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危険過ぎる企業

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第二章

「営業時間も長いな」
「ということはな」
「お客さんから見れば何時でも行けていい様でもな」
「働く方はな」
「勤務時間長いぞ、しかもな」
 森宮はさらに話した。
「ずっと立ってのな」
「立ち仕事でか」
「ずっと動く仕事が多いだろ」
「ただ勤務時間が長いだけじゃないか」
「それでこうした会社は人件費抑えるな」
 森宮はこのことも指摘した。
「急激に業績挙げてるのはどうしてか」
「それを考えるとそうか」
「兎に角長い時間働かせてな」
「給料は安くか」
「だから精神論散々言わせて洗脳みたいにさせて」 
 そうしてというのだ。
「不平不満を失くす様にしてるんだよ」
「というとな」
「ああ、働いている人もな」
 それ自体もというのだ。
「少ないぞ」
「それで少ない人手を酷使してか」
「そしてな」 
 そのうえでというのだ。
「働かせてるんだよ」
「勤務時間も長くてか」
「しかも給料もな」
「安いか」
「サービス残業ばかりでな」 
 このこともあってというのだ。
「元々の給料もな」
「ないんだな」
「ああ、もう完全に社畜になるぞ」
「過労死もあるな」
「あるな、だからこの会社にはな」
 全くと言うのだった。
「入らない方がいいぞ」
「面接を受けるのも無駄か」
「何処でも入られるといいんじゃなくてな」
「入る会社は選ぶことだな」
「そうでもないと後で後悔するからな」
 こう言ってだった、森宮はこの会社への面接は行かないことにした。このことは戸叶も同じだった。そうしてだった。 
 二人はそれぞれ別のホワイトと言っていい企業の面接を受けて就職した、そうして活き活きと働くことが出来たが。
 数年後大学の同窓会の時戸叶が森宮に眉を顰めさせて囁いた。
「エダノ話題になってるな」
「ああ、ブラック過ぎてだよな」
「今あちこちで叩かれてるな」
「過労死が話題になってるな」 
 森宮も答えた。
「そうだな」
「就職しなくてよかったな」
「全くだな、やばい企業はPVとか宣伝見てな」
「わかる場合もあるんだな」
「業績とかな、それ見て注意しないとな」
「それで最初から入らないことだな」
「そうしたらいいんだよ、事前に調べてな」
 こう言うのだった、そうしてだった。
 戸叶とそれぞれの仕事の話をした、そちらは明るく話が出来た。二人の顔は血色がよく目も明るかった。


危険過ぎる企業   完


                  2022・2・23 
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