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私はいじわる 小悪魔が住みついた

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4-⑵

 6年生の新学期が始まって、朝、登校班で集まった時、昂君も元気に出てきていた。昂君が入院して休んでいる間に、私は、卒業する6年から、登校班の班長にさせられていたのだ。だから、先頭を旗を持って歩いているのだ。そして、一番後ろからは昂君が歩いていた。その前を香菜ちゃんが歩いていて、時たま、昂君に話しかけている。私は、心の中で 何でこうなるのー と思いながら、面白くなかった。

 教室に入って行くと、後ろの掲示板の前にみんなが集まっていて、私を見て「ワァー」って・・、はやし立ててきた。そこには、私と昂君のあん時の後ろ姿の写真とその横に昂・真珠っていう相合傘が書かれていたのだ。

 私が「なによー これっ」と、取ろうとしたら、昂君が「ほおっておけ そのままで」と、私の手を遮っていた。

「なんでよー こんなの ひどいやんかー」

「いいから そのままにしとけ」と、昂君は穏やかだった。

「真珠 すごいね ベツタリやんかー ご苦労様 しっかり昂に付き添っていたやん」と、鈴花ちゃんもそれを見つけるなり言ってきていた。私は、もう、恥ずかしくって、机に座ったまま、顔を上げれないで、じーっとしていた。

「やっぱり、誰かに見られていたんだ。だけど、あんな風に貼るなんて・・ひどいー 誰なんだろう」と、繰り返し思っていた。側で、香菜ちゃんが何にも無かったみたいに、話かけてくるんだけど、いい加減な返事をして、聞いてなかったのだ。

 先生が入ってきて、授業が始まる時

「御読君が治って元気に出てきてくれました。御読君 なんか みんなに挨拶を・・」と、促した時、昂君はみんなの前に出て

「いろいろと心配してくれて、ありがとうございました。もう、ゆっくりだけど走れるようになりました。だけど、入院中から、近所だし、小さい頃から知っているし織本真珠さんには、いろいろとお世話になりました。退院した後も、歩いてリハビリしなきゃダメって言って、付き合ってくれて、女の子にしたら恥ずかしいし嫌なんだろうけど、僕が無理やり頼んで、だから、又、転んだりしたら大変だからと寄り添って歩いてくれました。そんな優しい人の気持ちを・・茶化すような行為は人間としても最低だと思います。そんな人間がこのクラスに居るとしたら、僕は軽蔑します」と、言って、その場でジャンプしていた。そして、私のほうを見て「ありがとう」って・・

 その時、鈴花ちやんが後ろからきて、私の背中を ポン と叩いてきて、私に向かって拍手をしていたら、何人かもつられて拍手をしていた。そしたら、先生も。

 私は、昂君に嬉しかったのか、鈴花ちやんに嬉しかったのかはわからなかったけど、涙が滲んでいた。そして、今までで一番恥ずかしかったのかも知れない。顔も勿論、火照っていたと思う。

「昂 の バカ・・やろう・・」

 そして、クラス委員を選ぶ時になると、男子はほとんどの票を昂が集めていた。女子のトップは夏美ちゃんだったけど、なぜか、3票差で鈴花ちゃんと私が同票で・・異変だったのだ。

 その帰り道、いつものように香菜ちゃんと別れた後、昂君が並んできて

「なんで あんなこと言ったのよー 昂はヒーローみたいだったけど・・ウチは おかず みたいじゃぁない」

「おかず じゃあダメなんか ご飯だって、おかずが無いとなー 米だけじゃぁ 楽しみ無いだろー どっちもどっちだよ それよりさー お前 胸膨らんだのか― 前より、ちょっと出て来たなぁ―」

「うぅー 何見てんのよー この色キチ」と、私は、胸を押さえて、思いだした。カップ付きを着ていたんだ。と言いながらも、昂君の言っていた、ご飯とおかずのことは嬉しかったのだ。

「あんな奴だけど・・好きになっていいのかなー」って私の中の小悪魔に問いかけていた。

「スキニシロー モット ナヤムゾー」と、心の中から・・




  
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