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オープン戦がはじまり

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第三章

「それならよ」
「それ言うとな」
「十二連覇とか言うんでしょ」
「十五連覇だ」
 盛ってきた。
「そうしてやる」
「言うわね、そこまで勝つの」
「阪神なら出来るぞ」
「十五年以上カープに負け越しでしょ」
「そんなに負け越してるか」
「してるんじゃないの?」
 実際にというのだ。
「暗黒時代に」
「あの頃か」
「そう、八十七年からね」
「ずっと負け続けたしな」
「ずっとカープに負けてたわね」
「そうだったな」
「そう、だからね」
「なるか、カープにも勝ち越してな」
 そしてとだ、寿はムキになった声で反論した。
「そして勿論巨人にもだ」
「巨人には絶対に勝ち越さないとね」
「ああ、全チームに勝ち越して交流戦でも勝って」
 そうしてというのだ。
「そしてだ」
「優勝するっていうのね」
「そうして十五連覇だからな」
「その言葉来年の今頃も言わないでね」
「今年も優勝だと言ってやる」 
 豪語してだった。
 寿はおかわりをした、そうして食べ終わってから学校に言った。当然千佳もそうしたのだが学校でだった。
 クラスメイト達に今朝の兄との会話を話した、そうして笑って言った。
「まあ今年はね」
「カープっていうのよね」
「千佳ちゃんとしては」
「そうよね」
「そうよ、それでね」
 クラスメイト達にさらに話した。
「カープこそが十連覇よ」
「そこまで勝つの」
「前の三連覇どころか」
「十連覇ね」
「そうするわ、お兄ちゃんそれで皆には悪いけれどね」
 関西なので周りも阪神ファンが多い、だからこうも言ったのだ。
「カープが勝つわ」
「まあ別にカープファンの娘が言ってもね」
「別にいいわ」
「千佳ちゃん阪神の悪口言わないしね」
「言うところないじゃない」 
 阪神についてはとだ、千佳はあっさりと答えた。
「私カープは生きがいだけれど」
「阪神嫌いじゃないわよね」
「そうよね」
「特に」
「巨人は超が百付く位嫌いだけれど」
 このことは兄と同じである、それも全く。
「けれどね」
「それでもよね」
「阪神嫌いじゃないわね」
「悪口も言わないし」
「事実は言うけれど」 
 それでもというのだ。
「嫌いじゃないからね」
「阪神に負けても怒らないしね」
「こうした時もあるって」
「そんな感じで」
「ええ、甲子園も嫌いじゃないわ」
 球場もというのだ。 
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