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そんなこと出来るか

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第二章

「あれはなかったわ」
「お前が生まれた年だ、お前はリーグ制覇の日に生まれたんだ」
「それもあって私阪神ファンだけれど」
「お前を出してシリーズを観たらだ」
「ああなったのね」
「ああなった、甲子園で負けた瞬間わしは血の涙を流した」
「それも文字通りよね」
「あれはなかった、しかしわしはここで決意した」
 デイリーのクライマックスの結果よりによって十一ゲーム差開いていた憎むべきこの世の邪悪を結集させたかの如きおぞましい悪徳の塊巨人にエラーから逆転負けしてクライマックスを終えたその試合結果を観つつ述べた。
「こうなれば悪魔頼みだ」
「神頼みじゃなくて?」
「神様にはもう頼んでおる」
 既にというのだ。
「神道もキリスト教も天理教もヒンズー教もゾロアスター教もあちこちの神話にもな」
「そうだったの」
「この前ポリネシアのマケマケ神にも頼んだ」
 そうしたというのだ。
「そして仏にもな」
「もう手当たり次第ね」
「だから今度は悪魔だ」
 そちらに頼むというのだ。
「今から召喚する」
「そうするの」
「魔法陣描くから手伝え、生贄はスーパーで鶏肉を買った」
「スーパーで?」
「お前が学校に行ってる間にな」
 その時にというのだ。
「近所のな」
「あそこでなの」
「買った、ではやるぞ」
「悪魔に阪神優勝させてくれって言うのね」
「そうする、ではこの部屋に描くぞ」
 こう言って早速だった。
 治平はインターネットの通販で買った悪魔に関する本を手に黒羽に手伝わせて魔法陣を描いて必要なものを置いてだった。
 呪文を詠唱した、すると魔法陣にだった。
 刀を持った鳩が出て来た、治平はその鳩を観てやしゃ孫に話した。
「ハルパスという」
「悪魔よね」
「そうだ、魔王の一人でな」
「魔王って」
「悪魔の中でも相当に位が高い」
 魔王と言うだけにというのだ。
「しかも非常に力が強く火も使い戦いにも詳しい」
「戦いにもなの」
「スポーツにもつながるな」
「スポーツも戦いだしね」
 黒羽は治平に応えた。
「それでなのね」
「この悪魔を呼んでみた」
「そうなのね」
「結構気が荒くて戦乱を起こしたりその刀を振って火を起こして燃やすという」
「結構危ない悪魔じゃない」
「じゃが悪魔は契約主との約束は破らん」
 黒羽にこのことも話した。
「決してな」
「悪魔って律儀なのね」
「あれこれ話術ではぐらかしたり騙したりはするが」
「約束は守るのね」
「絶対にな」
「だから阪神を優勝させてくれって言ったら」
「きっと果たしてくれる、ではじゃ」
 やしゃ孫と話してからだった。 
 治平は悪魔に顔をやった、そうして悪魔に言った。 
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