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夢幻水滸伝

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第二百三十一話 青梅省の動きその十一

「左様ですね」
「はい、その通りです」
「戦が起こっている場所には行けません」
「道も街も村もです」
「通れなくなりです」
「商いも出来ません」
「またあらゆるものが壊されて」
 商人達は口々に話した。
「店もそうなって人も去ります」
「お金の価値も暴落します」
「世が不安定になって」
「ですから」
 そうした状況に陥るからとだ、莫は話した。
「わたくしは戦は嫌いです」
「商業を重視するならそうですね」
「武器や兵糧は売れますが」
「それ以上に不利益が大きいですね」
「それも莫大なまでに」
「ですから」
 莫は紹興酒を飲みつつ言った。
「わたくしは戦を一度もしないでどうにかなるとは思っていませんが」
「出来るだけ避けたい」
「そうお考えですね」
「左様ですね」
「そうです」
 その通りだというのだ。
「ですから星の人ともです」
「戦わずにですね」
「最初から」
「そして共にやっていきたい」
「そうお考えですね」
「そうです、今陝西省から甘粛省に曹さんが進出されていますが」
 ここで彼のことを話した。
「あの人は戦に強く善政を敷いておられますね」
「そうですね、無闇な殺生は一切されず」
「そして民も大事にしています」
「立派な方ですね」
「流石は星の方です」
「我が中国の星の人は皆無体はしない様で何よりです」
 莫はそのことをよしとした、
「他の地域や国にはそうでもない星の人もおられますが」
「ロシアやインドが凄いですよ」
「あちらの星の方々は敵に容赦しません」
「民も逆らおうとすればです」
「やはり」
「特にロシアのエカテリーナさんとインドのタゴールさんですが」 
 莫は深刻な顔でこの二人のことを特筆して話した。
「あの方々は」
「特にですね」
「敵には容赦されないですね」
「政も苛烈なところがあります」
「その噂がこの中国にも届いていますね」
「どちらの方も四十万の敵を生き埋めにしたとか」
 曹はこのことも話した。
「何でも」
「その様ですね」
「一方は敵軍で一方は巨人だとか」
「四十万の巨人をそうして一掃し」
「かつ敵軍も」
「これは白起の振る舞いです」
 曹はこの世界では神の一柱となっているこの名将のことを思った、この世界では敵には苛烈で冷酷な軍神である。
「まさに」
「あの神ですか」
「莫様が起きられた世界では名将でしたね」
「古来の」
「敵を容赦なく殺しその墓を焼き」
 莫はその白起の行いを話した。
「四十万の兵を降し皆です」
「生き埋めにした」
「そうなのですね」
「あの方々と同じく」
「何でも実際は四万程度だったそうですが」
 敵であった趙軍の実数はだ、中国では古来は号すると言って敵を惑わしかつ威圧する為に自軍の数を実際よりも多く言っていたのだ。それでこの時の趙軍も四十万はとてもおらず四万程であったと思われるのだ。 
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