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戦姫絶唱シンフォギアGX~騎士と学士と伴装者~

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第18節「強襲」

 
前書き
お待たせしました。2ヶ月ぶりです。

リアルで色々と立て込んでしまい、暫く更新が疎かになっていました。
最近ようやく仕事に慣れてきたので、また定期的に更新できるよう頑張ります。

それではどうぞ、ご覧下さい。 

 
「──我が友イザークの火刑が、その後のキャロルの人格形成を大きく歪めてしまったのは、語るまでもないだろう」

そうして、錬金術師キャロルの師を名乗る男は、物憂げに目を伏せた。

その目には深い哀しみが。その口元には苦悩が。その拳には後悔が表れ出ていた。

こんな顔をした男を、俺はきっと知っている。

だからこそ、確かめなければいけない。

「結論、私はキャロルを止めなければならない。それが我が友への償いであり、そして彼と交した最後の約束だ」
「……どうして俺に、そこまで話すんですか?俺と貴方は初対面のはず。そこまで話して、貴方は」

俺の疑問にグリムは顔を上げ、真っ直ぐな視線を向けてきた。

「不肖。私一人では、キャロルを止められない。錬金術に於いては天才と呼ばれる私だが、その私でさえも、復讐に曇った彼女の目を覚まさせてやる事は出来なかった……。そんな彼女が今、唯一関心を寄せているのは、君たちシンフォギア装者なんだ」
「俺たちに……?」
「キャロルは、父親を死に追いやった『奇跡』という不確かな存在を強く憎んでいる。だが、君たちは自らの手で奇跡を掴んでみせた。それも一度のみならず、二度までも」

俺たちが二度、起こした奇跡。
それは、もしや……。

「エクスドライブモード……」
「肯定。ルナアタックにフロンティア事変、二度も世界を滅亡の危機から救った君達の姿に、キャロルは強く興味を抱いているんだ。それこそ、秘密裏に進める事もできたはずの計画を、わざわざ表沙汰にするくらいには」
「ッ!?」

繋がった。わざわざ火災現場で俺達を待ち受けていたのは、そういう事だったのか。

ギアの破壊のみが目的なら、黒幕自ら表に出る必要も無い。
やたら響と戦いたがっていたのも、二度も奇跡のトリガーとなった存在だったから。

キャロルにとって響は、直接自分の手で叩き潰さなければ気が済まない存在なのか……。

「そう、彼女の計画には穴がある。全容までは見えないが、私には彼女の計画が何となく掴めて来ている。もし私の推測が正しければ、この計画はもっとスムーズに進められるはずだ。私にはその穴が、キャロルからのメッセージに思えてならないんだ」
「……」
「謝意。言葉が多くなってしまったが、私が言いたいのはつまりだね……」
「キャロルの計画を止めるには、キャロルに興味を抱かれている俺達の協力が必要だ……違いますか?」
「信用出来ないのを承知で頼む。私は彼女を救いたいんだ……」

俺に向かって頭を下げるグリムさん。

会話にも態度にも、全てに誠意が込められていた。

ここまでされて疑い続ける事なんて、俺にはできない。

「分かりました。貴方を信じます」
「ありがとう。私の方からも協力は惜しまない。必ずや、キャロルの計画を止めてやろう」

丁度その時だった。
グリムさんのポケットから、スマホの着信音が鳴り響く。

「私だ」
『おいマスター、あいつら動き出しやがったぞ!』

ガラの悪い、焦ったような男の声が響く。

「ッ!そうか……分かった。すぐに向かってくれ。もはや加減はしていられないぞ」
『分かってるっつーの。あのゲス女、全力で潰せば良いんだろ』
『ダイン、口が悪いですよ』

咎めるように、落ち着きのある爽やかな声が割り込む。
通話の相手は1人ではないらしい。

『だけどよシルヴァ、今回のはダインの言う通りだろ』
『……オレも、同意見……。でも、あの子たち、強い……』

尊大な声と、カタコトな声。全部で4人分の声が、何やら言い争っていた。

『なら、ド派手にカマしてやりゃあいい。この前のリベンジマッチと洒落こもうじゃねぇか』
『やられっぱなしは性に合わねぇ、次こそ決着付けてやるぜ!』
『落ち着きなさい!我々の使命は、彼女達との決着などではない筈です!』
『……マスター、指示を。今回、オレ達、どう動く?』

2対2で意見が対立する男達の声。
グリムは少し考えて、それから静かに応えた。

「命令。優先すべきは、あくまで人命。これだけが絶対遵守だ。……それだけを遵守できるなら、君達の思うがままに動くがいい」
『ッ……!』

グリムからの命令に、一瞬の沈黙が走る。

だが、やがて4人は声を揃えて、忠誠を誓った主のオーダーに応じた。

仰せの通りに(ヤー・マイン・ヘル)!!』



「今のは……?」

グリムがスマホを下ろすのを見て、翔は声をかける。

「私の、自慢の息子たちさ」
「息子たち……?」
「ああ。血は繋がっていないが……私を支え続けてきてくれた、素晴らしい子達だよ」

そう言って、グリムは誇らしげに微笑む。

その目尻に、どこか悲しそうなものを隠しながら。

「……火急、君も支度したまえ。急がなければ間に合わないぞ」
「急ぐって……何処へ?」
「愚問。君の仲間の元に決まっているだろう」
「ッ!?」

驚く翔を他所に、グリムは白衣を翻す。

「思っていたより早かった。今頃、キャロルはS.O.N.G.本部に強襲をかけているだろう」
「今の本部には……」
()()()()()()()()()()()が居ない。そうだろう?」
「ッ!?どうしてそこまで……」

まるで、翔の考えを読んでいたかのように答えるグリムに、翔は険しい表情を浮かべる。

しかし、グリムは応えない。
ただ、口を真横に結んで、翔の顔をじっと見つめているだけだ。

「君の鎧、RN式イクユミヤは私の方で修復した。多少の微調整は必要だろうが、アルカ・ノイズに遅れは取らないだろう」
「ッ……ありがとうございますッ!」
「出陣。最短ルートで急行しよう」
「はいッ!!」

そして翔と錬金術師グリムは、部屋を後にした。

仲間たちと、愛する人を守るために、風鳴翔は帰還する。 
 

 
後書き
月が変わる前に更新する事に注力した結果、いつもの半分くらいの長さか……。
まだまだ満足出来ませんね。次回の目標はいつもの文字数を見据えてます。

新キャラのグリムさん、他4名はGX編を構成し始めた頃から練り続けてきたキャラクターです。
翔くんたち伴装者のように、今後皆さんの心に残るキャラクターとして描ききりたいですね。

それでは、次回もお楽しみに! 
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