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私はいじわる 小悪魔が住みついた

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3-⑿

 次の日、私は、昂君ちに行って、リハビリの為、散歩に付き合おうかどうか迷ってたんだけど、クラブの練習に出掛ける前のお兄ちゃんに

「お兄ちゃん 翠ちゃんの肩抱いたことある?」って聞いてみた。

「うー 何だー それって 何回もハグしたことあるよ この前も翠がゴール決めたんで、思いっきり抱きしめたよ なんでー」

 お兄ちゃんと翠ちゃんは中学校で、同じサッカークラブに入っているんだった。私が聞いたのは、そういう意味じゃなくって・・

「ちゃうよー 普通に・・」

「普通だよ 何言ってんだよ 真珠」

「だからー そー言うんじゃぁ無くて 女の子として!」

「あーぁ そういうことか 真珠 色気づいてきたんか クリスマスの時あったやろ 翠の部屋でキスした お母さんには、絶対、内緒だぞー 般若みたいな顔で怒るからな」

「えぇー そんなんしたん? ううん ウチが聞きたいのは、女の子の肩を抱くって どんな気持ちなんやろーなって 昨日なー 昂君が病院の帰り、ウチの肩抱いて、帰ってきたんよ 支えていただけなんやけどなー どうな気持ちやったんやろーって」

「そうかー そんなことあったんかー たぶん 昂君も真珠のこと 親しみあるのは確かやろな もしかしたら、特別な感情あるのかも 真珠は見た目、可愛いと思うよ 我が妹ながらな」

「特別なって?」

「そらぁー 好きってことやろー」 

「えー そんなん あのなー 今日も昂のリハビリに歩くの手伝おうと思ってんねんけどな 昨日みたいに肩抱かれて歩くのってな 恥ずかしいやん 昂はどう思ってるんかなって」

「真珠 昂君のこと好きなんやったら、素直になれよ でも、意識するなよ おかしくなるから 翠もこれからクラブやから 昂君だけやろ 川の土手でも散歩に誘えよ 普通に・・」

「そう 普通って 出来るやろかー」

「うん 真珠 意識し過ぎちゃうかー まだ」

 私は、何となく、昂君ちに向かった。もやもやしたままだった。呼び鈴を押したけど、反応なかったので、玄関を開けて「昂 昂 居る?」って叫んだら、奥から返事があって

「おう 生きているよー あがって来いよ」と、そのまま昂君の部屋に行ったら、ベッドに転んで漫画を読んでいた。

「昂 歩こうよ 誘いに来た」

「うーん 面倒だなー」

「なんでよー せっかく 来たのにー 決心して」

「なに 決心って」

「だってさー 昨日・・・」

「なんだよー パンツ見せにきたのかー」

「うー バッカじゃないのー このー変態! いいから、散歩! 走れなくなっちゃうよ! 行くんだから」

「わかったよー 肩に掴まっても 嫌がるなよー」

「ウチ 嫌がってたー? 良いんだよー でも、昨日は ちょっと恥ずかしかっただけやから・・」

「たこ焼き 食べたいな― 行こかー キムラの」

「えー なにゆうてんの そんなん あそこ遠いし 昂と一緒なの学校の誰かに見られたら ウワサになるやんかー それに、たこ焼きってなんやねん ウチと行くとこかー」

「なにをゴチャゴチャ言うてんねん 真珠と仲良くしてんの何が悪いねん 関係ないやん 何言われても 俺と真珠にしかわからんやろー 本当のとこはー そんなん気にせーへん それとも、たこ焼き嫌いなんかー?」

「あのなー なんで 時々 グサーってくることゆうてくるねん わかったわよー いくよー」

 歩き始めると、昂君は独りで歩き出した。

「昂 大丈夫なんか―? ウチに掴まってもええんやでー」

「うん とりあえずな ゆっくり歩いてくれ まだ、頼りない感じやけどな」

 結局、30分程かかったけど、お店にたどり着いた。お店の中でたこ焼き食べていると、同じクラスの夏美ちゃんが、持ち帰りの所で「4人前 1時間程したら取りにくるからお願いします」と言って居た。

「やばい 昂 夏美ちゃんだ あっち向いてよう」

「えー どこ どこ」と

「バカ 静かにー」と、私だけが焦っていた。私達には、気づかないで行ってしまったようだけど

「あの子 こんなのばっか 食べているから ぶくぶく太ってきているんよね」と、私は何気なく言っていたのだけど

「そーだなぁ 最近 胸も目立つよねー」

「バカ どこ見てんのよ やーらしい 昂」

「だって 眼に入るんだから、しょうがないだろー 真珠はペッタンコだし」

「うぅー 悪かったわね これでも、少しはあるんだから・・ ウッ 何で、昂とこんな話しなきやなんないのよ もう、帰るよ」

「ウン 帰りは、少し、掴まっても良いか―? なんか 痛いってか 不安ていうか 力入れるのって、まだ、こわいんだ」

「ウン ええよー 無理せんとってー」

 という訳で、帰りは途中から、昂君は私の肩に手をまわしてきて歩いていた。そのうち私は肩にかかっている昂君の右手を握って、左手は昂君の腰に添えていたんだけど、昂君はその手を左手で握り締めてきていた。すごい恰好だなって思っていたんだけど

「昂 ウチなぁー 通信簿 成績上がってたんやー 昂のお陰やわー」

「そうかー 俺も 成績落ちてなかったわ 真珠のお陰やな ありがとな」

 私、スキップしたい気分だったんだけど・・昂君にくっついて暖かいのを感じていた。 
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