアライグマだけでなくだ。彼は湖である生きものを見て驚いた。 
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