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ドリトル先生とめでたい幽霊

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第八幕その八

「不思議なんだよね」
「勝っても負けても絵になるからね」
「何があってもね」
「あれはもう阪神だけだよ」
「ネタにもなって」
「自然と人々を魅了して話題を提供してくれて記憶に残る」
「素敵なチームだよ」
 王子は笑顔で言いました。
「本当に」
「織田作さんの頃も阪神あったよね」 
 ここでこのことを言ったのはトートーでした。
「そうだったよね」
「確か昭和十一年に創設されてるから」
 阪神はとです、ジップも言います。
「それだったらだよね」
「そうそう、もう完全に時代そのままだよ」
 老馬も言いました。
「織田作さんの生きた時代だよ」
「丁度織田作さんが生きていた時代に阪神が創設されてるわね」
 ポリネシアはまさにと指摘しました。
「そうだね」
「丁度阪神の戦前強かった頃で」
「藤村さんの時代だったわね」
 チープサイドの家族はミスタータイガース伝説の背番号十を背負ったあのスーパースターのことを思い出しました。
「あと景浦さんだった?」
「この人も凄かっただんだよね」
「その時はむしろ巨人より強かったって聞いたけれど」
 こう言ったのはガブガブでした。
「織田作さんはその頃の阪神の世代ね」
「ううん、その頃の野球は詳しくないけれど」
 ダブダブだけでなく他の皆もそれは同じです。
「織田作さんがその時代の人なのは事実だね」
「プロ野球黎明期で」
「阪神もまさに創設したて」
 オシツオサレツは二つの頭で言いました。
「そんな頃だね」
「あの頃は」
「まさにそうだよ、阪神も出来たばかりで」
 実際にとです、先生もお話しました。
「まだまだね」
「チーム、球団として形成されていっていた」
「そうした時代で」
「まだ手探りだったのね」
「何もかも」
「日本のプロ野球自体もね、ラジオもまだ広く出回ってなくて」
 この媒体すらというのです。
「テレビはまだね」
「なかったよね」
「昭和三十年代からだから」
「織田作さんの頃にはテレビがなくて」
「野球は球場で観ていたんだ」
「それが主だったよ、その頃は阪神に藤村さんや景浦さんがいて」
 そしてというのです。
「活躍していたんだ、ただ景浦さんは残念だけれど戦争で」
「ああ、戦死しているんだね」
「この人は」
「伝説の人だけれど」
「巨人の沢村栄治さんとも名勝負を繰り広げて」
 この伝説の人と、というのです。
「戦前のスターだったけれど」
「あの戦争でなんだ」
「戦死したんだ」
「残念よね」
「そうだね、沢村さんもだったしね」
 藤村さんのライバルだったこの人もというのです。
「そう思うとね」
「戦争は嫌だね」
「素直に思うよ」
「大阪の街のことを考えても」
「野球のことを考えても」
「本当にね、だからね」
 それでというのです。 
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