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ウルトラマンカイナ

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特別編 ウルトラカイナファイト part3

 
前書き
◇今話の登場ウルトラマン

暁嵐真(あかつきらんま)/ウルトラアキレス
 5年前、怪獣や異星人の脅威から地球を救った若きウルトラマンと、その依代になった人物。全身の各部にプロテクターを装着しているレッド族のウルトラ戦士であり、必殺技は片腕を横に振りかぶった後、縦に突き出して放つイーリアショット。現在の嵐真は小学校の教師であり、年齢は24歳。
 ※原案はMegapon先生。
 

 
「おい、いつになったら進めるようになるんだよ! もう怪獣達がすぐそこまで来てんだぞ!? 俺らを見殺しにする気か!?」
「ウルトラマンカイナもBURKもやられちまってるって話じゃねぇか! 俺達、一体どうなるんだよ! アメリカや中国のBURKは何やってんだ!」
「もういい、俺は家に帰る! あいつらが勝てないってんなら、どこに逃げても同じだ!」

 ――遡ること、約数分前。隣県に繋がる東京の道路では、避難民達の車両が大渋滞を引き起こしていた。
 テンペラー軍団によって破壊された都市から退避するべく、大勢の都民達が我先にと逃げ出そうとしているのである。この一帯は人々の怒号と、クラクションの音ばかりが響き続けていた。

「せ、先生ぇ……」
「怖い……怖いよぉ……!」
「大丈夫大丈夫、何も心配いらないさ。きっとすぐにウルトラマンカイナが、怪獣達なんてやっつけてくれるよ」

 大人達の言動に狂気を与えている、焦燥と恐怖。その負の感情は、子供達にも伝播しているのだろう。渋滞に巻き込まれているスクールバスの小学生達も、身を寄せ合い震え上がっていた。
 そんな子供達に優しげな笑みを向け、穏やかでありつつも力強い言葉で励ましている若手の教師――暁嵐真(あかつきらんま)は。この状況でありながら、落ち着いた様子で後方を見遣っている。

「先生……ダメだよ、カイナでも勝てないんだよ? ……負けちゃってるんだよ?」
「ねぇ先生、誰かカイナを助けてあげられないの? BURKがダメになったら、カイナは独りになっちゃうの?」

 遥か向こうから響いて来る激戦の轟音が、カイナの劣勢を雄弁に物語っていた。子供達も状況を察しているのか、嵐真の励ましを受けてもその表情は暗いままとなっている。

「……」

 自分達の命すら危ういのに、それでもカイナの身を案じている子供達の言葉を受け、嵐真は逡巡し――懐に手を伸ばした。
 その手に掴んだ、真紅の眼鏡のようなものに視線を落として。嵐真は「5年前の戦い」を振り返る。

(俺の元に「これ」が再び現れたということは……やはり、そういうことだったんだな)

 ウルトラマンカイナが恐竜戦車を倒した日から、1年が過ぎた頃。再び地球に怪獣や異星人の危機が訪れた時、第2の新世代ウルトラマンが颯爽と現れたのだ。
 かつてそのウルトラマンと一体化し、共に地球を救ったカイナの「後輩」こそが、この暁嵐真なのである。

 その戦いの日々において、相棒同然だった変身アイテムは使命を終えた瞬間に、消滅したはずだった。それが今蘇り、こうして手元に現れている。
 しかも、テンペラー軍団という全ての「元凶」を前にして。

(そして、さっきのサイン……間違いない。弘原海隊長が、「イカロスの太陽」を使ったんだ。俺達に助けを求めるために……カイナ兄さんを、救うために)

 地球の守り手(ウルトラマン)としての重責に苦しむ中で、独りにはさせまいと命懸けで支えてくれた、父のような存在。そんな弘原海が己の全てを投げ打って、SOSを発信している。

(……教師として、教え子達から目を離すわけには行かない。だけど、今この瞬間だけは……俺は、ウルトラマンでいなければならないんだ)

 それを悟り、子供達の思いを知った今。嵐真は教師という立場だからこそ、子供達に「絆」という力の強さを伝えねばと決意する。

「……大丈夫だよ、皆! カイナの他にも、地球を救ってくれたウルトラマン達がいただろう? 今に彼らが大急ぎで助けに来てくれるさ!」
「ほ、本当……?」
「ああ、本当だ! 今まで、先生が嘘ついたことあるかい?」

 カイナに続いて地球に現れ、活躍してきた5人の後輩ウルトラマン。その登場を「予言」する嵐真の言葉に、子供達の目にも微かな「光」が灯る。
 それが、子供達を励ますための「嘘」なのだと解釈していた若い女性教師は、心配げに嵐真の袖を摘んでいた。

「あ、暁先生……そんなこと言っちゃって大丈夫なんですか? 確かにそれくらい言わないと、子供達も安心できないとは思いますけど……」
「……辻凪(つじなぎ)先生。少し周りの状況を見て来ますので……この子達を頼みます。必ず戻りますから」
「ふぇっ!? ちょっ……暁先生っ!?」

 漫画の制作が趣味だという、眼鏡を掛けた姿が愛らしい同僚の女性教師――辻凪あやめに子供達を託して。嵐真は素早くスクールバスから飛び降りると、渋滞の真っ只中を逆走していく。

「すみません、辻凪先生! これから起きること、漫画のネタにしても構いませんのでっ!」

 立ち往生になっている車の大行列。その隙間を縫うように、嵐真は燃える街の方へと走り去ってしまった。その背を見送ることしかできないあやめは、豊満な胸に手を当て、彼の身を案じることしかできずにいる。

「暁先生……」

 それが、「単なる同僚」に対する感情ではないということに。子供達は、すでに勘付いているようだった。

「あやめ先生、嵐真先生のこと心配なのー?」
「絶対そうだよ! だってあやめ先生、嵐真先生のこと大好きだもん!」
「ふぇっ!?」
「えー!? やだよー、私が嵐真先生のお嫁さんになるんだもんっ!」
「あ、あなた達まで何を言ってるんですかっ! い、いいから暁先生が戻るまで大人しくしてなさいっ!」
「あはは! あやめ先生、耳まで真っ赤ー!」
「たこちゃんみたいー!」
「もっ……もぉおぉっ! 先生怒りますよ! ほんとのほんとに怒りますよっ!」

 自分の恋心を看破され、驚きのあまり眼鏡がずれてしまったあやめは。ばるんばるんとHカップの巨乳を揺らしながら、可愛らしい怒号を上げている。
 そんないまひとつ威厳に欠けている彼女の姿に、子供達もようやく笑顔を取り戻したのだった。

「よし……ここなら行ける!」

 その頃。車が1台も見られない無人の道路に行き着いた嵐真は、真紅の眼鏡「アキレスアイ」を掲げていた。

「デュワッ!」

 その掛け声と同時に、アキレスアイを装着した瞬間。
 目元から広がるようにウルトラマンの姿が形成されて行き、徐々に巨大化していく彼の肉体が、レッド族のウルトラ戦士へと「変身」していく。

 ――シルバー族の血を引いているためか。レッド族ながら眼の形状はシルバー族に近く、全身のあらゆる部位がプロテクターに防護されている。その上に備わるカラータイマーは、縦に長い六角形のようであった。
 頭部にあるアイスラッガー状の武器「アキレスラッガー」の前面には、ビームランプ状のクリスタルが付いている。赤色で統一された上半身と、銀色に染まっている下半身が、混血という「雑種」の強力さを物語っていた。

 この巨人の名は、「ウルトラアキレス」。かつてウルトラマンカイナに続く2人目の新人ウルトラマンとして、地球を守り抜いた若獅子だ。
 今や歴戦のウルトラ戦士として立派に成長した彼は。その力と経験値を余すところなく発揮しうるほどの戦場に、巡り会ってしまったのである。

『カイナ兄さん……今行きます! ダアァッ!』

 地を蹴って両手を広げ、マッハ3にも迫る速度で飛ぶアキレスは。「先輩」であるウルトラ戦士の元へと、全速力で飛び出すのであった。
 
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