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狩らずに助ける

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第二章

 ミーシャは寄り添っていた、シェルテッドはドイツ人の学者達にその様子を見て話した。
「あの子はハンク、雄で親とはぐれましたが」
「ミーシャに育てられていますか」
「そうなのですね」
「そうです、種類は違っても」 
 それでもというのだ。
「育てています」
「そうですか」
「ヌーの赤子を助けて」
「豹を育てている」
「そんな娘ですね」
「そうです、ライオンは母性本能は強いですが」
 今話した通りにというのだ。
「しかしです」
「他の種族の子も助け育てる」
「そこまで母性本能が強い」
「そうした娘なので」
「不思議です、こんなライオンもいることをです」
 豹の赤子に寄り添って共に食べ優しい目をしているミーシャを見つつ話した。
「知っておいて下さい」
「わかりました」
「そうさせてもらいます」
「そんなライオンもいるのですね」
「そうです、しかしです」 
 シェルテッドはこうも言った。
「ライオンは百獣の王と呼ばれますが」
「こうした優しさも持っている」
「ただ強いだけでなく」
「優しさも持っている」
「そのことからもですね」
「百獣の王ですね」
 こう言うのだった。
「そう言えますね」
「はい、確かに」
「その通りですね」
「強さを優しさを併せ持っている」
「真の王ですね」
「人間もそうありたいですね」
 優しい顔と声でこうも言った。
「強いだけでなく」
「そこに優しさも備える」
「そうでありたいですね」
「まことに」
「本当にそうですね」
 こうしたことも話してだった。
 シェルテッドは車を動かした、その横にはミーシャがいた。ハンクと共に寝そべり彼に身体を預けている姿はまさに母のものだった。


狩らずに助ける   完


                 2022・2・24 
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